中国のエージェントたちが、別の時空間に飛ばされるさまを、 ヴァレリーは、夫であるデヴにぴったりくっつきながら見て いた。
一方、日本政府が使わした案内役の山本真奈美は、 セキュリティの男の腕に必死につがみついている。
彼が危ない現場から彼女の手を引いて護ってくれたことに、 感謝の言葉を述べるが、一向に手を離してくれないので、 セキュリティの男は少し困惑の表情を浮かべる。
ヴァレリーが、もう大丈夫よと、彼女に声をかけるが、なぜ か上の空だ。セキュリティの男が彼女の肩をポンポンと軽く 叩くと、ハッとして我に返ったようすだ。
「あっ、すみません。ちょっとボ〜ッとしてまして…」
「いいんですよ。あんな光景を見せられて、冷静でいられる 方がおかしいのですから…。さぞ、驚かれたのでしょう」
「いえ、あの、ちがうんです。あなたの手をにぎっていたら、 何って言っていいのか…、生まれてはじめてなんです。 こんな平安な気持ちになれたのは…。すごくいい匂いがして、 本当に幸せな気分になってしまって…」
「はあ〜? 私の匂いでですか?」
その光景を少し遠くから見ていたワルキューレは、ヴァレリーと 目が合って笑ってしまう。彼女たちは同じことを考えていたのを 確認したのだ。ワルキューレは二人に近づきながら話しかける。
「山本さん、しばらく彼をあなたの ボディーガードにするけどいいかしら?」
山本真奈美は、うれしそうに首を縦にふる。
「アキ! わたしが日本にいる間、彼女をガードしてあげて!」
アキは山本真奈美が手を握っているセキュリティの男の名前 だった。普段、名前で呼ばれることがないので、ヴァレリーも デヴも、彼の名前をはじめて知る。
アキは、自分のフルネームが、アキ・アホネンであることを 山本真奈美に伝えると、彼女はつないだ手を放さずに笑う。 アホネンの発音を、アホヤネンと聞き間違えたのだ。
「もしかしたら、アキさんはフィンランド出身ですか?」
「なぜ、分かったのですか?」
「私、ヘルシンキ大学に留学したことがあるんです。現地で アキさんとかミキさんって名前の男性が大勢いたので、もし かしたらって思ったんです」
「おお、ヘルシンキ大学ですか。なつかしいですね。 私の母校でもありますから…。それにしても奇遇ですね」
ふたりが談笑する姿を、微笑ましく見ていた一行は、その後 駐車場で2台の車に分乗し、宿泊予定の京都へと向かう。
アキの運転する車の助手席には、山本真奈美が座り、後部席 には、ヴァレリーとデヴが乗り込む。ヴァレリーは山本真奈美 にいろいろ聞いてみたかった、
…というより、ワルキューレがそれを望んだ。
山本真奈美は、アキが独身であることを知ると嬉しそうな顔 をしたが、何となくうつむき加減になるので、ヴァレリーが その理由を尋ねると、彼女は離婚暦があることを打ち明けた。
最初は、ちょっと話づらいようすだったが、意を決して告白 した内容は、離婚の主な理由は、彼女の女性器にあった。彼 女の膣の幅が狭く、夫だった男のペニスが入りづらい、とい うより、いくら挿入しようとしても結局入らなかった。
いくつかの病院で診察を受けたものの、どこも女性器が子供 のままで発育不全状態であると答えられるばかりで、一向に 解決のメドもつかない。
元亭主は、夫婦生活ができないことに腹を立て、彼女に暴言 を吐いたり殴ったりして暴れ、ついには別の女と不倫して、 離婚という流れになった。彼女は慰謝料を求めることもなく、 実家に戻って、母親と静かに独身生活を送るつもりでいた。
しかし、その母親も半年も経たずに、脳梗塞で他界してしまう。 彼女は親戚のツテを頼って就職した先が、国の文化遺産の 保護に関連していた。
後部席に座っていたデヴは、運転するアキの肩に手を置いて 合図すると、ルームミラーに、アキの嬉しそうな顔の一部が 見える。その表情はサングラス越しでもよく分かる。
「山本さん、今晩、このアキという男と寝てみませんか? 彼は医師から勃起障害と言われてますが、おそらく、自分の ペニスが小さいというコンプレックスが原因で、勃たないの でと思うのです。僕とここにいる妻も協力しますから、彼を 助けてあげてくれませんか?」
山本真奈美は、デヴの申し出に、いささか驚くようすだった が、ハンドルを握るアキの手をのせると、彼の顔をのぞき込む。
「私のような女で、かまいませんか?」
アキは、添えられた山本真奈美の手にキスをして返事に かえると、彼女は運転するアキの下半身の中心に手を移し、 やわらかなタッチでなでる。
すると、アキは自分の下半身が、彼女の手に反応するのを感じる。 今まで、いろいろな女性が裸になって触ってくれたけれど 一向に反応しなかったペニスに、血液が流れ込む感覚だった。
それを聞いた山本真奈美は、気をよくして、大胆にもアキの パンツのファスナーを開け、股間に顔をうずめると、トラン クスの開いた部分から、舌を伸ばして舐め、次第に口全体での 愛撫へと奉仕の範囲をひろげる。
「デヴさん、もしかしたら、アキさんのは、わたしにはちょ うどいいサイズかも知れません。それに、わたしが口に含む と、ときどきピクピクッって震えます。やっぱり、根っから の勃起障害じゃないと思います。それにしても、アキさんっ て、いい匂いすぎます」
デヴは、山本真奈美がいい匂いと感じるのは、彼女の遺伝子 がアキとそれとは遠い関係にあるためだと説明する。
たとえば父と娘のように遺伝子情報が近い関係の場合は、 娘は父親を臭く感じる。それは近親相姦が起こらないように するための自然の摂理ともいえる。
反面、遺伝子が遠いもの同士は、セックスでの相性がよく、 エクスタシーに導かれ、その充足感に、幸せを感じること ができる。
それを聞いて納得した山本真奈美は、着ているブラウスの前 のボタンをはずして、ブラジャーのホックもはずすと、本格 的にアキの分身に奉仕をはじめる。
一方のアキは、ハンドルを握らない片方の手で、胸をはだけ た彼女の上半身への愛撫をはじめる。遺伝子の遠いもの同士が、 愛し合うと、たとえ同じ愛撫でも反応の度合いは、まったく違う。
実際、アキは下半身に勃起の感覚が戻り、柔らかかった彼の 分身は硬くなりはじめている。山本真奈美は、乳房をソフト に刺激されただけで、女性器の奥が感じはじめている。
“当たり前だけど、一番好きな人とするのが、一番幸せなセ ックスなんじゃないかしら。それ以外は二番目も十番目も同 じだわ、きっと…” 山本真奈美は、力強さを取り戻しつつ ある起立を口に含みながら、そう思う。
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