20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:エゴイスト・マージ 作者:暁☆

第11回   ランチ2
「わ、私がお弁当作ってこようか?」



「……マズそうだから、イラナイ」

一瞬だけ、先生は視線を逸らしたように思えた



「だよね……」

誤魔化した笑いは乾いていて
内心、心臓が痛みを伴って激しく打っていた



バカだ私



断られるのは想定の範囲だった
でも、もっといつもの様に茶化されての事だと
思っていた

だから予想外の表情を見せられて

私は自分の無神経さに気が付いた



先生の答えは分かっていた筈
口にすべきことじゃないのも承知で
それでも敢えて聞いたのは

ただ自分のエゴ


自分はもしかしたら、と
何処かで浅はかな思いがあった

あり得ないもしない

なんて傲慢な勘違い



先生のコト、本当は全然分かってなかった

先生の過去がどんなものか、とかちっとも

こんな私なんか特別になれるわけない

思い上がりもここまで来ると笑えないね




どんなに近くにいても、時間を共有したところで
結局、先生にとって
私は全く知らない他人と同じ存在

先生は、誰も心には踏み込ませない

私も同じだと、何故忘れていたんだろ?




私は自己嫌悪で一杯だった



ごめんなさい……ごめんなさい


午後の授業中、教科書を持ったまま机に突っ伏して
私は何度も心の中で先生に謝ることしかできなかった


……先生……先生


今の私じゃ何もかもが足りないけど
助けたい、私が先生を変えたい






……先生の唯一になりたい



何故、先生に対してそう思ったのか

明確な理由がいる?

単にそう思っただけ

じゃダメ?






後に


先生が本当は味覚すら感じず

味を覚えるより食べれるものかどうかが重要である事

それ以外はどうでも良く

食べる行為は先生にとって今も空腹を満たす以外

何も意味を持たないんだと

知ったのは随分たってからの事だった




← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 2048