某月某日 「今日の総選挙は如何なるんだろうね?」 会社の同僚達が皆んなで話しをしている。 あれ?今日が選挙?平日なのに?それも総選挙?地方選ではなく?私は全く知らないぞ。私は二十歳から今まで、投票を欠かしたことは一度もない。それが私の唯一の自慢である。その私が選挙を知らなかったとは!何故? まずいではないか!このままでは唯一の自慢すら、なくなってしまう。どうすれば・・・。 いや、今日が投票日なのであれば、夜の8時までなら投票ができるはずだ。慌てる事はない。定時であがり、役所へ行って聞いてみるか。 考えをまとめ、落ち着いた私に次の情報が舞い込んできた。 「でも、今回は、アッチャンが出ないからね。その票とかって如何なるんだろうね?」 ん?アッチャン?誰のことだ?麻生太郎か?いや安倍晋三か?何処の党の有力候補者なんだ?私が思考をこらしている間も同僚達の会話は進んでいく。 「やっぱり、一位はオオシマユウコなのかな?」「カシワギユキかもよ。」「いや、マユユだって。」「名古屋からの刺客マツイレナを甘くみないほうがいいね。」 オオシマユウコ、カシワギユキ、マツイレナ・・・知らない。一番解らないのはマユユだ。レンホーみたいな感じなのか?しかし、出て来るのは女性党員ばかりだな。何年か前のマドンナ旋風の再来か?うーん気になる。 しかし、同僚が次に口にした言葉で私はこの総選挙から興味を失った。 「でも凄いよね。アイドルグループの人気投票が、国民的イベントになっちゃうんだからな。」 なにー!アイドルグループの人気投票だと。なんだそれは!そんなのに総選挙なんて紛らわしい名前を付けるな。あーあ、気にして損したな。 まっ、いいか。役所行かなくてすんだし。帰りに合気道の稽古にいこうかな? 私は自慢出来るもの、自信のできるものが自分に欲しかったため、半年前から、合気道を習い始めた。でも指導員が問題なんだよな。
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