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作品名:石田村のけんちゃん 作者:晴夢

第3回   3
僕は坂野茂樹。夕べけんちゃんと喧嘩してしまった。
けんちゃんは栗の木の高い枝に吊るしたハンモックに登って降りて来なかった。
そしてそのまま一晩過ごしたらしいのだ。
翌朝、けんちゃんは母ちゃんに説得されて降りて来た。
というか毛布を持たずに登って寝たので、寒くて体が冷えたらしい。
母ちゃんはけんちゃんの体を抱きしめて暖めてやっていた。
朝御飯は泊めた家が食べさせることになっているので、けんちゃんは僕らと一緒に食べた。
僕がけんちゃんを叩こうとしたことを謝ったら、けんちゃんも僕を突き飛ばしたことを謝った。
そして、けんちゃんは僕と握手しながらにっこりと笑った。その笑顔がとても可愛かったので、僕はびっくりした。
母ちゃんはけんちゃんに言った。
「けんちゃんは強いんだね。こんなに細くて小さいのに、南京袋2つ分の竹の子を担げるし、茂樹を軽く突き飛ばしてしまうし、もしかして大人の男の人より強いかもしれないね」
「ぼく……お父さんとお母さん両方とも持ち上げたことあるよ」
「そりゃすごいね。でも、この村の人以外には内緒にしようね」
「うん。わかってる」
僕は、僕よりも体が細かいけんちゃんがどうして大人よりも力があるのかわからなかった。
だからもしかしたら、けんちゃんは宇宙人なのかもしれないと思った。
けんちゃんは、朝ごはんが終わったら、木の上にスルスルと登ってハンモックを外して地面に落とした。そしてまた途中の枝から飛び降りた。何回見ても驚いてしまうシーンだ。
その後、母ちゃんがけんちゃんを捕まえて風呂に入れた。そして脱いだ服を洗濯して、新しい服を出してやった。僕か尚樹が昔着た服だ。
母ちゃんはけんちゃんの洗濯物は乾いたら後で届けてあげると言った。
それでけんちゃんは持ち物をリュックに入れて柏木さんの家に向かうことになった。
この次に泊まりに来るのは来月の7日になる。今度来たときは喧嘩をしないようにしようと、僕は思った。


私は柏木敦子22才、夫の憲章(のりあき)は24才。17才のとき妊娠して、結婚したの。もちろん両親はもちろんのこと親戚中が反対したけれど、そこはねばったのよ。
高校も中退して、憲章(のりあき)が子供のとき育ったこの村に来て沙希を生んだわ。それから2年後由香里を生んだ。だから娘が二人。
石田村という所は不思議なところだよ。普通就職口もない若いカップルが一緒になっても生活できないはずなのに、ここではなんとか生きていけるんだから。
その代わり便利な物はなんにもないの。お金で買える楽しみは殆んど無いし。周囲の人間もお節介ばかりしてくるし、何かと干渉してくるの。うっとしいくらいにね。
でも働く気持があるなら、いくらでも手伝い仕事や頼まれ仕事があるからすごい。畑も耕す場所があるし、種や苗も手に入る。それってどんなにすごいことかってことよね。私の夫の憲章(のりあき)は小学生のときまでここにいて、その後町に引っ越したの。でも、それから随分苦労したらしい。
「敦子、町はね何をして遊ぶにもお金がかかるんだ。そして子供の仕事と言えば勉強しかない。石田村だと子供でもみんな働くけれど、町の子は掃除も満足にできないのが多いんだ」
憲章(のりあき)はいつも私にそう聞かせていたの。でも、ここに来てみて、その意味がやっとわかったわ。ここでは大人も子供も本当によく働くんだから。
生活もそんなに困らなかったなあ。お金はなかったけれど、お金を使うことが殆んどないんだから。
はじめの内は坂野さんや森山さんや斉藤さんといったご近所が、ご飯を食べさせてくれたり、仕事を紹介してくれたりしたよ。冬の間は憲章(のりあき)は銀海町の漁師のところに手伝いに行ってくる。だから生活には困らなかった。十分食べていけるの。
