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作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第97回   マッサージの前に
ヴァレリーは、デヴから一時間ほど、ていねいなマッサージを受
けた。ただ、彼女自身は、マッサージを受けてから30分ほど経
ったあたりから熟睡していた。


デヴは、彼女に毛布をかけた後、いったん部屋を出て、治験の計測
をしている女性たちの元に行って状況を確認した。このまま何も
なければ、デヴと二人の女性助手は、翌日の午前中にデータを
持ち帰り、技術部全員で分析を行う予定だ。


デヴは否定するが、彼女たちは二人とも、ヴァレリーが一人の女
として、デヴの事が好きなのではないかと話を切り出してくる。
また、組み合わせ的には『美女と野獣』というより、『美女と野
豚』かな…という冗談さえも飛び交う。


ただ、見かけを抜きにすれば、デヴの人柄は結婚相手してとして
は悪くないかも知れない。二人の助手もそれほどの親しみを彼に
抱いていたのは、たしかだった。


デヴは、ベッドの上で愛し合うベルホルトとエマの姿を見て安堵し、
再びヴァレリーの眠っている部屋に戻ると、汗を流すために軽く
シャワーを浴びる。そして彼も全裸のまま、彼女に寄り添って
眠るつもりでいた。



それはヴァレリーとの約束だった。



彼は、ヴァレリーを起こさないように、慎重に同じベッドに
もぐり込むが、うつぶせに寝ている彼女の左手に、ちょっと
だけ左手が触れてしまうと、


次の瞬間、彼女がデヴの手を握り返してくる。


“ああ、彼女を起こしてしまった”とデヴは焦ったが、彼女は軽く
寝息を立てながら寝ている。デヴが、ふっ〜とため息をつくと、
ヴァレリーは寝返りを打ちながら、自分の頭を彼の胸の上にのせ、
左脚を彼の左脚にからめてくる。



“困ったなあ、これじゃ、寝れないよ…”



デヴは、自分でも心臓の音が高鳴ることが分かる。このままでは、
自分の心臓の音で、せっかく眠っているヴァレリーを起こしてし
まうのではないか…。彼は彼なりに、いろいろ心配をしたが、
昼間の疲れも手伝い、いつの間にか眠りにおちていた。



朝5時すぎ、ベッドの上で目を覚ましたデヴは、ヴァレリーと抱
き合っている自分に気づく。彼女は両腕でデヴの首に抱きつき、
上からみればキスを交わす寸前の恋人のようにも見える。


デヴの左腕は、彼女の体重で痺れ、軽く痛みを感じる。
それで、ちょっとズラそうとするのだが、手首のあたりから
先が、彼女の股に挟まれて動かせない。


それでも何とか手の向きを変えようとしたところ、左手の
小指あたりが、彼女のある部分にゆっくり沈み込む。


“柔らかな皮膚のようなヒダヒダが、しっとりとした感じで、
 指にまとわりついてくるって…、これは一体何なんだろうか?”


彼は、それが女性の割れ目のある箇所であることに気づくのは、
ほんの少しだけ後だった。心の中で「あっ!」と叫んで、目を
開けると、ヴァレリーがじっと自分を見つめている。


デヴは、心臓が止まるのではないかと思うほど驚いた。


一方のヴァレリーは、今、なぜ自分がこうしてデヴとベッドの上に
いるのか、すぐには分からなかった。でも、彼にマッサージを受けた
ことを思い出すと、すぐに記憶の空白が埋まる。


それに、彼には全裸で添い寝をしてほしいとお願いしていた。



「うふふ、約束守ってくれたんだ。ありがとう」



彼女は再び目を閉じて、嬉しそうに彼の頬にキスをした。



「ねえ、デヴ。今日、私、あなたを独占していいかしら? 
もちろん、あなたに何かやらないといけない仕事とか用事が
あるなら、そちらを優先してかまわないけど…」


「いいえ、ヴァレリーさま。今日は、私、ちょうど
 時間が空いてるんです。ぜ、ぜひご一緒させてください」



デヴは嬉しさと緊張のあまり口がうまく回らない。でも、そんな
彼であることも、ヴァレリーの母性本能をくすぐる要因だった。


実は、ヴァレリーから何か誘われたら、絶対に断ってはいけない、
そんなチャンスは、もう二度とないかも知れないから…
と彼の助手の女性たちから昨晩アドバイスを受けていた。



「デヴ、ちょっと確認させてほしいんだけど…、いい?」



デヴの返事を待たずに、ヴァレリーは彼の男性自身を触ってくる。
一方のデヴは、今でも彼女の陰部に、直接触れている身であり、
断ることなどできなかった。



「元気に勃ってるじゃない! うれしいわ。私の寝こみを襲って
こなかった男なんて、インポテンツか、男色趣味かのどっちかと
思ったの。一つはクリアしたわ。ねえ、あなた、女じゃなく、
男が好きなの?」


「いいえ、私は神様に誓って同性愛者ではありません。ヴァレリー
さまからは『添い寝してね』といわれましたので、絶対に手を出し
てはマズイと、自分に言い聞かせて我慢したんです」


「あははは、それじゃあ、絶対に手を出してって言えばよかった
かしらね。ごめんね、笑って…。あなたって、本当に誠実なのね。
そんな男の人、今まで一人もいなかったのよ」



そういうと、ヴァレリーは、デヴの唇に自分の唇を重ね、舌を口
内に入れて舌をからめ、その唾液を吸い取っては、美味しそうに
飲み込む。デヴは今まで女性と、まともにキスしたこともなく、
ただ、感激するばかりで、頭はクラクラしていた。


ヴァレリーは彼の唾液をすするのが、楽しくなっていた。男性の
唾液を飲んだことは何度もあるが、彼のはなぜかやさしい甘さをもつ。
ひょっとしたら、彼の精液も美味しいのかしら?…という不埒な
思いが、彼女の脳裏をかすめた。



「そういえば、デヴ。あなたのマッサージ、本当に気持ちよかっ
たわ。今までの中で一番上手だった。ほとんどの場合、後から身
体がダルくなるのに、あなたの指圧って、全然そんなことないの」


「それは『揉み返し』というものです。指圧の基本は『押す』
なんですが、たいていの人は揉んだり、つかんだりしますが、
そんなやり方では『揉み返し』が起きるのは当然なんですよ」


「そう、そうなんだ。マッサージも奥が深そうね。ねえ、デヴ、
もし私が、デヴの奥さんになったら、毎日、マッサージしてもら
えるのかしら?」


「○▼@¥÷*…。え〜、あ〜っ、も、もちろんです。ヴァレリー
さまなら、私の奥さんになってくださっても、くださらなくても、
毎日マッサージさせていただきます」



ヴァレリーは、戸惑いながら真剣に答えるデヴに笑いを堪える。



たぶん、この男には、持って回ったようなプロポーズの言葉は通
用しないのかも知れない。そういう鈍いところも、彼女にとって
は大好きな性格の一端ではあったのだが…




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