20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ManU07の系譜 作者:みしぇる

最終回   1
09ー10CL,1回戦,2nd
vsミラン


幕開けから
劇場は
怒号が支配した

裏切者が
“俺達の国“
を売り渡そうとしていると

チームが大量リードしても怒号は止まない
むしろ
その余裕が怒号を煽った

俺達から大切な物を奪う“裏切者“の首を差し出せ!と


異様な雰囲気の中試合は粛々と進む
審判は交代を告げた





この地を去った…

仕方のない事だった
選択の余地などなかった

覚悟した
石や罵声を浴びせられる覚悟を

だかそれは
もっと近き未来に対して行ったものであり
”懐かしさ”を伴わねばならぬ程の時の経過に対してではなかった

…6年半
”懐かしさ”は旅の困難さの証左であった


促され
男は戦場に歩を進める


細やかな望み…

過ぎた望みかもしれぬ…

不安が過る…


其れでも男は望んだ


答は否応なくつきつけられる…


男はピッチへと踏み出した





劇場は景色を変えた


男の望んだもの

其れ以上のものに包まれた


…帰ってきた
…帰ってきたんだ


思いが頬を伝った






「パパ?どうして泣いてるの?」

「…帰ってきたんだ」

「?だれが?」

「…7番が帰ってきたんだ」

「あの人のこと?あのひと32番だよ」

「そうだね…でもパパにとっては彼が7番なんだ…」

「…わかんないや」

「そうだね…
でも父さんは、デイビットには彼の様になって欲しい…」

「いやだ!ボクはロナウドみたくなるんだ!
7番つけてイッパイ点取るんだ!
それでレアルにいって
いせき金でお金持ちになるんだ!」


青年は何とも言えない表情になる
だが
直ぐに表情は綻んだ


「…まあそれもいいさ。
でていかなければ帰ってきた喜びは味わえない…」




その日
蕩児の帰宅を以て
劇場は完結を迎えた


■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 102