そうやって5・6年暮らしていくうちに、私はすっかりこの石田村の暮らしに馴染んでしまってた。村の人たちだって、お節介とか思わずに親切で温かいと思えるようになってきてたの。その矢先、豪雨があって土砂崩れが起きあの事件が起きたんだよね。
二人の男女が死に、遺体を村の皆で掘り出したの。そして、最初二人の男が来て村長の坂野さんと何やら話して行った後、何もせずに村を出て行った。
その後、坂野さんはみんなを集めて、急いで二人の遺体を火葬場に運んで燃やした。
そして近江家の墓に入れると墓碑銘に3人の名前を彫った。初7日も49日も済ませないうちによ。
墓碑銘を見たら3人目の俗名は近江兼って書いてあった。あの夫婦に子供がいたってことがそのときわかった。でも不思議なことに、私は子供の遺体を見ていない。
その後で坂野さんは、子供も一緒に焼いたことにしなければ、子供が悪い奴らに連れて行かれると言って、口裏を合わせるように言ったの。ということは子供が生きているんだと思ったわ。
その日の昼過ぎだったか、大勢の人相の悪いやくざ者が来て、近江の一家を捜しに来たの。それは恐ろしくて村中の者が震え上がったわ。
でも、坂野さんは落ち着いていて、土砂崩れで倒壊した家とお墓を見せて、彼らが捜している一家は3人とも土砂崩れで死んだと言ったの。
そうすると彼らの中の偉そうな男が疑わしそうな目で坂野さんに訊いていた。
「何故、急いで墓に入れるんだ。普通49日は待つだろう」
坂野さんは吐き捨てるように言った。あの時きっと演技していたと思うよ。だって村の人間なら誰でもわかる嘘を言ったんだから。
「この一家は村八部された家の者でね。村を出て行った人間ですよ。誰もお骨を49日まで預かって法要をする人間はいません。一応お寺さんには纏めて経を上げてもらいましたから、墓に入れてしまうしかないんですよ。それまでが我々の2分の責任ですから」
「ふん、冷たいもんだな」
「それはこっちにも色々な事情がありまして、外の人には関係のないことで」
「一応村の中を調べさせてもらうが」
「どうぞ、ご勝手に。けれど物を壊したりなさらないでくださいよ」
そいつらは村中の家や物置の中など、人間が隠れそうなところを片っ端から見て行ったけれど、ようやく諦めて帰って行ってくれたわ。
それから坂野さんが村中の全員を集めたの。坂野さんの家の中は何十人も集まって座る場所もないくらいだったわ。
そして、そのとき坂野さんはけんちゃんをみんなに紹介したのよ。そしてけんちゃんがどんな子かも詳しく教えてくれた。そしてその秘密は必ず守らなければけんちゃんだけでなく、村全体にも良くないことが起こると言ったんだわ。
みんなは口を閉ざしたの。秘密を守るために村中の人間が誓い合ったんです。
それは大人も子供も必ず守らなければならない秘密よ。けんちゃんはとてもおどおどしていて、怯えていたし、両親が死んだことをまだ受け入れていない様子だった。
そのときけんちゃんはまだ5才だったの。村長の坂野さんは、村の中では若手で、けんちゃんと同い年の男の子もいるので、しばらく自分の家で預かるけれど、落ち着いたらまた皆に相談すると言ったのよ。
それが昨年のことで、先月集まりがあって憲章(のりあき)が顔を出して来た。そしてとんでもないことを決めてきたのだ。
「えっ? なんですって。けんちゃんをみんなで育てるですって?」
「ああ、そういうことに決まった。くじ引きでうちは毎月8日の午前中から預かることにした。その晩泊まって次の日の朝ごはんを食べさせたら、森山さんのところに行かせる。」
「なんでそうなるの?そんなたらい回しみたいなことをしないで、坂野さんのところで育てればいいじゃない。けんちゃんのためにもその方がずっと落ち着くと思うけれど」
私がそう言うと、憲章(のりあき)はそうする理由を教えてくれた。
