わからない。わからなくなった。
頭の中でぐるぐると駆け巡るもの。 それが整理出来なくて、いつものように 自分の存在がわからなくなる。
主人公(私)には、 重大な秘密がある。 世間一般では、こう呼ばれている。
二股。
そう。
同時進行の恋愛がある。
どちらかを、選ぶなんて そんなこと、出来るわけがない。
苦しい。
いつか、同時に二人を失うことになるかもしれないのに。 この状況から、抜け出せないでいる。 臆病者だ。
こんなはずじゃなかったのに。。
「おはよう。」 その言葉から、全てが始まった。 出会ってしまった。 自分で望む出会いなんてない。 全てが偶然の組み合わせに過ぎないのに。 出会ってしまったんだと思う。
彼、いや、彼女と言った方が正しいのか、彼氏と呼ぶべきか。 名前は“ゆう”
ゆうは、そう言うと、 照れ臭そうに笑った。
「お、おはよう。」 と、一言。
職場は、とある田舎の某病院。 赤字だらけのね。 職員は全体で300人程度というところか、 私は自分の勤め先に興味がなく、大体このくらいだろうとしか把握していないのが本音だ。 日勤と夜勤でシフトが組まれている勤務では、 日常生活が不規則で、私は常に寝不足という不満を抱えながら過ごしている。 勤めて3年になるが、少しずつ、いろいろ任せてもらえるようになった。 その1つに、ある研究発表というとても面倒なものを押し付けられた。しかも私がリーダーとしてまとめなくてはならないというから、これまた責任重大だった。
「今日、少し集まりたいから、残れる人はお願いします」 私がそう言うと、 メンバーとなった人たちは、表には出さないが笑顔で返事をくれた。
「今後の構成とテーマ、スケジュールを立てたくて」 私は、申し訳ないという表情と態度で下手に出て、メンバーへの協力を依頼した。 順調に話し合いかわ終わり、休憩室では、いつもの通りおしゃべりが繰り広げられている。
通称“変わり者”と呼ばれている彼女は、 ダイエットしていると口に出しているわりに、スナック菓子を片手におしゃべりに夢中だ。 「そうだ、ゆうちゃん、よろしくね〜。彼氏とかいないの〜?私はいないし〜、そういう1つにらしき人すらいないよ〜、持てないし、出会いがないよね〜。」
よくしゃべる。
「自分は、いないです。」 ゆうが答える。
「へぇ〜、モテそうなのに、理想が高いとか?」 「そうかも。」
私は二人の会話を聞きながら、聞き流し帰る身支度を始める。
「今度、みんなで飲み行こうよ〜。ゆうもこの病棟に来て間もないから、歓迎会としてさぁ。」
いつものノリで、通称“変わり者”の彼女のお決まりのセリフだ。
私とゆうは、困惑したが、 その場の雰囲気を壊したくないという気持ちから、苦笑いは出てしまうが必死にこらえ、その誘いを断れずに返答する。
「行きたいね〜。」
私は思ってもいない言葉を言ってしまった。
ゆうも、私と同じ気持ちだったに違いない。
その日は、時間が時間だった為飲み会を免れたが また改めて飲み会の誘いがあるかという予感を漂わせたまま、 職場を後にした。
私とゆうは同期で、つい1ヶ月前に、ゆうがこの病棟に移動してきた。 同期と言っても、病棟が違うと名前は知っていても話したことすらなかった。 人見知りの私にとっては、同期という事が救いで、自分から話しかけることは出来ていた。 ゆうの反応も、まぁ同期という救いからか、ぎこちないが悪い雰囲気ではなかった。
ただ、ゆうは女でありながら、 その容姿は、ショートに色白、眼がぱっちり垂れ目で、 誰もが羨む美人、いや、美男という表現が当てはまっていた。
私は、ゆうと話す度に 人見知りという理由もあるが、ドキドキしている感覚があった。
でも、レズではない。
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