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作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第73回   進行しつつある第三の預言
アンナが次にセルティを案内したのは大きな建物の中だった。


窓を見るとステンドグラスがはめてある。
きっと、ここはどこかの教会なのだとセルティは思った。


開いたままのドアから隣の部屋を覗くと十字架がみえた。
そこはかなり広い礼拝堂で、数人の聖職者が立っていた。


セルティはその中の何人かの顔を見たことがある。
テレビの礼拝を担当している人物たちで、
彼女は彼らの説教を何度か聞いたことがあった。



「現代に戻ってきたのね。でも、ここって、まさか…」



そのとき、彼女たちから一番近くにいた男性が、
別の男性の手をひいて奥まった方のドアを開け、
そのまま長い螺旋階段を降りていった。


彼らは部屋に入るとすぐに熱烈なキスを交わし、
お互いの服を脱がし合った。


セルティはそれを見て、強いショックを受けた。
おそらく世界でも有名な宗教指導者である彼らが…


それから、彼女たちは建物の中にある
たくさんの部屋を見て回った。


ほとんど部屋で男性同士が愛し合う光景ばかりが目に入った。
特に高齢者同士の男性がベッドの上で戯れる光景は悪夢
のようだった。


そんな彼女がアンナに話しかけようとしたとき、
アンナは唇に人差し指を立て、彼女に静かに、と合図した。



すると、その部屋には、いつの間にか天使が現れていた。



その天使が眼下で愛し合う男たちを冷笑すると、
ベッドの上の男たちは、さらに興奮して愛をむさぼり合い
エクスタシーに満たされた表情を浮かべた。


きっと、あの天使はすべての部屋を回っている。
ここの聖職者の多くは同性愛者であり、
あの天使に支配されているに違いない。
セルティはそう思った。



天使が部屋を去った後、アンナは言った。



「お母さんが…。いいえ、聖母マリヤが子供たちに3回に
わたって預言を与えたことがあったの。あなた、御存知かしら?」



セルティは『ファティマの預言』という言葉が脳裏に浮かんだ。



それは1917年、ポルトガルの寒村、ファチマに住む3人の
幼女の前に聖母マリアが6回にわたって現れ、最後は10万人
の大観衆の前で奇跡が起こった。当時ヨーロッパ全土はその話
題で持ちきりだった。



「最後の預言には、サタンが教会と
 地上世界を支配する日が来ると伝えたのよ」



「第一と第二の預言に関して聞いていますが、おそらく私も含
め、誰も第三の預言は聞かされていないと思います。たしか、
1960年まで公表してはいけないと書いてあったようですが、
法王様が御自身の判断で公開なさらなかったと聞いています」



「悪魔と化した天使は、彼らの愛に属する者を通じて地上を支
配するつもりです。世界で最も聖なる場所で清貧な生活を送る
べき者たちが、同性愛に溺れる姿をあなたも見たでしょう」



セルティは彼女の話を否定できなかった。



はるか昔、聖書に登場するのエデンの園で起きた天使同士の
イタズラが、教会の聖職者の間で再現され、逆にその禁断の
愛によって、教会が悪魔に支配されている有さまを見せられ
ては…



「見えないところで、第三の預言はすでに成就しつつあるのね」



少し落ち込んだセルティの手をアンナが軽く握る。
“さあ、次に行くわよ”…とその顔には書いてあった。




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