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作品名:エゴイスト・マージ 作者:暁☆

第4回   裄埜

「月島?」


三塚の声に弾かれて我に返る

「帰ります」

そう投げやりに告げて慌てて教室を飛び出すことで
ようやく違和感からの脱出に成功することが出来た


何だったんだろう……あの感じ、不思議な感覚



私は飛び出した背後に視線を感じながら

何故、走っているのか、
何故泣きそうになってるのか

訳分からなくなってなってしまった


……この時の私は未だ何も、
本当に何も知らなくって
全てのベクトルが生み出す感情も痛みも罪すら

何もかも


そのまま全部知らずにいたら
……未来はどんな風に変わってたんだろう
今でも時々そう思うことがある







次、化学か……

黒板に書かれた”化学室に移動”の白い文字をみて
気だるく溜息を付く

今学期に入ってから隣のクラスと合同で
授業をすることになった
理系と文系の比率が1:2の割合になっている為
文系がこの教室と隣の教室でそれぞれ
英語と国文に分かれ
更に人数の少ない理系組はわざわざ離れた
化学室での授業となるのだ

行きたくないな

昨日の今日だからといって
別に何があったわけでもないけど
何となく三塚の顔を見るのが気が進まないだけ

だからといってそんな理由でサボるわけにもいかず
渋々シナップスを強引に繋げて化学室へと向かわせた


授業中、ついつい無意識に三塚を目で追ってしまう


昨日のアレって付き合ってるって事?

あの後、二人で何処かにいったのかな

「月島、ここの化学公式何の法則か分かりますか?」

「え?えと……」

いきなりふられてしどろもどろになってると
通り道を挟んだ隣の席から
丸められた小さい紙が飛んできた
少しだけ振り向くとその人物は
確かの隣のクラスの……誰だっけ……?
私が戸惑ってる私に
ジェスチャーだけで中を見ろっていってるみたいで

「……ゲーリュサック」

「正解。裄埜〜〜教える時はもっとさり気無くね」

三塚のおどけた注意に教室が一斉に沸いたとこで
タイミング良くチャイムが鳴った

「今日はここまで試験近いから皆勉学に励んで下さい」

そういって三塚が教室を出ていってしまった



……一応助けられた?
よく分からないけどお礼は言っとくべきだよね


教室を出て渡り廊下の前を行く彼を捕まえる

「あの、さっきはありがとう」

声を掛けられた彼は
歯をチラリと覗かせて笑顔をみせた


「いや、こっちこそバレちゃってゴメン」

うわ……初めて話したけど
なんだか爽やか系だ、この人


良くありがちな
恩着せがましさは皆無で、本当に申し訳なさそうに
謝ってくる様にちょっとだけ親しみを覚えてたから

つい

「私がぼんやりしてるのが悪いんだから
気にしないで」

彼は一瞬、不思議そうな顔を見せて

「珍しいな、いっつも即答で答えてるのにって
思って咄嗟だよ」

気にするな、と言って
その爽やか系の彼は行ってしまった


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