ヴァレリーは、ここ何年来ないほど、ぐっすり眠れたと思う。 それにこの太った男の胸に横たわっていると、信じられない ほど平安な気持ちになれる。
“なぜかしら?”と心の中で問いかけながら、ベッドの上で くつろげる時間を愉しむ。ふと、目を開けてデヴの顔をみると、 モジモジしながら何か言いたそうな雰囲気がうかがえる。
「デヴ、どうしたの?」
「あッ、あの〜、ヴァレリーさま。さっきからずっと私の…を握っ ておられるので、興奮しまくってまして…。それはそれでうれしい んですが、でも、私の…って、やっぱり小さいでしょう…… それがヴァレリーさまに分かられてしまうのが恥ずかしいんです」
デヴの告白を聞いて、ヴァレリーは思わず笑ってしまう。口を手 でおさえてその笑いを抑えようとするが、すると今度は目尻の方 から涙が流れてしまう。
「今まで、何人かの男から『僕のは小さい?』って訊かれた ことがあったわ。改めて思うけど、男の人って、本当にペニス の大きさって気になるのね。そう、デヴも気にしてたの…」
デヴは笑い事じゃないという顔で、少し困惑した表情を見せる。 すると、ヴァレリーは毛布をはいで、今握ってるままの彼のペニ スを、上下にしごいて、できるだけ大きくしてみようと試みる。
「大丈夫よ、デヴ。たしかにベルホルトなんかに比べたら、ちょっと 見劣りしちゃうけど、あなたのサイズ、私にはちょうどいいと思う。 太さも、長さも、私の理想のペニスよ。この先の出っ張りのカタチ、 とっても素敵よ。これ、私専用にできたら嬉しいんだけどなあ〜」
ヴァレリーの甘えるように見上げる目線をみながら、デヴの心臓 は、さらに高鳴る。一方で頭の中では“ヴァレリーさまの専用って ことは…一体何を意味するんだろう?”という思いが行き来する。
「女性にもいろいろあって、もちろん、長くて太いペニスを好む 女もいるわよ。でも、私の知る限りで、巨根を好きだなんて女は いなかったわ。むしろ、いきなりデカいのを見たら、恐いってい うのが本音じゃないかしら。自分の膣とか、身体が壊れちゃうん じゃないかって不安になるのよ」
「そっ、そうなんですか?」
「そうよ。男性のペニスにも、長さやカタチのバラつきがあるよ うに、女だって、ヴァギナの大きさやカタチも千差万別なの」
ヴァレリーはそう話ながら、デヴのペニスの裏側にあるタテ筋を、 人差し指や爪で、角度や強さを変えながら器用になぞる。彼女は こみ上げてくる快感に耐えるデヴの姿を、楽しそうに見つめる。
「以前、友達だったモデルの女の子がいてね、彼女、膣のサイズが 子供みたいに小さくてね。膣の幅も狭かったの。でも、結婚した 相手のサイズは馬並でね。男性がいくら挿入しようにも、ぜんぜん ダメで、結局は離婚してしまったのよ。男女の相性って、性の相性 でもあるんじゃないかしらね…」
「じゃあ、私のは…、そんなに心配するほどの小さくないって ことですかね、アハッ! それ、超気持ちいいんですけど、 た、耐えられないです!!!」
ヴァレリーは、ソフトクリームを舐めるように、口や舌で彼のペ ニスを愛撫する。伸ばした舌先で、柔らかく、その先端を繰り返 し撫でると、そのたびごとにデヴは肩を揺らして興奮する。
彼女にはこの男を、もっと幸せにしてあげたいという思いがこみ 上げてくる。そういえば、今まで自分がそんな思いになったことが なかったのではないかと、自分で自分の心境の変化に驚いている。
いよいよ彼自身を口に含み、たっぷり愛撫してから、精液の味見が できると思った瞬間、サイドボードに置いていた携帯電話が鳴る。
“It's time to rise and shine.” (起床のお時間ですよ)
"I do not ask for a wake-up call." (モーニングコールは頼んでないわよ)
ヴァレリーは、ちょっと腹立たしい感じで、携帯電話を切る。
「どうしたんですか? ヴァレリーさま」
「ベルホルトよ、頼んでもいないのに、わざわざ起こしてくれたの。 もう、せっかくこれからいいところだったのに、いい雰囲気が 台無しじゃないの、ねッ! これは絶対、彼からの嫌がらせよ」
もう少しでスッキリできると思ったデヴは、また、 蛇の生殺しのような状態に逆戻りされることになる。
一方、電話をかけたベルホルトは、隣に座るエマと笑っていた。
二人はちょっとしたイタズラ心で、ヴァレリーに電話を掛けてみ ようと打ち合わせたのだ。だが、思った以上に電話に出たヴァレ リーの声が不機嫌だったので、デヴと盛り上がっている最中に 掛けたのではと、ニヤニヤしている。
ヴァレリーはそれから少ししてからガウンを着たまま、広間に 現れた。すでに朝食はテラスに準備されており、そこからは 鮮やかな景色のヌーシャデル湖が一望できる。
デヴは先に治験の機材やデータの入ったコンピューターを運ぶつ もりで着替えてきた。ベルホルトは、こっそり彼を呼び、ヴァレリ ーに話が聞こえないように気をつけながら、何か打ち合わせた。
その後、デヴの女性の助手たちが、そっとベルホルトに 手渡したのはワイヤレス式の隠しマイクだった。
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