イブは地に両手を押しつけるように顔を伏せて泣いた。
自分の思慮のなさ、それに、まんまとルシュファーの計略に 引っ掛かった自分の軽率さに、悔しくて涙していたのだ。
しかし、ルシュファーは そんなイブの心を見透かして安堵していた。
なぜなら、彼女は戒めを破った張本人でありながら、 神に謝ろうとする気配が、一向になかったからだ。
もし、彼女が堕落する前に、ひと言でも、神に助けを呼んだりしたら 自分は消去されたかも知れない。それにこの場で彼女が神に 「ごめんなさい」のひと言でも言ったのなら、それこそ、 どうなってしまうのかも分からない。
ルシュファーは、イブの心のあり方、 その変化をひそかに恐れていた。
ところで、ルシュファーは手下のある天使に、そんなイブを見張らせ、 その場を少し離れた。ただし、もし彼女がその場から逃げたとしても、 そのままにして後をつけるだけでいいぞと、その天使に釘をさした。
「ルシュファーさま、ここまではうまく行きましたが、 これからどうします?」
「そうだな。しばらく様子を見るか…」
「神さまは、いえ、神は、これからどんな手で、 あの女を奪いに来ますかね」
「そう、心配するな。神はあの女をもう使えないだろう。 とにもかくにも堕落しちまった女だからな。アハハハ…」
「そっ、そうなんですか?」
「神はあの女に代わる別の女を準備するしかないのさ。俺さまの 予想では、アダムに『イブに二度と近づくな』と、例の天使た ちを通じて、戒めを与えるはずだ」
「アダム…ですか? アダムが何か関係してるのですか?」
「ああっ、あくまで俺さまの推測なんだが、それが正しければ、 あの神に俺たちは堂々と対抗できるかも知れないぞ。おい、 さっきの天使たちのところに誰かスパイを送って、その辺の 情報をつかんでこい」
「はい、分かりました」
その天使は、さっそく諜報能力に長けていると思われる天使2人 を選んで、スパイとして送り込んだ。
ふと、ルシュファーは数人の天使が騒いでいることに気がつく。
「どうした、おまえたち?」
「ああっ、これはルシュファーさま。いえねぇ、皆なが、あの女を 抱きたいって言ってましてね。見てるだけでも興奮するんですよ」
「ハハハ、そうか、そりゃあそうだな。でも、悪いがしばらくは 俺さまが、あの女を躾ける。まあ、『躾ける』というよりは、 調教するといった感じだな。あれを家畜のように飼い慣らすんだ」
「じゃあ、俺たちは…」
「安心しろ。俺さまが飽きたら、皆なで好き放題に犯しまくれ!」
その言葉に、その場にいた天使たちは歓声を上げた。
一方、イブは腰の辺りに布をまいた。それは木の葉やツルを巧み に繋ぎ合わせたもので、少なくとも彼女はそれで自分の性器を露 出させずに済んだ。
ルシュファーはその光景を見て薄ら笑いを浮かべた。 それは彼が彼女の心を読み取った結果だった。
「ほおっ、あの女の心の中に『恥ずかしい』という感情が生じて いるぞ。ハハハ、こりゃいい。自分が罪を犯した場所を隠そう とする意識が芽生えてるじゃないか。人間の心の中に、俺さま の意識がコピーできてる証拠だ。こりゃあ、愉快、愉快!」
「ルシュファーさまの意識が、あの女に…ですか? そういえば、 女の周りに見える霊体の光は、前に見たときより曇ってますね」
「そうだな、ちょうどキレイな水に黒いインクを落としたような 感じかな、俺さまの色が薄っすらと滲んでいるってところか…。 それじゃあ、これから、もっと真っ黒にしてやろうじゃないか!」
ルシュファーと彼の手下の天使たちは楽しそうに笑った。
「そうだ、おまえら、あの女を犯るときがきたら、女が起きてい ようが寝ていようが構わない。あの女の穴という穴を突きまくり、 おまえらの考えつく限りの恥辱を、あの女に与えろ! 俺さま ばかりでなく、おまえらの持つ堕落した感情も徹底的に、あの 女に刷り込むんだ」
アンナとセルティは、彼らのそんな会話を聞きながら、気の遠く なるような思いがしていた。まさかレイプと拉致・監禁、さらに は輪姦の起源が、こんなところから出発していたとは想像もでき なかった。
|
|