そして、巣の中が、ギユウ、ギユウに、なるくらい僕たちは、みんなおおきくなった。 僕は、早く飛びたかった。自分でエサを取りにいったほうがいい。僕がつづけて、何回か、もらったら、お母さんが首をかしげて考えこんでいる様子が、わかるように、なったんだ。 「また、あの子にやったよ。次はむこうの子に、しなきゃね。」 僕は、飛ぶ練習をはじめた。力いっぱい羽根を振る。兄弟達が、飛び乗ってくる。 「お前は、はばたいちゃだめ。」 僕の、身体は小さい。ノビノビと、育たなかったからね。パッパッパッ、近くの、小枝から、枝へと、つないで、 みんなが、出て行ってから、僕は、飛ぶんだ。
夢中で、練習している兄弟達は、ぼくのことを、すっかりわすれている。 僕も、尾羽根が光る、なんて考えていられない。 子供は、巣から落ちてはいけないのだ。 満足に飛べない鳥が、巣から落ちると、適に見つかる。地上には、蛇も、蛙も、僕の見たこともない敵が、いっぱい、いるって、母さんが、いってた。 「巣は、大切よ。必ず戻ってくるのよ。しっかり飛べるようになるまでは、止まる枝を先に捜しておくのよ。飛び出してからじゃ見つけるのに時間が、かかるわ。」 僕は、足に力をいれて、一番近くの枝まで飛ぶ。次の枝は羽ばたかなければならない。 ひとかき、ふたかき、みかき、兄弟たちのを見る。「僕はこわい。」 羽ばたくと光る、兄弟達が、とびのってくる。 みんな、飛ぶのに夢中だ。誰も見ていない。長い間考えていた事は、すぐには変わらない。 「考えるんだ。」 その時の周りの様子で、判断しなければならない。いつも、おなじ、じゃないんだ。 羽ばたくまえに、僕は、あたまのなかを、整理しなくてはならない。 僕の心は、きづついている。 直すのは誰、手伝ってくれるものはいない。そんな事は、わかっている。 もうすぐ、みんな、とびたっていく。遅れるわけにはいかないんだ。 そして、みんな飛び立っていった。僕は、ひとりになった。
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