私は驚いた
今朝家を出ると私の勤めている会社の同僚である大杉くんが
大きなタコに食われていたのだ
「助けてくれ助けてくれ」
大杉くんは最近結婚をして この前飲んでいる時にマイホームの計画なども話していた
私は大杉くんを助けてやりたかったが
そうこうしてる間に大杉くんはもうほとんどがタコの体内に入ってしまい
使いこんだように見える革靴だけがタコの口から出ている状態になっていた
タコはジュルジュルと大杉君を飲み込むと
私の方を振り向いた
タコの目は丸くでかく私をとらえて離さなかった
私は逃げようにも、タコの眼力の前に動けないでいた
「もうこれまでだ」
私がそう思った瞬間、タコはずるずるとゆっくりと去って行った
私は気が抜けてその場に座り込んだ
私はその日会社に遅刻した
昼を過ぎた頃、大杉君が出社してきた
私はタコに食われたはずの大杉君が会社に来てるのを見て大いに驚いた
「大杉君!君・・」 「ああいわないでくれ。遅刻の事ならきっちり課長にしぼられたから」 「・・いや今朝君・・タコに食べられてたじゃないか」 「ああ・・恥ずかしいところを見られたな。あれは嫁だよ。喧嘩をしていたんだ」 「喧嘩?」 「ああ。もういいだろう。すまないね」
大杉君は定時になると帰った
私は次は家から出る時間を少しずらそうと思った
|
|