スイスの、ある山荘の一室
一人の老人が、20代前半と思える娘の女陰に、 口をつけて、むしゃぶりついている。
大きく脚を広げたその女の目はうつろで、左手だけがゆっくり宙 を泳ぎ、口元からは、糸を引くような長いよだれがベッドに垂れ ている。目をみれば、もはや正常な思考などできない女なのでは ないかと思える。
老人は左手に持った酒の小瓶を傾けると、楽しそうにヴァギナに 酒を注ぎ、あふれ返ったところで女性器全体を嘗め回し、沁み出 した体液とアルコールが混ざった液体をすすり続けている。
その老人は周囲の者から、Jと呼ばれているが、 彼をフルネームで呼んでいい者は限られている。
ところで、この山荘には、もう一人、40歳になったばかりの ヴァレリー・ビューレルという女性秘書がいる。彼女は、夜 10時になったら全裸で来いと言いつけを守って部屋に入った。
そこはヴァレリーが見た2時間の光景とほぼ同じだったが、 若い女の方はJの変態じみた愛撫に、限界がきている。
「Jさま、最近はその娘が、お気に入りですね」
「人間、年をとるとな、こういう事に目醒めるんじゃよ、そうい えば、この女、ほらっ、ここがムール貝そっくりじゃろう。オマ エさんの生まれ育ったフランスじゃ、女の陰部をムール貝と言っ たりするそうだが、オマエさんのとそっくりじゃのう。イヒヒ…」
内心では“この変態オヤジ”と罵りながらも、ヴァレリーは全裸 でベッドの上に乗り、横たわる女の顔の上に、自分の陰部を押し つけた。いわゆる顔面騎乗位である。
女はJによってこれ以上ないほど大きく両足を開かされ、鼻と口 はヴァレリーの陰部でふさがれた。窒息しそうな苦しさに、口を パクパクさせながら、身もだえしている。
実はヴァレリーの陰部には、新作の催淫剤がたっぷり塗られている。 それを有無をいわさず舐めさせろというのが、Jからの指示だった。
「彼女には催淫剤も、十分効いているようですわね。あれっ? Jさま、この媚薬のビン、ほとんど空じゃないですか。一滴でも 十分なのに、どこか床にでも、こぼされたのですか?」
「ワシは、一滴だけ飲まそうと思ったんじゃが…、ついコップに 全部入れてしまっての。この娘がそうとも知らず、一気に飲んで しまってな。まあ、どうなるかというのも楽しみでの。フフフ」
「相変わらず超ド変態なんですね、Jさまは。でも、 どうするんです? この娘、妊娠してるかも知れませんよ」
「そんなのは構わんよ。ワシは中国で良いことを学んでおる。 聞けば胎児は栄養豊富らしいじゃないか。出産前にこの娘の腹を 裂いて、胎児を取り出してスープをつくるんじゃよ」
女は意識こそ朦朧としていたが、Jの言葉を聞いて、絶望感から 涙が流れて止まらなかった。彼女も東欧で誘拐された後、商品と して売られてきた一人だった。
ヴァレリーは、ふと、Jに報告すべきことを思い出した。
「Jさま、ご報告が遅れてすみません。監視しておりました セルティ・セジョスティアンに動きがありました」
「はて、セルティ? 誰だったかな? セルティね…、ああっ、 思い出したよ。あの小娘か。それで今度は何をやらかした?」
「金融と商品市場で3600万ドルほど稼いだようです。本来なら私 共が手にすべきものを、その直前でかすめ取っていったんです」
「3600万ドル? おいおい、そんなハシタ金でうろたえるな。 われわれは、これから大きな豚を料理して、それこそ目もかすむ ような大パニックと大もうけを、世界に見せてやろっていうんだぞ」
「でも、私たち、プライドが傷つけられたんですよ」
「まあ、こう言っちゃなんだが、相手が悪い。なにしろ神が使わ した女だからな。うかつに手を出さない方がいい。ところで、 その小娘は今どこにいるんだ?」
「日本です。日本の南西地域にある四国という大きな島にいます」
「日本ねえ? なぜ、そんなところにいるんだ?」
「彼女は日本の男性と一緒だそうで、おそらく、その男性の両親 に婚約の報告をするために会いにいったのではないでしょうか」
「そうか、あの小娘、日本の男に惚れたか…。ケルトの血が日本 にも受け継がれるってことだな。それにしても、どんな男なんだ ろうな? あのジャジャ馬をどう飼い慣らすのか、楽しみじゃな いか」
ヴァレリーは、悪魔教の儀式を通過した女であり、段階を上るた めに本職の売春婦として何百人もの男にも抱かれてきた。しかし、 Jの言う“神が使わした女”という表現に、心のどこかが傷んだ。
彼女は空になった媚薬のビンを手にして部屋を出ると、階段を下 りながら携帯電話をかけた。先ほどJの愛撫を受けていた女性の データを問い合わせたのだ。
「どう、彼女の脳波?」
「はい、かなりの反応が出てます。ほぼ2時間にわたって、興奮 状態が続き、かなり強い快感に襲われてます。今回の成分は、D NA的に見ると、欧州やロシア系の女性に有効みたいですね。夜 10時以降のデータは、さらに高い数値が検出できてますよ」
「ありがとう。分かったわ。媚薬といっても、結局、効くか効か ないかは個人差があるのね。民族やDNAの特色によっても差が 出るし…。フィクションではすぐに女性に効いたりするのに、現 実には、そう簡単じゃないわ」
「ええっ、でも、逆に民族単位や大雑把なDNAの集合体に対応 できる媚薬さえできれば、ビッグ・ビジネスが期待できますよ」
「ねえ、ところで、あなた、明日の晩ヒマ? できたら新しい媚薬の治験に私を使ってほしいんだけど…」
「はい、喜んで。実はヴァレリーさんのDNAに対応できるものを、 コッソリ作ってたんですよ。本当、いつか試したかったんです」
「あと、お願いしたいのが、私を妊娠させてくれないかしら?」
「はい?」
「ボスにね、胎児スープの話を聞いてね、私も飲んでみたくなっ ちゃたのよ。自分の子宮で育った赤ちゃんを、スープの材料にし ちゃうなんて、想像するだけでゾクゾクしちゃうでしょう」
電話の向こう男性は、彼女に返す言葉がなかった。
|
|