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作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第69回   イブが初潮を迎えた頃に
アンナとセルティは神が主催する天使の会議場に訪れた。


そこはいつもとは違い、少し騒然とした空気が漂っていた。原因は
大天使ルシュファーが大事な会議をすっぽかしたためだった。


おそらく、末端の役目を負う天使ならば、それほど騒ぎにもならなか
ったかも知れない。しかし、ルシュファーほどの有名な天使が、神の
命令に逆らい、その召還を無視したことは天使界に大きな波紋を与えた。


神の寵愛を受け、天使界の中にあって、その称賛と尊敬を一身に
集めた天使が、神に堂々と反逆するなど、誰も想像もできなかった。



「彼はどこにいるのか?」

そんな神の問いに答えられる天使はいなかった。



その頃、ルシュファーは神が創造されたものを、再びすべてを見て
回っていた。天使が存在する霊的世界はもちろん、地上世界のいたる
ものを検証していたのだ。


神と共に天地創造のすべてに同行したルシュファーが、なぜそのよう
な行動に出たのか? 実はイブに関するある事実が、彼の行動の引き
金となった。



それはイブが初潮を迎えたとき…


ルシュファーは何が彼女の身体に起こったのか、まったく理解できず、
彼女にその説明もできなかった。それは同時に、彼の心の中に神に対
する疑惑を生じさせるキッカケともなった。


「神よ、あなたは私の知らないところで、何をするつもりなのか?」


もちろん、彼は神の被造物の一つであり、その偉業を称えてきた
ただの天使でしかない。しかし、いつの間にか彼は自分が神と同じ、
あるいは神よりも上の存在であるかのように錯覚していた。


傲慢な内心とは裏腹に、神を褒めたたえてきた
だが、実際にはそんな自分にも腹を立てていた。



セルティは「何て傲慢な大天使!」と怒った。



ところで彼が興味を持ったのは、イブの性器だった。


当時の天使界は男性格のみが存在する世界であり、人間の男性性器と
ほぼ同じである。しかし、彼女の性器は自分やアダムとも異なる。
なぜイブのは自分たちとは違うのか? それが長い間疑問だった。


少し前、それは彼が神から呼び戻される前の話なのだが、
神はルシュファーに黙って、別の天使をアダムとイブに遣わされた。


その天使は二人に対し、性器を手で触っていたずらすることや、
許可が出るまで、お互いの性器を結合してはいけないと注意を与えた。


つまり、それはマスターベーションと性行為を禁止するメッセージに
他ならなかった。しかしなぜ、神はそんな指示を、わざわざ自分に
内緒にしてまで、アダムとイブに伝える意味があったのか? 


イブはまさかルシュファーがそんな重要な神の指示を知らないはずが
ないと思い、そのような事実があったことを、つい彼に話してしまった。


それを聞いた彼の内心は穏やかではなかった。しかし、言われる前から
すでに知っていたかのように上手に振舞うルシュファーを、イブは何ら
疑わなかった。


ところで、ルシュファーは神の天地創造、その最終目的を知った。


そしてその計画のすべての急所が“イブ”であることも彼は理解した。
ひょっとしたら、自分が神の計画をそっくりそのまま乗っ取ることが
できるかも知れない、彼はそう思い、ほくそえんだ。


アンナとセルティは、
そんな彼を見ながら背筋がぞっとした。





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