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作品名:私がモテない理由、教えてください。 作者:蜂 なな

第2回   2
モバゲーは中学の友人や高校の一部の友人と繋がるためだけに登録していたのが、サークルというものに入れば同じ趣味の知らない人とも繋がることが出来るので楽しかった。
私はバンドが大好きで、好きなバンドのサークルや、ライブ好きが集まるサークルに入っていた。そこでたくさんの友達ができた。ネット上の関係なのだけど。
とくに10-FEETが大好きな私は10-FEETのサークル内にたびたび出現する『タクマ』という人の書き込みが面白くて、その人のファンになっていた。10-FEETのヴォーカルがTAKUMAという人なので、その人もよっぽど10-FEETが好きなんだろうと思う。
しかしモバゲー内でも内気な私はタクマさんと交流することすら出来なかった。
それが突然、タクマさんから友達申請が来たのだ。かなり嬉しかったのを今でも覚えている。
あまりにも高校生活が楽しくなかったのだろう。私はネット上でしか知らないタクマさんのことが本気で気になっていた。それが高校2年の夏だったと思う。
私はなんだか諦めきれずにタクマさんのことをもっと知りたくて、mixiで彼を探してみた。あっさり見つかった。勇気を振り絞ってマイミク申請を送って、私たちはマイミクになった。
そのあとはたまにメッセージのやり取りをしたりするだけで、私も別に彼のことを気にしなくなった。すると突然、タクマさんからメールアドレスを教えろというメッセージが来たのだ。男の子とメールをしたことが無かった私はどうすれば良いのか分からなかった。が、即決でメールアドレスを教えた。

そこで彼の本名を知った。ユウジという名前らしい。幼稚園のとき好きだった初恋相手もゆうじ君だったな、としみじみ思い出した。私よりも2つ年上で長崎に住んでいるらしい。私は奈良に住んでいるので、とても会える距離ではなかった。しかし私は大学生になれば長崎まで会いに行こうと本気で考えていた。
そして私たちはいつの間にか電話までするような仲になっていた。頻繁ではなかったが、3ヶ月に1回とかいう気まぐれな頻度で彼から電話がかかってきた。私には男友達もいなかったので彼とメールしたり電話したりする時間はとても新鮮で貴重だった。もちろん私はユウジのことが大好きになっていた。

もう私も高校3年生になってすっかり受験生だった。
ユウジは受験に病んでる私にメールや電話でエールを送ってくれた。彼がいなければ本当に頑張れてなかったと思う。

そんな中、またもやモバゲーでいきなり私にメッセージを送ってきた男がいた。
名前はダイスケ。彼は愛媛に住んでいる同い年の男の子だった。彼ともメールアドレスを交換して電話する仲になった。そしてダイスケも私に受験を心から応援してくれていた。それでも私はユウジのことが好きだった。

私は高校を卒業したあとも受験生だった。3月の後期試験まで粘ったのだ。しかし私は第一志望の大学に合格できなくて、適当に受けた滑り止めの大学に進学することになった。
後期試験に落ちた日にダイスケから暖かい留守番電話を聞いたときに大号泣したのが今でも忘れられない。本当に頑張ったのに報われなかった大学受験が悔しくてたまらなかった。


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