堕落した天使たちは、神から遣わされた天使たちと闘い、 イブをに通ずる道をブロックしていた。
それが今、リーダー格と思われる天使が片手を挙げると、 その防衛線は、一気に解かれた。
当然ながら、神から遣わされた天使たちは、 一斉にイブいる場所に急いだ。実は、こうした流れも、 ルシュファーが描いた筋書きとおりの展開だった。
アンナとセルティも彼らの後を追った。
まだ、距離は離れていたものの、闇のような暗さの中、 遠くの稲光に照らされたイブとルシュファーの姿は、 誰の目にも性行為の真っ最中だと分かる。
全裸となったイブがルシュファーの上にまたがり、彼の男根を 自らの膣におさめ、腰を上下にゆらしている。いわゆる騎上位とか 女性上位を呼ばれる体位で交わっているのだ。
善なる天使たちは、遠くからその姿を見ながら、 憂いに満ちた表情を浮かべた。
ただ、近づいてみると、イブは何か叫びながら、 ルシュファーの胸のあたりを白百合のような手で叩いている。
「イブさま、あなたは何をなさっているのですか? あなたには 『取って食べてはならない』という神さまの戒めをお伝えして おいたはずではありませんか?」
「いいえ、私は、この者に、ルシュファーにだまされてこのような 淫行に及んでしまったのです。なんてヒドいことを私にしたのですか! ルシュファー! 私はあなたと交わった瞬間、すべてを悟りました。 私はアダムと夫婦となるべき女だったと…」
イブは目に涙を浮かべながら、なお。ルシュファーの胸を叩いた。
善なる天使たちは、彼女の言葉をどう判断してよいものか、 戸惑いの表情を浮かべた。
そこに少し遅れて、リーダー格の堕落した天使が現れた。
「どうなさったんですか? ルシュファーさま、そのお姿は?」
「私は今、失意の中にいる。 私はイブさまから、濡れ衣を着せられてしまったのだ」
「濡れ衣ですか?」
「ああっ…。そうだ、おまえたち、 今、私の置かれている状況を見て、どう思う?」
「そりゃあ、イブさまがルシュファーさまを 肉欲に狂って犯しているとしか思えませんが…」
「何を言ってるのですか、私は、だまされて…」
イブは混乱する感情の中で、すでに精神的に錯乱していた。
一見すれば、彼女は、その男根を膣にくわえたまま、腰を前後左右にふり、 さらには上に浮かしては、深々とねじ込む動きを続けているように見えた。
善なる天使は、無意識ながら ルシュファーの配下の天使の言葉に引きづられていた。
それに何より、今、イブがルシュファーにまたがり 結合している姿は説得力がなさすぎた。
ひょっとしたら、本当にイブがルシュファーを犯して、 いっしょに堕落してしまったのではないか? …と思いだした。
さらにルシュファーがイブに言葉でたたみかける。
「イブさま、よく思い出してください。私が一度でも、あなたさまに 私のペニスを口にくわえて舐めてほしいとお願いしたでしょうか? それに、あなたが自分のヴァギナを舐めてほしいと私にお願したでは ありませんか? さらには、お互いの性器をハメようと言い出したのは、 イブさま、あなた御自身ですよ」
「それは…、それは、たしかに私が言い出したことだけど、 おまえがそう言い出すように、誘導したのではありませんか!」
「イブさま、あなたさまは理不尽です。立場の弱い天使にすべて の責任を押し付ける気ですか? 私はあなたの横暴のせいで、 神さまの前に出ることもできない身となり、信じられないほどの お叱りを受けることでしょう。あなたは何ってヒドい御主人さま でしょうか!」
善なる天使たちは、もうこれ以上、イブに話しかける必要はない と思ったのか、気落ちした面持ちで、次々とその場を去っていこ うとした。
「ねえ、待って! 私、悪くない。悪いのはルシュフ…」
彼らは無言のまま、立ち去った。
ルシュファーはようやくイブの両足を離し、彼女との結合を解いた。
実は、イブがなんとか彼の身体から離れようとしていたのを、 彼はずっと離さなかった。ルシュファーと彼の配下の天使たちは、 うまく行ったと、ほくそえんだ。
「おまえの演技は最高だったぞ。アイツら、完全にだまされたな」
「ありがとうございます。私はルシュファーさまの おっしゃるとおりにしただけでございます」
イブがふらふらとしながら、その場を立ち去ろうとした次の瞬間、 ルシュファーはイブの頬を引っ叩いた。彼女はしりもちをついて、 豹変したルシュファーの態度に驚きを隠せなかった。
「おい、おまえはこれから俺の女だからな。好き勝手にふらふら するんじゃないぞ。分かったか! なんだその目は! 返事は?」
ルシュファーはさらに往復びんたをくらわすと、倒れた彼女を片足で 踏みつけ、なお、彼女を蹴飛ばした。イブはその冷酷な笑いを見ながら、 蛙をにらむ蛇を思い出し、心底おびえた。
遠くで見ていたアンナとセルティにも、そのときのルシュファー の顔が、蛇のような爬虫類のような感じに見えていた。
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