「けんちゃんは学校に行けないんだ、戸籍がないから。だから村中の人間で自分の子供のように守ってやるためにも、そうする必要があるんだよ。
勉強は教えられなくても、生きていく知恵を身につけさせるためには、村の人間がそれぞれ自分が得意とすることを教えれば良い。
それに秘密を守ると言っても、自分と関わらないとついうっかり他人事のように口を滑らせることもある。だから、常にそのことを忘れないようにけんちゃんを『村の子』にするためにそう決めたんだよ」
私はそれで納得したの。でも私は2つのことが気になったわ。1つは私たちがけんちゃんに教えることができる得意なことってなんだろうってこと。
もう1つは、あのおどおどした精神的に不安定なけんちゃんが沙希や由香里たちに与える影響が心配だってことね。
でも、朝現れたけんちゃんを見て私はちょっと驚いた。睫毛の長い丸い目をくりっとさせて、私たちの目を真っ直ぐ見てきちんと挨拶したのだから……。
「柏木さんのおじさんおばさん、僕、けんちゃんです」
けんちゃんだけは苗字がないので『ちゃん』をつけてもいいことになっている。でも私はこう言ってやった。
「じゃあ、きょうだけは柏木けんちゃんだね。それでこの子が沙希4才と由香里2才です。宜しくね」
「こんにちは、沙希ちゃん。由香里ちゃん」
「こんにちは」「こににちわ」
子供達も挨拶を交わしてけんちゃんが気に入ったみたいだった。
それからけんちゃんはこんなことを言った。
「おばさん、一宿一飯のお世話になりますので、何か仕事をさせてください。」
「どこでその言葉を覚えたの?」
「石崎のおじさんから教えてもらいました。
「あのおじさん、浪花節が好きだからね。特に股旅ものが得意で……」
私はそこまで言って、はっとした。何も肩肘張らなくても良いんだって。ありのままの自分たちを見せてそこからもし何か吸収することが会ったら吸収してもらう。それで良いんじゃあないかってね。
けんちゃんは、私と一緒に畑に来ると刃鍬(はぐわ)で草を削り始めたわ。よそでも畑仕事を手伝ってきたらしく、結構さまになっているの。大豆畑の雑草を削るとコマザライで削った草を集めて畑の縁に置く。するとけんちゃんは訊いたわ。
「どうして縁に捨てるの?」
兼ちゃんの質問に私は他の人に教えてもらった通りに言った。
「腐って肥料になるからだよ」
けんちゃんはよく質問をする。その内容は仕事を理解するためのもので、答えてやるとその通りにするから、感心する。
「柏木のおばさん、ここの土は石が多いね」
「川原の近くだからね」
「畑の石はどこに捨てればいいんですか?」
「所々に固めておいてくれれば、後でトラクターで運ぶから」
「どこに運ぶんですか?」
私は畑の向こうの川原を指差した。けんちゃんは頷くとボールくらいの石を掴んで、川原に向かって投げた。
川原まではとっても離れている。石を投げて届く距離じゃないんだけど。
でも石はどんどん飛んで行って、そう……羽が生えた鳥のように飛んで行って川原に落ちたわ。
「えっ?」
私は目を擦ったよ。弓矢だって届くかどうかわからない距離まで石を投げたんだもの。野球ボールくらいの石がゴマ粒くらいに小さく見えたわ。
あんな小さな体でどうしてそんなに遠くまで投げられるのって。でも、私は言ったわ、事故が起きたら困るから。
「けんちゃん、すごいね。でも石を見つけるたびに川原まで投げていたら、川原に誰かいた場合、ぶつかって大ケガをするからやめようね。
畑の所々に集めておいてくれればいいから。何も植えてない場所に集めようね」
そうやってちょっとの間一緒に石拾いをしたわ。その後、私がジャガイモの土寄せをしている間、ちょっと目を離していたの。
なにせ土寄せは長鍬で力いっぱい土を掘って寄せるので、疲れるからちょっとやってから一息入れて畑をぼんやり眺めたの。
そうしたらいつの間にか石ころの固まりがあちこちに沢山できているじゃないの!
