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作品名:L.e.v.e.l. 作者:赤鉈 塩

第3回   Level.3(take,2)
BGM:フタリボシ
 はーい、差し替え原稿ですよー。やっぱりねー。
  シンゴとユーカは公園に来ている。青少年に悪影響を与える不健全な表現は駄目だって言われたら仕方がない。別にこんな小説読まなくてもいいのに・・・。
 はあ・・・。ま、いいか。気を取り直して・・・。
 シンゴはクローバーの群生を見つけると、四つ葉を探す事にしている。少女趣味、と思われるだろうか・・・? そう言われると思って、この習慣は誰にも話した事がない。だがシンゴは別に、四つ葉のクローバーを見つけると幸運が訪れる、とか言う話を信じているわけではない。
 遺伝子学的に言えば、クローバーの群生の中に四つ葉が存在するのは極希にではあるが当然であり、幸運とは関係がない。確率論的に、何千分の一とか何万分の一とかの確率で必ず存在するのだ。
 後は探す者の観察力、見つけようという固い意志、そういった能動的な行動が、群生の中の四つ葉を発見させてくれる。そういうものが幸運と言えるだろうか・・・?
 しかし、幸福とは確かに関係があるだろう。当たり前に存在するが、見つけにくい物を探そうと努力する姿勢、見つけるための能力、実際に行う行動、それらを兼ね備えた者が幸福を手にしやすい。・・・かも知れない。
 或いはそのようなものの象徴としてなら、四つ葉のクローバーを見つける事が幸運をもたらすと言えるだろう。結局、そういうものは自分で見つけなければ意味がないのだ。
「はい。ユーカ」
「わあ! 四つ葉のクローバー! くれるの? ありがとう!」
 まったく、無理しちゃって。ホントは・・・。まあ、普通の女の子ではあるか。

― + ―

突如として世界に溢れ出した異形の者共。フィクションの世界でゾンビ、屍霊等と言われるそのものの姿をしたモンスターの出現により、世界は一夜にしてリセットされた。マヤ歴で言うファイナルカウントの時期に近かった所為もあって余計に世界は絶望のどん底に叩き落とされた。最初に出現が報告された日本のある企業の研究により、モンスターの正体や対処法が公表され、とりあえず人類絶滅の事態はなくなったものの、世界中にモンスターが溢れている事実は変わらず、人類総引きこもり状態が十数年経った今も続いている。
                         「一度終わった世界」サルヂエ学会


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