寒い部屋
けむりが立ち上る何もないこの部屋で、僕は枕をかかえながらひとり、明日を見ようとしてた。楽しいことは今日のうちに味わって、あと眠るのはまた明日にしよう。いつしか覚えられずの出来事が 僕の気持をかえる前に、なんとか生きる意味を見つけたいんだ。その気持ちだけがある。
とぎれた間―――
僕は手帳を持ったまま 到着した電車に乗り込んだ。少し痛む左の肺をおさえながら 少々密集した車両の中にまぎれた。 どうしてもまわりが気になる僕は何も考えないで、手帳の白紙に思うことを書きつける。 僕の心がとまどう前に、少しでも早く書き出さなきゃいけないんだ。それで少しの時間を意味のあるものにできるなら。
自縛症―――――
何てことないのに思わず手が首を絞める。はらりと払うその手を今度は左の手がおさえつけようと 自分を苛む。真面目に生きたのが束の間なら、僕が生きるのも束の間。 どうあがこうと僕の肩は、これ以上あがることはない。 僕はこの人生に納得しなきゃいけないんだ。
黒い看板――――
カバンの上に両手を置き、しばらく外の風景を眺めた。 これしかすることのないこの僕は、俗世間の欲の前に、ただ 負け犬姿を見せつける、その姿にしかすぎない。 ひとつものを思えば だんだん暗さがつのり、やがては落胆の闇に沈んでしまう。どれだけ僕が心の耳をすましても、人というのは かわりはしない。 どれだけ僕が冷たい優しさ装おうと、まわりの景色はかわりはしない。 おどける姿は一時の余裕、涙の素顔は文なし浪人なら、華やかな看板も、一歩入ってみれば すべてが色あせる。かなわぬ夢がまた空に舞っていくんだ。
僕から欲をとってほしい。
疲れ――――――
何だ、この何も考えられない心境は。家に帰るといつもこうだ。どこかに行ってる時は 帰ってしたいと思うこと山ほどあるのに、実際帰れば 何もするヒマなく時間つぶし(ギター奏楽)か寝るだけだ。何かしたいとは思うが、いざしようと思えば おじけづく。ストレスがたまるワケだ。
どこかに行って手帳にでも、思ったことを書く、というのもなかなか悪くはないものだ。
そうだ、面倒臭がってないで、やりたいと思うことをやればいいんだ。そうすれば今みたいに力が入らず 少しでも high になれる筈だ。 それからものを書くというのも してみる価値はある。
くだらない気づかい
またか、大学入って今までのくり返しは、しないつもりでいたのに またいつかのあの心境なのか もうヤだぜ、何で俺ばっかり気づかわなきゃならないんだ。喧嘩でもしろってのか、この 俺が。つくづく思いはするが、今のこういう絵柄はぬけ出したいんだ。 つまらない静かさはもういらない。ただ気づかいすぎて しょうもない過去が尻尾をひいてるにすぎない。 どうせ人の人生は 皆 不条理、あがいたところで どうにもならん。俺は思うように生きる。ただ臆病はなくならないが。
『臆病を別のかたちにかえてやる』 『最近の世の中が手にとるようにわかる』
『下らない意味づけはもうおわりだ』
憧れと欲―――――
もし生れかわるとしたら、もっと上背があって、顔も も少し 細くシャープでカッコよくて、髪型もカッコよくて、何着ても似合って、運動神経も抜群で、唄だって上手くて、声もカッコよくて 理系、文系ともに頭がよくて、 あと優しさと冷たさを同じくらい持ち併せてる、そんな人になってみたい。
もし生まれかわれるとしたら、 とびきりかわいい女の子になってみたい。
恋愛知らずの欲情男 ―――
冷たい水面から何もできない男が 生れてきた。 その男は嵐が通る前、その時代に居すわり続けた。 どこへ行っても必ずひとりで、友達はいたとしても、誰一人本音はあかさず、胸の痛みは奇声をあげてそのひびきを思い知らせた。 何かにつけてコーヒーを飲んで、くり返しの夜明けを待ち続け、 光が見えてもかたくなと偏見でそれをかき消してしまう。 人のささやきもまるで聞こうとせず、“不思議だ”と思うことはすべて違う理屈で言い鎮めた。 その男は流れる涙に溺れながら、チャチな言葉遊びを楽しみ、 偏見の袋小路へとつき進んでいった。
