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作品名:本当かどうかは別として 作者:Sharula

第112回   ヘンドリックスとの電話
ヴァレリーからの電話を、ヘンドリックスは移動する車の中で
受けた。彼はアメリカ中堅クラスの経営者である一方で、
ひとりの大学生でもあった。



「久しぶりね、ヘンドリックス。聞いたわよ、何か私に訊きた
い事があるんですってね。性の手ほどきなら、もう終わっていた
と思ってたんだけど…」


「やあ、ヴァレリー、久しぶり。ああっ…、本当に電話くれる
なんて思ってなかったけど、嬉しいよ。き、君の事が大好きで、
…あ、あのときは、酔っぱらった下着姿の君にムラムラしてし
まって、襲ったりなんかしてごめん」


「もういいわよ、過ぎた話よ。それに大学に通いながら、お父さま
に代わって、見事に会社を立て直したじゃない。大したものよ」


「い、いやっ、親の七光りじゃないかって、自分では思ってる
んだよ。第一、会社自体、親父が一代で築いたものだし、出来
上がった土台の上に、ひょっこり乗っかっただけだから」


「ウフフ、そんなことないわよ。今年だって、前年度比でみれ
ば経常利益で0・9%も上昇してるわ。それにお父さまはリスト
ラで株価を上げたけど、あなたはリストラもせず、自分のアイ
デアで役員を納得させ、従業員にヤル気を出させたじゃない」


「えっ? ヴァレリー。君、何で僕の会社のこと、
そんなに詳しいんだい?」


「まあね…、あなたの童貞を奪った女としては、のちのちの
行く末まで関心持ってあげたかったのよ。それに、実は私も、
あなたの会社の株、買ってるの。つまり、株主なの」


「ああっ、それって本当なの? 嬉しいなあ。そういえばカリ
ギュラが言ってたよ、ヴァレリーと寝た男は出世するって…」


「ウフフ、本当? そういう評価、嫌いじゃないわ。でもね、
オンナもそうなのよ。オンナの人生なんてね、最初のオトコで
決まるって言われるの。私も最初はそんなハズないって思って
いたんだけど、それって本当のことじゃないかって今は思うわ」


「そういえば、例のクリトリスの件なんだけど、ちょっと好き
になった大学の先輩がいてね、彼女のはスゴく小さくて…、そ
れって異常なのかな? それと、ある女性から言われたんだけ
ど、性行為中にはクリトリスの皮を剥かない方がいいって言わ
れたんだけど本当なの?」


「あらっ、大学に好きな娘ができたのに、会社の娘にも手を出
してるの? いけないわねえ。そのあたりは、お父さまに似た
のかしら? それに、あなたが年上のオンナばかり好きになる
のは、私があなたの最初のオンナだった影響かしらね?」


「アハハハ…、ヴァレリー、君には何でもお見通しだね」


「クリトリスの大きさっていったって、そりゃあ、オンナだって
個人差があるのよ。私が見た中では、赤ちゃんの小指くらいの
大きさの娘もいたし、逆にゴマ粒みたいな娘もいたわ。でも、
小さいといっても、ただ単に未成熟なだけで、あなたが愛して
あげる度に大きくなっていくから大丈夫よ。それから…何だっけ?」


「クリトリスの皮…」


「アハハハ、そうね…。クリトリスの皮ね。もし私が女医さん
なら、その女性と同じことを言うと思うわ。医学的な面からす
れば衛生的な点で心配はあるもの。でも…」


「でも?」


「せっかくオンナに生まれたからには、皮を被ったままで愛撫
されるより、ちゃんと皮を剥いて、愛撫される悦びを感じないのは、
もったいないと思うの。もちろん、すごく敏感なところだから、
ていねいな愛撫があって、触るべきだし、舐めてほしいわ」


「そういえば、同じ大学の奴が、本当かどうか分からないけど、
むかし、昔、レイプした経験があるとか言ってたんだ。そのと
き皆なでオンナの手足を抑えて裸にしたら、すでにオンナのあ
そこが、びしょ濡れだったらしい。襲われるのに、濡れるオン
ナって、かなりの淫乱にちがいないって言ってたんだけど、
本当かなあ?」


「あんまり聞きたくない話だけど…
でも、それって誤解よ」


「誤解?」


「ええっ、オンナの身体にとって、それは一種の防衛本能なの
よ。レイプされるとなれば、かなりの痛みが伴うでしょ。その
痛みをあらかじめ緩和させようと、身体の方が準備するの。決
して乱暴なオトコの性行為を喜んでるわけでも、何でもないの」


「ああっ、そうなの…。初めて知ったよ、そんなこと」


「ねえ、話は変わるんだけど、ちょっと
 協力してもらえないかしら? 実は…」



ヴァレリーは、例の日本と韓国の若い囲碁棋士を、ネット上で
対戦させるべく、ヘンドリックスに、彼女の作戦を伝えた。


当のヘンドリックスは囲碁に関する知識はなかったものの、
意外に興味をもったらしく、すぐにアジア地域を担当するエージ
ェントに手配すると共に、囲碁の大会を主催する日本の通信社
と広告契約を取り付けるよう彼の会社に電話をかける。


彼の会社は一時、中国や韓国との取引を増やしていたが、彼が
CEOとなった途端、一気に両国との契約を反故にして撤退す
る。重役たちは中国と韓国からの資金の引き上げには難色を示
したが、彼の決断が功を奏して、難を逃れた。


韓国の銀行の不良債権は1年間で 37・8%も急増し、破綻する
ところも出てきた。それに国際通貨基金(IMF)が1500兆
ウォン(約138兆円)もの、“隠れ借金”を暴くと、ほかの
外資系企業もあわてた。


一方、ヴァレリーは、Jがロシアに出かけた理由と、ワル
キューレを日本に旅立たせた“真の”理由を知りたいと思った。
『旧世界秩序』は欧米を中心としたものだったが、『新世界秩
序』には、ロシアと中国が絡むのか? ひょっとしたらロシア
が中心なのだろうか?


彼女は、プライベート・ジェットの窓側の席に座るデヴの
大きな身体に、身を寄せながら、そんなことを考えていた。



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