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作品名:わからない 作者:いさき奈那

最終回   1

私は離人症です。


簡単に言えば、生きてるのか分からない。

見えている身体は誰の物?

これが私?


両腕にみみず腫が沢山ある。
赤く残っている物もある。

涙が出てきた。これが私なんだと思うと情けなかった。

離人症と診断されてから何年か経った。
その病院には今は行ってない。
もっと近くの病院に通っている。

今の病院で離人症の治療薬は無いと言われた時、
どうしたら良いのか、余計に分からなくなった。

カウンセリングに通った。
それでも、何も変わらなかった。
毎回発生する出費はたいした額ではなかったけど
無職だった当時はそれなりにキツかった。

今、パートとは言え仕事が見つかり、懐は安心出来る。
でも、病気の事は一切言ってない。

普通の人が聞いたら、先ずはクエスチョンマークが頭の上に出るだろう。
カウンセリングの先生ですら全ては理解できないし、個人差もある。

仕事を探してる時、言わなくて良いと言われた。
言ってしまったら、そんな訳の分からない人材は雇わないだろう。

もし私が雇い主で、突然言われたら混乱するだろうし、
まず雇わない。

最近は、手が言うことを聞かない。
間接ごとに小さな音がしてる。からくり人形みたいだ。

ふと、そこから手首、肩と辿った。
無数のみみず腫がある。

ああ、私はこんなにも傷を作ってしまったんだ。
痛覚が鈍くなりすぎて、分からないから傷は深くなる。

一生残る傷が腕中にあるんだ。

それを見てると、たまにだけど泣いてしまう。

何故生きているんだろうか。

生きてる感覚もないのに。

価値も無いのに、どうして生きてるんだろう。


そもそも、本当に生きてるんだろうか。

本当は、もう死んでるんじゃないかな?

彼に未練があるから、魂だけなんじゃないだろうか。

生きてるか、わかる日が来るのだろうか。











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