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作品名:コトダマ集 作者:或ル実

第1回   ほおずき

「ほおずき」

月がさらわれた
あの日
小さな灯りに誘われて
私は私を出ていった

あれはかすかな鬼灯

夜露に濡れる
小袖も気にせず
そっと
暗闇に舞い上がる

それはかすかな道しるべ

暗闇は
ツルが織り成す幻

枯れた
鬼灯一つ掌に
その姿はまるで
心のよう



 −−−−−−−−−



「   」

あなたの笑顔は
何故だろう
秋風に似てる

びっくりして目を覚ますと
まるで
悪い夢だったかのように
僕の心は
スッポリと抜けてしまう

あなたの笑顔は
何故だろう
淡雪に似てる

いっそのこと
消えてほしい
どんなに必死に願っても
あなたは僕をすくいとるだけ

どうしてあなたはいつも
そんな
淋しそうに



 −−−−−−−−−



「雑音」

世界がぼやけてく
合わない眼鏡をかけて
世界とは程遠いものを見つめ
思い出したように振り返る

昨日よりぼやける世界

不確かなモノが
不確かなヒトを乗せて
色づいてく

どこまでぼやけていくのだろう
そのうち捨てられた絵の具のように

混ざってしまいそうだ


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