20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第42回   国際司法裁判を逃げまわる韓国政府
ススムとセルティがオルリー空港の出発ロビーで座っていると、
後ろの方で二人の若い男性たちが何か言い争っている。


二人ともアジア人であることは分かるが、一人は日本人らしい
日本語を話し、もう一人は少したどたどしい日本語だった。


“韓国人?”


そう思うとススムは今にも取っ組み合いのケンカになろうとする二人
の間に入った。聞けば二人とも大学生で夏休みを利用してパリに旅行
しに来ていたらしい。


ケンカの原因は『竹島(独島)問題』だった。


オリンピックで韓国サッカー代表が日本に勝利した後「独島は私たち
の地」と政治パフォーマンスを行い五輪憲章違反した件で、普段は温
厚な韓国の青年が、友達であるはずの日本人学生との口論で激昂して
いたのだ。


ススムは状況を把握すると、そこにいた韓国の青年とハングルで会話
しはじめた。決して流暢でもなく、韓国人が聞けば日本人と分かるよ
うな韓国語だ。


ススムは、にこやかに淡々と質問しては、その青年の答えを聞いてい
る。だが、彼らの会話が進むにつれ、明らかに韓国の青年の顔が信じ
られないという表情に変わっていく。


韓国の青年は顔を紅潮させながら頭を下げた。そして彼は日本人の学
生に、さっきは言いすぎたと謝った。決して何か反省したという態度
ではないが、感情をぶつける相手を間違えたという感じだ。


韓国と日本、両方の大学生たちはススムに頭を下げた。
元の席に戻ってくるススムに、セルティはジンジャエールを手渡した。


「何を話したの? ススム」
「彼らは竹島という島根県の小さな島の領土問題をめぐって口論してたんだ」
「竹島?」
「うん、韓国では独島と呼んでるそうだよ」
「へえ、日本と韓国の間に領土問題があったなんてはじめて知ったわ」

「そうだろね、世界中の人が知らなかったと思うよ。でも、今回の韓
国の大統領が上陸を強行したり、オリンピックで韓国サッカー代表が
プラカードを持ってアピールしてくれたお蔭で世界が知ってくれたよ」

「韓国の領土なの?」
「いや、日本の領土だよ」
「でも、韓国は自信たっぷりなんでしょ?」

「じゃあ、なぜ国際司法裁判所で争うことを避けるのかな?」
「えっ、韓国政府は国際的な裁判を逃げ回ってるの?」

「もし国際司法裁判所に日本が提訴して、韓国がそれに応えたら、国
際機関の手によって、韓国は歴史的な汚点が韓国の国民だけじゃなく、
世界中に明るみになるんだから」

「根が深そうね」

「李承晩という人が大統領だった時代、彼が勝手に国境ラインを引い
た。それは国際法に抵触するよ。それにそのとき行われた日本領海へ
の侵略と殺人と暴行での謝罪と賠償を要求することもできるだろうね」

「殺人?」

「そう、日本人漁師44人が殺され、残った漁師を人質にして日本政府
を恫喝して、日本国内にいた韓国人犯罪者を釈放させたんだ」

「でも、それだったら、なぜ日本の国会議員は黙ってるの?」
「現在、日本の国会議員の60%は在日系らしい」

「えっ? そんなに…」

「それにお金をもらっている議員が大半だから韓国に対して悪く言わない」

「それじゃあ、マスコミも買収されてるの?」

「おそらく…。在日の息のかかったスポンサーや大手の広告代理店が
言うことには、テレビや新聞、ラジオ、週刊誌なども逆らえないよ」


セルティは後ろを見渡して、さっきの大学生の姿を探したが、
もう彼女の視界の中に彼らはいなかった。


「さっきの青年には何って言ったの? ススム」
「自分で調べてほしいって話したんだよ」
「そう、あなたらしいわね」

「やっぱり、他人から聞いたことは簡単に鵜呑みにしてはいけないよ。
それに主体性の強い韓国人なら、自分で調べて、事の善悪をハッキリ
させることができると思うんだ」

「ススムは日本人だけど、ひょっとしたら韓国の人、好きなんじゃない?」

「ああっ、好きだよ。日本人と違ってハッキリ自分の意見を言うし、
非を認めたら、潔くそれを認めてくれるから…。少なくとも僕の知っ
てる韓国の人は皆そうだった。情が厚くていい人たちだった」

「そうか…、それでさっきの韓国の学生も、あなたの話を素直に聞いた
のも知れないわね。でも、日本政府は今回も何もしないで終わるの?」

「おそらくね。噂通りの在日政権なら、すでに野田首相や首脳たちと
も打ち合わせが出来ているはずだよ。国際司法裁判所に提訴したけど、
韓国政府が応じてくれないのでどうしようもありません…で終わり」

「それで済むのかしら?」
「どうだろうね、アハハハ…」


セルティはススムの笑う顔に、もっと奥に何かありそうな雰囲気を感じたが、
それ以上聞くのは止めた。ひょっとしたら何も考えずに笑っているだけ
かも知れない。彼女は両国の関係が修復されることを願った。





← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 148