BGM:アルビノ 「わたし、セックスがしてみたいの」 ハンバーガーショップの片隅で高校生カップルがする会話とは思えない内容だ。しかし考えてみれば、この年頃なら、頭の中は寧ろセックスの事ばかりなのかも知れない。率直過ぎるところが鼻につくが、不毛な駆け引きがないだけ却ってましとも言える。 そんな訳で、自分に似つかわしくないと思える場所に何とか溶け込もうと、シェイクという奇妙な飲み物を喉の奥に押し込みながら、シンゴは彼女の突拍子もない話の続きに耳を傾けた。 「わたし、筋金入りのエッチみたいなの。毎晩オナニーして寝るわ。でもやっぱり段々それだけじゃ物足りなくなってきて・・・。どうにか出来そうな男の子をいろいろ調べてみたの。それで、あなたかなあ、って」 「かなあ、って・・・」 「わりとめちゃくちゃ考えたんだよ。あとその手の、学術的な本とかも読んで。体育の後の匂いとかも嗅いだりしたよ。それで、あなたかなあ、って。どう?」 「・・・ん、極めて真っ直ぐなアプローチだと思うよ。何というか、160qのストレートというか」 「速すぎる・・・? わたし、・・・変?(うるうる)」 「い、いやいや、わかりやすくていいって事だよ。OK、分かった、お受けしましょう」 「ほんと? よかったあ。断られた時の事考えてなかったから・・・」 交渉成立、という風にユーカは手を差し出す。もしかしたらこの子も僕と同じで、見てくれだけ良くて中身は変人という人種なのかも知れない、と同情しつつシンゴは、差し出されたユーカの手に接吻の真似をする。 契約の内容も碌に確かめず、契約書にサインをしてしまった迂闊な保証人のように…。 さて…。
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