彼氏いない歴16年。鈴美莉子。 そろそろ彼氏がほしいなんて思うお年頃。いや、ほんとはもっと前から思ってた。 2〜3年前くらいから、周りの友達に彼氏ができはじめて。 自然とできるものかと思ってたけど、全然違ったんだ。 男付きあいは、まぁ良いほうだし、男子ともよくしゃべるし。だけどなんでか彼氏 ができないんです。
あーあ。お花見行きたい。もちろん彼氏と。 だけどいないし。ふぅ。 そんなことを思いながら、学校帰りのまだ明るい日差しの中をトボトボ歩く。 そんな時。 「おーーーい!莉子ぉーーー!」 またあいつか。よし。ダッシュ! 私は全速力、とまではいかないもののダッシュする。 「え!?マジかよ!ちょ、待てーーーー!」 後ろからいつもの声がする。 ん?あ。足音が近づいてる。やばし。 「てやっ!」 「うわっ!?」 声が耳元で聞こえた瞬間、私はとっさにしゃがむ。条件反射ってやつ? 「うおっ!?」 頭をあげると目の前には、幼なじみの荒木鋼也が・・・転んでる。 「お前・・・何してんだぁー!」 「え・・・何って・・・よけたんだけど?」 「よけたんだけど?≠カゃねーよ!おかげで俺はケガをした!」 よく見ると、膝をすりむいてる。 「すりむいてんだけじゃん。平気平気♪」 「のんきなこと言いやがって・・・。まーいーや。あのさ、これからドーナツ食い 行かね?」 「おー。いいねー。ドーナツ食べたい」 「おし!じゃ決まり!行こーぜ」 「うん!」
これもいつものお決まりパターン。 二人とも暇なときはこうやってどっかの店で軽く食べる。 それが私の大好きな楽しみ。
ドーナツ店「merci doughnut」に到着。 鋼也はもう何を食べるか考えてる。 私は優柔不断だからすぐには決められない。早く決めなきゃ。 うーん。ストロベリーもいいし、シュガーココナッツもいい。 あー決まんねー! 「莉子ー、まだー?」 やばい。急かされる・・・。急げ!
「あー、おいしー♪」 結局私が頼んだのは少し欲張って、チョコレートとシュガーココナッツとアップルパイ。値段は370円。うん、まぁ平気でしょ。 鋼也のはチョコレートとストロベリー。 あー、幸せ。ドーナツおいしーし、仲良しの鋼也と食べれるし。 「・・・なぁ莉子、俺とさ・・・付き合わない?」 うん、ココナッツいい感じー、りんごおいし・・・え? 今、鋼也は・・・なんて言った? 「無理にとは言わないから・・・。莉子がよかったら付き合って」 今度はしっかり聞こえた。
付き合って。
嘘。鋼也が?付き合って?私にだよね? ありえない。ありえないよ。
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