「ほおずき」
月がさらわれた あの日 小さな灯りに誘われて 私は私を出ていった
あれはかすかな鬼灯
夜露に濡れる 小袖も気にせず そっと 暗闇に舞い上がる
それはかすかな道しるべ
暗闇は ツルが織り成す幻
枯れた 鬼灯一つ掌に その姿はまるで 心のよう
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「 」
あなたの笑顔は 何故だろう 秋風に似てる
びっくりして目を覚ますと まるで 悪い夢だったかのように 僕の心は スッポリと抜けてしまう
あなたの笑顔は 何故だろう 淡雪に似てる
いっそのこと 消えてほしい どんなに必死に願っても あなたは僕をすくいとるだけ
どうしてあなたはいつも そんな 淋しそうに
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「雑音」
世界がぼやけてく 合わない眼鏡をかけて 世界とは程遠いものを見つめ 思い出したように振り返る
昨日よりぼやける世界
不確かなモノが 不確かなヒトを乗せて 色づいてく
どこまでぼやけていくのだろう そのうち捨てられた絵の具のように
混ざってしまいそうだ
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