人の間―――――――
この世に愛した人なんていなかった。いたのは迷い続ける僕一人だ。 僕一人のことしかわからないでいるこの僕は、どんな感動事も他人の諸事で関係ないとしてしまう。 そうとしか見ることができない。何もいらない。欲しいのは僕だけのパラダイスだ、何の不安もなく、どこにも行かなくていい、ただ孤独と話し合う、そんな楽しい場所だ。 どんな慰めもいらない。欲しくない、他人(ひと)は誰もいてほしくない、いれば僕か誰かがただ気づかうだけ、そんなもの何の得にもなりゃしない。 とぎれがちでも、孤独の優しさが 今欲しいんだ。親にさえ何かと不自由感じるこの僕は、もうこの世で生きててもどうしようもない。ただ居にくいなら さっさとここから離れてみたい、人間の世界などたやすく壊れて、埋もれた安らぎなど何の意味もない。運命ぎまりの人間なら退屈しのぎにでも、こめかみを撃ち抜けばいい。少しでも本当が欲しい。
この世の生活では なかなかわからない、クリスチャンな僕は あれから いくらか年を経てきたが、偏見だけがその経験を担い、あとの僕はただ死のうとする。 この世のことなど つまらないと言い続ける主張は、ねじ曲がれば すべて虚構になり、僕は生きる意味を失う。弱くてもろい僕という人間は この世に来て何をすればいいのか未だにわからない。欲しいのは欲からだけじゃない、目に見えない 時に正反対のものだってあるんだ。神様が男のために創られた女だけじゃなく、他に欲しいものだって僕にはあるんだ。恋なんてくだらない。死ねば同じじゃないか。一体この世と死後の未来に何が残る、死後の一寸先もわからない人間にとってそれは、この世の過去なんかよりも小さいものに見えてしまう。 欲を誰かにあげてしまいたい。 もうこの世の中では“欲しい”なんて気持ちは抱えたくない。いっそAV男優にでもあげれば それは 大きな“たし”にもなり、僕だってそれからはラクになれるだろう。欲はいらないよ。 僕が思うのは この世と天国(パラダイス)というところだけなんだ。 この世に命をさずかる一秒前に 僕は(人は)どこにいたのか、本当に根も葉もないことだが長い束の間で考え続ける。 もうまわりの人間もいらないよ。疲れた。 憧れるのも、笑うのも、泣くのも、怒るのも、みんな疲れた。もう何もいらない。 この世を捨てたい。 僕は天使にでも生れてたかった、まァもし そうなったとしてても、今こんなことを言ってる僕の存在は同じことをくり返してるかもわからないが。.. でも僕はもう疲れてるんだ。 人の顔見るのも少し嫌だ。 喧嘩するのもくだらなく嫌だ。 人を好きになるのも バカバカしくて嫌だ。 本当、すべてはバカバカしい。
考えなくてもいいことばかり考えてるのだから。 何故神様から与えられたもので 世紀末を迎えねばいけないんだ。僕はこんな苦しみが欲しくて生れてきたんじゃない。 僕という存在があったのはいつ頃からなんだ。何が目的で僕という存在を創られたのか。(他人のことはわからないが)。 何も通さず あなたが直接今教えてほしい。 何故に こんな弱い人間を こんな時代でも試そうとするのか、人間が半分汚れていればもう半分はそれを見るに絶えず、とても増大しきった欲を抑えきることはできないでしょう。 もしそれを本気で抑えようとするならば、人から欲をとるか、 あなたの手で人すべての心をかえてしまうことです。 でなければ 欲の快感に溺れ続ける人間達はやめようとはしない。 こういうくり返しは歴史上治らない病気だ。 いくら道徳の上でわかったとしても、その束の間の道徳など チャチさにかえてしまい、また快感の正しさに染まろうとする。 もう僕にはカンケ―のない世の中は来るところまできた。 僕は、次の行動をあなたがする前に、あなたの元(パラダイス)天国に早く帰りたい。
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