「えっ?」
私はまた目を擦ったわ。そうすると聞こえて来たの。ポトンポトンという上から地面に石が降って落ちる音がね。
そうするとけんちゃんが畑の中を踊るように走り回ってるのが見えたの。何やってるんだろうと思ったわ。
すると手ごろな石を見つけては上に石を放り投げているのよ。それもほんの軽くね。そうしたら石は決まった場所に落ちるみたいで、見る見る石の山があちこちにできて行くの。
山形に投げるから石は落ちた後も地面を転がらない。ときどき石にぶつかってカチンと跳ね返る場合もあるけど、石はほぼ正確に落ちた場所におさまるの。
「柏木のおばさん、サンボンバッカある?」
サンボンバッカというのは三本刃鍬(さんぼんばくわ)のことで、刃が3本ついた鍬のこと。
「何するの?」
「石が埋まってるから」
私が納屋から持って来て渡すと、けんちゃんは畑に埋まっていた石を掘りはじめたわ。ところが意外に大きくて、三本刃鍬じゃ間に合わなくて、今度は剣スコップを持って来て渡したの。
けんちゃんはスコップの使い方が変だから足をかけて掘る方法を教えてあげたら、土方のおっさんよりも速く穴を掘りはじめた。
そして出て来た石が、石じゃなくて岩だった。トラクターでやっと運べるような大きな岩! 
「けんちゃん、やめようよ。また土をかけて元通りにしよう。こんな大きいのは無理だから」
私がそう言った途端、けんちゃんは岩をごろんと転がしたわ。どう見たって100キロはありそうな岩よ。そしてそれをひょいと持ち上げたの。
「柏木のおばさん、これどこに置きますか?」
私は震える指先で川原の方を指差したわ。そうしたら岩を担いだままけんちゃんはとことこ歩き出した。川原の方に歩き出して、もうだいぶ近づいたと思ったら急に走り出してその岩を川原に放り投げたの!
驚いたわ。100キロもある岩が空中を飛んでグワッシャンって川原に落ちたんだから。6才の子がそんなに力があるなんてとても信じられなかった。
沙希と由香里がお腹が空いたと言うのでおやつタイムにすることにした。
私は家に戻るとフライパンに油をしき、4本の魚肉ソーセージの皮をむいて割り箸を突っ込んで入れた。
強火でころころ転がしてこんがり焦げ目をつけたら火を止めて醤油と砂糖を同量入れる。ジャーッと音がして煮詰まるタレにソーセージを転がして絡めると、おやつのできあがりだ。
「お母さん焦がしソーセージできた?」「こがしせーじできた?」
沙希と由香里ができあがった焦がしソーセージを受け取った。けんちゃんにも私にももちろん当たる。
うちの冷蔵庫には特売のときまとめ買いした魚肉ソーセージが一杯入っている。子供達にはこのおやつがとても喜ばれるのでよく作るのだ。
畑から戻るとけんちゃんは娘たちと遊んでいた。私は夜になると3人を呼んで中に入れた。そのうち夫の憲章(のりあき)が帰って来たので、夕食にする。
夕食を作りながら気のついたことはけんちゃんが娘たちとじゃれ合いながら、私の料理を作る様子を時々ちらっちらっと観察していることだ。
これに関係したことを前に聞いたことがある。1日の当番の清水さんの奥さんが晩御飯を作るとき、けんんちゃんを横に立たせて、やり方を観察させたそうだ。
あの奥さんは昔学校の先生をやっていたらしい。だから割と教育熱心なのだという。
だからけんちゃんも料理を作るところを観察するようになったのだろう。
