第一章
慶太はごくごく普通のサラリーマンだった。
ある日上司から呼び出しを受けた。
「なんだろう。?」
上司Sは話を切り出した。
「君には辞めてもらいたい。」
晴天の霹靂だった。
他にも呼び出しを受けたのは数人いた。
いずれも冴えない男か、Sに心象の悪い者だ。
慶太は前者でも後者でもあった。
前々から辞めようと思っていたので即刻辞めることにした。
30を超えていた。
再就職にも制限がつく。
そんな時「12万円で世界を旅をする」という本に出会った。
少ない資金で旅をする貧乏旅行というやつである。
「これだ!」と思った。自由奔放な彼にはぴったしだ。
会社はサービス業なので休みは多くとも3日しかとれなかった。
「籠の中の鳥」が大空へ解き放された。
海外旅行は初めてなので手始めにハワイに行こうと思った。
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