私は覚悟を決めて 取り合えずそれまでのいきさつを掻い摘んで説明した
「正直驚いてる。醒ちゃん、自らか?」
私は小さく頷く
「よう親の事まで話したな……あの醒が」
信じられん、そんな事と呟いた
(え?)
何だろう?一瞬射抜くような視線の鋭さに 見えたはずの蔦さんの顔はもうニコニコしてて
「気ィ付いてると思うけど、一見人当たり良いくせに 一皮向けば最悪やろ?」
ここ笑うトコやでと私にウィンクを投げる
「俺、同じ施設出身なんよ。あ、施設って分る?」
「なんとなく……」
「ええよ、それで。少し、歩かへん?」
流石に校門で二人で喋ってると 皆がチラッと見ていくのを察して そう蔦さんは切り出してくれた
「相変わらず、女に手当たり次第やってるやろ」
「ええ。そりゃもう」
私の言葉に蔦さんは苦笑いした後
そやけど、と話出した
「醒、生徒には手を出してへんやろ? あそこにはそういった被害を受けた子供も 仰山いてて、無意識的にそうなるんやろうな 女好きとかいうんちゃうからな、アイツの場合」
前に先生に同じ事を聞いたとき はぐらかされたけど、そういう理由があったのかと 初めてこの時知った
「先生のコト、よく見てるんですね」
ポケットからタバコを取り出すと目で 吸ってもいいかと聞かれた気がしたので 私は黙って頷いた
「ちょい昔の話しょーか?」
蔦さんは前髪を上にかき上げる動作を した後、タバコに火を付ける
「そういった施設ってな、 ワケありの子供達が多いねん 各自思うところがあるからなかなか馴染めんとか あるんやけど……
醒ちゃん、群抜いて浮いてたなぁ 不器用とかいうんだったら未だ救いあるんやけど 施設入って何年も喋ったりすること無かって
皆が騒いでいても無表情でまるで人形みたいに 完璧心閉ざしてて たまーに俺ら見えてないんちゃうかと 思ったことすらあるくらいやった
周りに関心が無いというか 他人なんかどうでもよかったやろうな」
「……アイツの親の事知ったんは相当後や 無論、本人から聞いた訳ちゃうで 色々下世話なヤツおってそういう噂って どうしても耳に入ってくんねん
かなり酷い目あってたみたいや ……俺らが思う以上に」
「髪、最初見たとき驚いたろ アレかて多分もとは……」
「虐待の、せいですか?」
「あくまで推測」
「どないな仕打ちを受けても 子供ってのは世界が限られてる 結局、親しか頼りがない」
「……そういう俺も似たような境遇やったから 感じるんやけど、やっぱな子供ってさ 愛情とかちゃんと貰って育ててもらわんと 何か大事なモン欠けるんやて
身体ばっかり大きいなっても 心が追いつかへんっていうか 醒ちゃんに出会ったとき俺は もう大分落ち着いてた頃やったから 時期が良かったんやけど…… ズレてたらと思うと今でも怖いわ」
感情の起伏が少ないって元にはあるけど 愛情とかそういった類に極端に 疎い
いや意味も価値もないって 少なくとも醒はそう思とる
母親……アイツに言わせると”魔女”か
全ての元凶はそこやな
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