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作品名:生きる! 作者:かつやまひろし

第3回   第3章 青春時代
第三章 青春時代

そんなモテ期は長くは続かなかった。高校へ入ると、僕のブームはもう起こらなかった。

部活は帰宅部。ドロップハンドルを逆に向けた自転車に股がり、帰り道に同じ帰宅部の友達と王将に寄るのが日課だった。
その友達と、どうしたらもてるか、クラスの女子で誰が好きとか、毎日語り合った。

その頃は1980年代。女子はみんな聖子ちゃんカットで、可愛くしていた。
男子はというと・・・
特に流行っていた髪型はなかった。が、女子が聖子ちゃんといえば、男子は俊ちゃん。田原俊彦。
やはり、いた。俊ちゃんの髪型を真似たやつが。
顔はいまいち、性格も、も一つだけど、髪型がやはりかっこいいから、そいつはモテた。
これだ!と思った。
さっそく、帰り道にスーパーに寄る。コテと言って、熱で髪の毛をくりんくりんに出来るやつを買いに行った。
その日から風呂上がりに1時間かけて髪の毛をくりんくりんにして下ごしらえをしておき、次の日の朝も30分かけて髪の毛をくりんくりんにして、最後にふわっとさせ、スプレーでバシバシに固め、学校に行った。
なかなかの出来栄えで、俊ちゃんヘアーみたいになり、自己満足していた。毎日毎日、時間をかけて、ヘアースタイルを俊ちゃんにして学校に行った。
ただし、雨降りの日はスプレーの威力が持たず、時間をかけて俊ちゃんにしても、すぐにぺったんこになったが。

(今思うと、凄く髪の毛に負担をかけてたと思う。)

それなりに、男としての自信もついてきた。
そこで、修学旅行のシーズンが来た。みんなの気持ちもハイテンションとなってきて、男子から女子へ、女子から男子への告白が流行った。修学旅行の自由時間に、デートするのが目的で。

そんな時、いつも一緒に学校から帰っていた友達も、女子から告白され、付き合う事になったではないか!
これは参った、悔しかった。明日から僕は、一人寂しく下校せねばならなくなってしまったではないか!
しかし、友達はやっぱりいいな〜。やつは僕を一人にはしなかった。次の日から、三人で仲良く帰ったのであった。

しかし、女子好きの僕も黙ってはいない。

修学旅行の最中、気にかけていた子に告白する事を決意した。
入念に検討し、いつ、どこで、どのタイミングで、誰に呼び出してもらい、とか真剣に
考えた。
そして、その作戦はキャンプファイヤーでフォークダンスをして盛り上がり、そろそろ解散しようという時に実行された。

・・・
覚えてるだろうか。小学生の時はフォークダンスで女子と手を繋ぐのも不潔、とか言ってすぐに手を洗ったもんだ。(ほんとはいやじゃなく、うれしかったくせに)

あああの・・・
付き合ってほしい・・のやけどー・・・。

ごめんなさい。もう付き合ってる人がいて・・・。

あ・・・そうなんや。
いいよ、気にしんといて・・・

猛烈に落ち込んだ。たぶん、いけると思っていたから、この時のショックは、かなりのものであった。

その夜はたぶん、寝てない。告白が遅すぎたのか、今付き合ってる人がいなかったら、いい返事がかえってきたのか、とか色々考えてたと思う・・・。

そして修学旅行が終わり、その告白した子の彼氏は同じ学校じゃないらしく、彼女を駅に迎えにきていた。その彼氏を見た瞬間、なんや、僕のほうがかっこいいやん。あいつ、ハゲやん。(この頃、この時代では丸狩りをハゲと呼んだ。)


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