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作品名:花筏〜はないかだ 作者:SHIORI

第71回   71
「だいたいねえ、幸平さんはうんとへべれけにならなきゃ、おばあちゃんのことを抱けなかったっていうんだからね。六つも歳上の嫂なんか、誰が好きになるもんかい。幸平さんは大造さんとおばあちゃんを恨んで、憎んで、『元ンち』のお嬢さんが不本意な結婚をした上に石女になっちまってつっ返されてきて、それなのになにもしてあげられない自分が情けなくて、絶望して飲んだくれるしか、憂さ晴らしが無かったんだよ。」
自分が嫁に来るずっと前のことだろうに、絵美子は誰からそんな話を聞いたのだろう。英俊は昔のことを話すにしても、いくらなんでも自分の母親のことをそんなふうには言わないはずである。どうやら、幸平さんの姉か妹達の誰かが、母に祖母の醜聞をふき込んだらしい。
「どんなグータラの飲んだくれ亭主で冷えきった仲でもさ、電車に轢かれたなんて連絡が来たら、とるものもとりあえずっていうか、着の身着のままですっ飛んで行くもんだろ?わざわざいい服に着替えて行ったってんで、近所中で陰口叩かれたんだってよ。」


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