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作品名:六月までの自立 作者:天川祐司

第2回   六月までの自立
六月までの自立

 明るくかきたい。せめて、明るく。暗くかいたら、益々、どうしようもない。きっと、僕の、唯の、偏見に過ぎないのだから。又、僕は、これをかきながら、どこかで、やさしく、努めて、やさしく包んでくれる女を、切望している。そして同時に、そんな包んでくれるボランティアな輩は、一人もいないことをわかっている。きっと、この世の中が怖かったのだ。少し、笑顔を作ってみる。鏡に映ったその笑顔は、他人と同じ顔。僕には相異が見えない。又、僕には、友達が余りいない。僕の友達は、二人だけ。同じ小学校で、同じ中学校で、同じ高等学校で、同じ大学。幼い頃から一緒に暮らして来た。しかし、僕は、深く、付き合おうとしているのに、その友達は、そうさせてくれないのだ。僕は、普通じゃない者を見る時、努めて、そいつの過去を見ようとして来た。(無駄なことは承知の上で。)しかし、そいつは「ありがとう。」も何も言わないで、それにさえ、気付いても何もない。僕は、一人で、当り前のようにしているその者を憎んで、十年、どうしようもなかった。(これも偏見。)畢意、僕だってそう成りたかった。無神経な、つよさが欲しかった。何も考えないで生きてゆけたらどんなにいいだろう、と思う。”生きていて、何故、怖がるのか..”それが、僕の口癖だった。僕自身がどうしようもないのではないか。同じ世間で、自殺をしている者を見ると、ふと、そう思う。そういう輩は、自分のそのどうしようもなさを、自ら、解決しているのだ。孤独の中で。僕はひと頃の、虐めを苦に自殺を重ねた、少年達のことを追憶する。一体、この世間を、何と思っていたのか。その、自分の首を吊る縄に手をつける前に、怖くはなかったか。首を吊ってしまって、そこから、死に堕ちゆくまでの間、苦しくはなかったか。その時に、自分の居た世間を、まだ、恨んでいたか。不意なる後悔はなかったか。自分の脆弱(よわ)さを悟ったか。聞きたい。本当は、僕は、何もかけない程、今、落胆しているのだ。略、絶望の中にいる。とてつもない憎悪の、一歩手前にいる。感情を入れずにかくことが、やはり、出来ない程、辛く、何彼、”当たり”たい気分だった。もう、こんな文章、どうでもいい、とも思っている。嫌な面影が、連鎖する。昨夜、テレビで、会社のストレスが原因で、死ぬ程、悩んだ末、円形脱毛症になった、という人の話を、聞いていた。その人に対して、僕はこう思う。「そんなになるまで、悩み堕ちて、続けて、この世間の見るもの、人、すべてが、敵には見えなかったのか。」僕の思いは、ここでは止まらない。やはり、生きる為に仕方が無かったのだろう、と、親身になりさえもする。最早、適当で良いではないか、という言葉さえも、飛び出して来る。きっと、体の中では、喰い切れなかったのだろう。誰かを、精魂掛けて憎めたら、と思う。その勇気もない。勇気のない輩は、所詮、この世の中に生きてゆけないのだ。世の中には、弱者としてしか、必要ではないのだ。”僕は、弱者などではない!!”、嗚咽する。生きるのは、至難、忍耐の連続。或るところでは、試練。世の中が汚い、ということは、もう、知っている。知っている故に、その「汚さ」の刃が、ついに、僕に向ってきたか、と連想する。奇麗な、爽やかな、真実なことをしてやると、決まって、見られて、抑えつけられる。殺しはしない。殺してしまえば、殺人罪で問われる故に。そこのところは、きちんと考えている。悪知恵。名ばかりの正義が、あぶく銭の為に、もう、幾つも出て来た。強者は、自分の強さを誇る為に、弱者を傷めつけたいらしい。弱者は、被害妄想に明け暮れねばならない。始まらないのだ。何もかもが。奇麗なことが、始まるわけがない。やはり、天国でしか、無理なことなのだろう。神様は、何故、こんな世の中をいつまでも続けて居られるのだろう。これこそが、弱者の戯言。強者は、こうは、言わない。今が、一番、栄(盛)えているから。今が、楽しい故に。聖書には、自殺者は、いけない、と記してある。では、強者は良いのか。否、そんな理屈が在っては、元も子もない。この世にいる同じく神を知らない弱者は、神を呪わなければならない。(この世にて...。)しかし、同時に、今が貧しい者は幸いである、とも、聖書には記されてある。矛盾している。

 K君が死んだ時(自殺で)、周りで、本当に泣いたのは誰も居ない。唯一、泣いたのは、K君の両親だけだった。周りの者は、その事を尻目にしてから、糧にしてしまい、次の生活へと足を踏み始めた。男もだが、女もだった。否、女の方が、女の分、その冷たさは、度を増していたかも知れない。何故。K君は他人である。

