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作品名:エゴイスト・マージ 作者:暁☆

第6回   豹変

「それってどういうこと?」

「……案外、理解力ないんですね」

まるで抑揚の無い声で


ここから見える三塚の笑っている表情とは
見事に反比例した低いトーンの声だった

「飽きた。それだけですよ」


「え?」


それは神谷も同じだったらしく
絶句したまま言い返せないで呆然と立ちすくんでいる

「先生、ホテルでマグロみたいで全然良くなかったし
ハッキリ言ってウンザリです
僕を満足させることも出来ないんじゃ
付き合う意味、無いでしょ?」


それは、辛辣で
残酷さ以外の何モノでもなく
女が一番傷つく言葉をわざわざ選んだかの様な

―――それでも三塚はやっぱり笑っていて

まるで

”お茶でも飲みませんか?”

言葉を聞いていなければそんな感じで



堪らず、神谷が我に返って三塚を殴りかかった

目を一瞬つぶったけどその音は聞こえなくて……

恐る恐る目を開けると
殴ろうとした手首を三塚が掴んでいた

「僕は貴方に殴られる理由がありません」



不発に終わった手を離されると神谷は
逃げ出すように教室を飛び出していった

私からは見えなかったけどきっと
泣いていたんだと思う




「ひどい!!!」

私は思わず飛び出していた
そして三塚に怒りの言葉を浴びせ掛けた

「信じらんない!彼女だったんじゃないの!?
あんな言い方無い!!」

三塚は大きな溜息を付いてゆっくりと振り向いた
その顔はいつものソレとは思えない表情で
感情の欠片さえ分からない程のモノだった

「……見逃してやろうと思ったのに」

「三塚先生?」

「声を掛けなきゃ気が付かないフリをしてやろうと
思ってた」


知ってたんだ私がいたこと

それなのに、あんな酷いことを言ったの?

怒りが更に止め処なく湧き上がってくる

「サイテー!!先……っ」


ダン!!!

その音に驚く

いつの間にか間が詰められ私は三塚に壁に追い込まれて
壁に片手を付いたその身体の下にいた

「何時も、肝心な時に居合わせるな
……偶然?それともワザと?」

息の温度が感じられるほどの距離

「……三、つか……?」

「さっきの威勢の良さはどうした」


真正面から見下ろすその顔は先生というより
男という感じで……

途端

……視界が……捩れる
















「……しま」

「月島!」

頬が熱い

あれ?この声って三塚……?

「気が付きましたか?」

「先……生?」

ここどこ
あ、保健室か

「私……」

「倒れたんですよ、いきなり」

「え?あ、私?」

「保健室の鍵、僕が預かってるから落ち着いたら
出ようか」

「ハイ」

何で倒れたんだろう
三塚と……神谷が……あ!

「神谷先生の」

「そうそう、痴話喧嘩見られたんですよね」

は?痴話ゲンカ?


「そんなはず……!」

言い返そうとしたら頭の上を軽くポンポンと叩かれた

「コラ、大人の話に子供が首つっこむんじゃありません」

そういって笑う三塚はいつも通りの穏やかさで
さっきまでの人物とはとても同一とは思えなかった

アレは夢だったの?

そもそも何で私は倒れたりしたんだろう

記憶の断片がチグハグで
どうしてもそれ以上思い出せなかった


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