僕は、波止場で生まれた。目の前は海だよ。 海は、波と波と波とズウゥと、向こうまでゆれているよ。 入り江には、船が、何そうか、止まっているよ。 出て行くのもあれば、入って来るのもあるよ。 岸壁に、船が着くたびに人々は、忙しく騒がしくなるよ。 僕は、そんな、海の見える、小高い丘の上で生まれた。 全体の色は、茶色、羽根に黒い点々が並んでいる。腹は灰色でぽってりしてるよ。 でも、僕は、兄弟達とは少しだけ違っていたんだ。二枚の羽根の点々は同じだよ。 でも、僕の尾羽根をみてよ。ピンと広げると尾羽根の先に一列に赤い線が入っているんだよ。 太陽の光を受けると、これが光るんだよ。身体に力を入れてもひかる。 子スズメたちは用心深い。 カラスも、トンビも、ワシも、タカも、ああ、もうそんなに、たくさんの種類の鳥が、居たかどうかも、知らないけれど、母鳥はいつも巣が、敵に見つからないように、得物を、捕まえても、真っ直ぐには巣へかえってはこない。 あっちの枝にちょっと、とまり、茂みをくぐって藪の中を通っていつも、周りに気を使ってヒナの、安全をまもっているのさ。 母さんが、帰ってきたら、ヒナ達はピイ、ピイ、ピイ、大声で鳴いて、飛べない羽根をばたばたさせて大騒ぎだ。僕も、もちろん鳴くよ。 母さんがくちばしに、バッタだの、トンボだの、くわえているのがみえるもの。 僕は、羽をバタバタさせて背伸びをして、母さんをまつよ その時、ちからが、はいるんだ。尾羽根に、いや、からだ全体に、明るい太陽の光が、尾羽根の赤い線に反射してひかるよ。 兄弟達は、ビックとする。僕は、もっとしょんぼりする。 兄弟達は、僕のうえに飛び乗って、自分のちいさな羽根を広げて隠そうとするんだ。 上に、のっかている、兄弟達が、争ってえさをもらうよ。 皆が、夢中で食べ始めると、ぼくは、やっと、首をそっと挙げることができるんだ。 母さんは、もう、次の狩へ出かけるために、後ろをむいて飛び立とうとしている。 僕は、母さんを頼りにしている。 「お母さんというのは、子供が、かわいいものなんだよ。」兄弟達はそういう。 だから、僕は、チュン、て鳴くんだ。「僕は まだだよ。」って、その時、力を入れるから、尾羽根が、キラッとひかるんだ。お母さんは、チック、と僕を見て、困ったような、顔をするよ。そして、忙しそうに飛んでいくんだ。 フ フ、と、兄弟達が、そっぽを向く。これが毎日の悩みなんだよ。だから、僕はくふうすることにした。 弱っている、かこうをする。かっこうをしてるんだと、自分に、言い聞かせていたけど、 エサはもらえないし、踏まれるし、本当に弱っていたんだ。 母さんが、僕がうずくまっている隙間に、力強く止まった日、僕は、大きく口を開いて得物のすぐ下にもっていった。お母さんは、口の中へ得物をいれる。 兄弟達は、エサを もらうため、大騒ぎしながら、僕の上にとびのってくる。光っていても、光っていなくても、兄弟達にとっては、いつものことさ。なにしろ夢中だからね。 尾羽根は光らない、光ってもみえない。僕は、いつも神経をピンとはっている。 羽ばたく音、風の音、木をゆする音、足が、小枝をつかむ音。 「ききわけるんだ。」
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