 昨夜見たテレビが、未だ、耳に焼きつく。ああまで、物事をはっきり言い切ってしまう、女というのを見れば、多大影響(悪)を及ぼすのは、当たり前である。”見なければ良かった”と、後悔する程に。お陰で、弱者に、それぞれ、偏見が行き届いたことだ。かたくなになるであろう。あの場面で、怒っている者を見て、それが与える影響というのは、唯の、相乗効果である。”自分はここまで言えるんだ、俺だって、ビクついてないぞ”(各々、タレント論)という風な。結局は、つけ上がってるだけなのだ。何の解決にもならない。誠に、しない方が良かったのである。(裏《うしろ》で、視聴率を操っている輩の者へ。)誰も、我がお金(マネー)で、他人(ヒト)の迷惑など、考えない。....

 どこかのヒデが死んだ時と、K君の死の時は、偉く、違う。あれが、ひとのランク(数値)だろう。

 窮地に追い込まれた時は、やはり、思う。自分のことは自分でしなければならない。そうは、思ったが。僕に妹でも居れば良かったのに。子供の幸せ。しかし、生きてゆかねばならない。

 最近、「死」が間近に感じる。背に乗っかっており、あまり、前屈みになり過ぎると、その”もの”が滑り落ちて来て、そのまま奈落へ堕ちてしまうような。最近、少し、落ち込んだだけで。呼吸もし辛くなり、今夜辺り、死ぬのではないか、と、思うような、悪寒に襲われる。時間が経った所為であろうか、とも思う。しかし、生きてゆかなくてはならないことには変わりなく、斡旋しなくてはいけない。その度に、恐怖が走ることを、憎く思い、つよく在らねば、と、叱咤する。こんなになったのは誰の所為?息を忘れようと、体のどこがが、するのだ。物理(ものごと)的に、それで体が苦しくなる。呼吸困難に陥った程に。又、思う。”適当なつよさ”が欲しい。何もかも適当に済ませて、無事なつよさ。多くの人と、広く、浅く、付き合うのが上手かった者。その術を教えるべく、僕に、乗り移って欲しい。使い古す感動を、真実の感動と見做す、適当さ、を。女のつよさだって。.....

 明日も、今日と同様に、仕事が待ち構えている。やはり、喧嘩をしなくてはならないのか。こう訊けば、誰とて、「喧嘩など、何を馬鹿なことを言ってるんだ?」と、しらける。常識ではないのだ。あの人の辛さが、気を休める。息も苦しい。塞ぎ込めば、どこまでも塞ぎ込んで、死にまで、達してしまう。危ない。危ない。友達になれる、と思っていた奴と、相違ったことのショックか。何を震えている。お前だって、以前に、そんな成り行きで、バイトの一人を辞めさせたではないか。お前だってやっている。それを、自分の思考癖だ、と、思い込むな。生きる、と決めたんじゃないか。今は、生きよう。それだけを考えていよう。来年の六月まで、自立する、と言ったのは、自分の為だ。それこそ、負け犬になってはいけない。その先は、その事の越えた後で、考えれば良い。金を稼ぐことだけを考えていれば。

この汚い世間。そして、それがステータスと成り得る世間。どこかが間違ってしまったのだ。どこかで。

自殺した後、僕の友人だったあの二人は、僕をも見放すだろう。よわむしだと。

友達解消。このことは、ほんとうにある。皮肉にも。

もう、いい加減、疲れた。この先、楽しいことばかりが起こればいいのに。

誰か、”おれ”の味方になってくれ。”おれ”から離れてくれ。”おれ”はよわいのだ。

何故、ここまで突き落とされるのだ。何もしていないのに。男女共々。

見えないところで苦しむのが、真実の苦しみである。唯我独尊。面白い事を言っても笑われず、悲しい事をしても泣いてはくれず、喜んでいても喜んではくれず、僕が、ここで孤独で居ても孤独にはなってくれない。その、唯、苦しみ。

誰か、何者か、脆弱(よわ)き者に力を。

一人で生活する気力さえ、不条理で無情な外界からの悪戯で、壊れてしまいそう。

神様、教えて下さい。この世のどこに、安らぎというものがあるのですか。永遠に続く、安らぎが。どこへ行っても、何彼、何かのきっかけで突き落とされる。

僕の親友は、友人のない者達だ。だけど、決して、話したりはしない。会いもしない。会って話しさえすれば、途端に、その瞬間(とき)から、親友でも何でもなくなるから。

この世で、表向き、つよい者は、愚かな言葉ばかりを吐く。全て、その行き先に、自分を見据えているのだ。

不条理だ。時間が進む。不条理だ。時間がなくなる。不幸だ。考えが纏まらず、明日を迎え、睡眠不足で、健康をなくす。一度、一度。

「この世の、臆する者へ」
 せめて、この僕というものの脆弱(よわ)さが、この世に在ることを知って、他人(ヒト)よ。つよくなれ。そう、在ってほしい。同頁。勇気。改悛。


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