だが、まだ6才の子だ。鶏をしめるところは見せたくないので、奥の方で遊ぶように言った。
私は鶏小屋から一羽親鳥を捕まえてきて、盥に張った水に首を突っ込ませた。騒いでいたが、数秒で鶏は静かになり、それから首を切って羽をそぎ落とした。
ニンニクとショウガ、味噌や酒で煮汁を作り、そこに油で炒めた鶏の内臓や肉を入れて、さらに炒めたキャベツを入れて煮た。
石田村では蒙古鍋と呼ばれている鍋料理だ。鶏の卵子も入れてあるが、弾力があり過ぎて娘達は好まない。
けんちゃんは卵子を平気で噛んで食べる。好き嫌いはないみたいだったな。そして食べながら楽しそうに言うの。
「これ、数珠みたいにつながっていておもしろいね。卵のもとなんだよね」
それを聞いて沙希や由香里も小さいのを手に取って食べたから驚いた。
「おもしろいね」「おもちろいね」
終わった後けんちゃんは早速食器を下げて皿や茶碗の汚れを蛇口でさっと流してから洗い盥に入れる。当然のことのように娘たちのも下げるのを手伝っている。
夫の憲章はおもしろがって私たちのも下げてもらった。任せると丸いテーブルも拭き始める。私が洗おうとすると、汚れやごみを流した綺麗な食器が洗い盥にきちんと重ねてあって水まで張ってあった。
「これは水で洗っただけだよね?」
「はい、下洗いです。だから後は洗剤で洗って濯いで拭くのが残ってます。拭くのを手伝いますか?」
「そうね、じゃあ宜しくお願いするわ」
私は娘たちがけんちゃんを羨ましそうに見ているのを目の端に感じてほくそえんだわ。
夜風呂に入るのは今回は憲章を先に入ってもらって、後でけんちゃんと娘たちに入らせた。そして私がときどき覗きに行って、頃合を見て追い出すとゆっくり自分だけ入ったわ。
もめたのは夜寝るときだ。憲章がけんちゃんと一緒に寝るというので娘達は反対して、結局けんちゃんは娘たちと寝ることになった。どっちにしろ同じ部屋に寝ることに変わりはないのだが……。
でも夜中に起きたときはけんちゃんはいなかった。外を捜しに行くと庭の木にハンモックをぶらさげて毛布にくるまり寝ていたのだ。
起こすのをやめてそのまま戻って寝ていると朝、いつの間にか元の部屋に戻っていた。
朝ごはんは味噌汁と卵焼きとお浸しと納豆ですませた。後片付けはけんちゃんと娘たちでやってくれた。それが終わるとけんちゃんは玄関に出てお辞儀をして挨拶をした。
「それではお世話になりました。また来月よろしくお願いします」
「きょうは結香ちゃんの家に行くのね?」
「はい、森山さんの家です」
「じゃあ、元気でね。ところでけんちゃんに聞きたいことがあるんだけれど」
「なんでしょうか、柏木のおばさん?」
「夜中にハンモックで寝てたのは何故?」
私の問いにけんちゃんははっとした顔をした。
「僕、寝相が悪くて由香里ちゃんをつぶしそうになったから、それで……」
「そうなの。 でも今度からそんな気を使わないでね」
「はい……ありがとうございます」

けんちゃんが行った後、憲章は満足そうに言った。
「たいした礼儀正しい良い子じゃないか」
「でも、6才の子よ。無理してないかって、それが気になるの」
「お前、それは考えすぎだよ」
「そうかな……そうだったら良いんだけど」
私は、けんちゃんの小さな背中を見送りながらそう呟いた。


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