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作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第89回   韓国経済の凋落
セルティの眼に映るコンピューターのモニターには、
世界各地の金融市場の動向がつぎつぎ映し出されている。

彼女はその画面に向き合いながら、おもむろに携帯電話に手を
すると、受話器に出た相手に、矢継ぎ早に株式や国債、ゴールド
の売買を依頼していく。


「『アイルランドの魔女』の復活かな? セルティ」

「うふふ、今かけた電話の人にも、同じセリフ言われたわ。私が
電話するときって、絶対何か大きなことが起こるって言われるけど、
私だって分かってやってるわけじゃないのよ。ピンとひらめいて、
その銘柄を売ったり買ったりしているだけなのよ」

「分かってる。きっと善い天使が君にささやいているんだよ」

「うん、ススムにそう言われると安心する。たぶん、今回の取引
で3000万ドルくらい儲かるかな? それを急いでアフリカに
支援している、たくさんのNPOに分配して届けないと大変…」


ススムはセルティの深刻そうな顔を見ながら、改めて彼女の人格を
惚れ直した。彼女はどんな大金でも、自分のために使おうとはせず、
何の躊躇もなく、困った人たちのために与えてしまうのだ。


もし、自分が神様や天使だったとしても、
こうした女性に、よい情報を与えるに違いないと思う。


人間の価値は、どれだけの大金を手にしたかではなく、どのくらい
価値のあることに、自分のお金を使えるかで決まる…。セルティと
つき合い出してから、ススムはそう思えるようになった。


「そうだ。ママにメールしておかなくっちゃ。私、日本で妊娠して、
あなたの子供を産むわ。そうしたらいいってメッセージが時々
私の頭の中をよぎるの。それに四国のいくつかの山々が私たちを
霊的に守ってくださるっていうのよ」

「本当!? そりゃ、すごいな。君の口からそういわれると、
 まさしく天からの授かりものをいただく、って気がするなあ」


コンピューターの前に座るセルティに、ススムが覆いかぶさるように
キスを求めると、彼女もそれに応え、ふたりは、しばらくの間、
ディープなキスを交わしつづけた。



「それにしても、セルティ…。今回はユーロ圏だけでなく、
 中国や韓国の金融商品をずいぶん処分したみたいだね」

「ええ、中国の国家統計がイカサマだなんて、先進国の多くが見抜い
ているわ。でも、実際どのくらいの水増しなのかは分からないけど、
私の勘では4〜5倍くらいあるような気もするの。今のままだと、
いずれ中国の経済は破綻するわ」

「そういえば、サムスンって韓国の超主力企業なのに、
 韓国の人々からは、けっこう嫌われているみたいな噂だね」


セルティは、その言葉にうなずくと、コンピューターの画面を
ニュースサイトに移し、過去の情報を引き出した。


「あれっ? サムスンは管轄の税務署に、9694億ウォンの税金を
 収めた後、1兆7692億ウォンの払い戻しを受けたのかい?」

「そうなのよ。サムスンは法人税として9694億ウォンを収めても、
韓国政府から消費税などの払い戻し税で、1兆7692億ウォンを受け
取ってるの。差し引き7998億ウォンの利益よ」

「日本のマスコミは、サムスン一社の利益に、日本の家電企業10
社を合計しても敵わないと言ってたけど、実質、韓国という国に
おカネを落とさず、なおかつ、国からカネが注ぎ込まれるのだから、
利益が上がるのは当然といえば当然の話だったんだね」

「おそらく、韓国の人たちも、サムスンが自分たちのためになっ
ていないって気づいてるんじゃないかしら。韓国政府が露骨にサ
ムスンを優遇するせいで、国内の中小製造業は皆な潰れているわ。
それに取引先は、欧米や中国企業、あと日本企業でしょう。とに
かく国内投資家より海外投資家を優遇してて、国内には何ら恩恵
を与えていないのよ」


一気にまくしたてるセルティに、ススムは目をパチクリ。


「でも、普通に考えれば、サムスンを支援する韓国は、自由貿易
 協定に違反してるのに、なぜ他の国は訴えないのかしら?」

「まあ、それは分かる気がするな。サムスンの株主構成をみれば、
外国人株主が50%を越えてるから、利益が出ても韓国に還元され
ないだろう。結局、株主配当として大半が欧米の投資家に流れて
いるわけだし、欧米側としては目をつぶっているんじゃないかな」


セルティは、韓国に関する経済指標を呼び出し、ススムはススム
で別のコンピューターから自社のサーバーにアクセスして、推計
データと照合しはじめた。


「ねえ、セルティ、これを見て。このままの流れで推計すれば、
2013年の半ばをすぎに、韓国の銀行で深刻な破綻リスクが生じる
かも知れないな。まあ、サムスンのスマホが爆発的に売れれば、
話は別かもしれないけど…」

「もし、破綻したら…、あらッ、アジア金融危機やリーマン・
 ショックを超える規模になるんじゃないかしら?」

「おおっ、セルティ、ほかの記事も見つけたよ。韓国政府は、海
外移住した在外国民に対して、2015年から住民登録証を発給する
らしい。要は、在日韓国人のもつ巨額な財産に目をつけたんだろ
うね。それに徴兵の義務や、親日罪の適用も視野に入っているん
じゃないかな」

「私も、今、それに関連した情報を見つけたわ。民主党の上層部
にそれなりの動きがあるみたいね。在日の隠し財産やおカネの流
れを把握してるみたい。もしかしたら、韓国政府と裏でつながっ
ているのかしら?」

「ふ〜ん、この名前…、彼は元首相だね。そのうち、駅前のパチ
ンコ屋の経営者とか、突然廃業して行方をくらます人たちが出る
かも知れないな。それに、在日の女性なら、急いで日本人の男性
と結婚しちゃうかも知れない。財産を没収されないために…」


二人がディスカッションする部屋に、沙知子がアイスティーと、
いろいろな種類のお菓子を、お盆にのせてやってきた。高知の
老舗で、はりまや橋に本店を構える菓子屋で買ってきたという。


こんな美味しいものを食べたことがないと涙を浮かべて喜ぶ、
セルティに、そんな大げさなと、ススムと沙知子は笑った。



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