長い事、ずっと想い続けた人が居た。 漆黒の髪と、黒い瞳と、少し日に焼けた肌が健康的な人だった。
出会ったのはもう随分と前。
気が付いたら傍にいた。
そこに居て当たり前の存在で、居なくなるなんて想像もしなかった。
いつの日か、こんな日が来るって分かっていた。
それでも、来たとしても大丈夫。だって恋人が居るのは知っていたから。
ずっとそう想ってた。
その人が幸せになれるなら、私も幸せだって思ってた。
でも・・・現実はほど遠かった。
誰が見ても一目でなんだか分かる、その厚手の封筒。
葉書は特別に出来ている、ハートを模った鳩か何かのイラスト。
並んでいる二つの名前。式場。日時。
時が止まった。
誰が結婚するのか分からなかった。
でも、その名前には見覚えがあったし、私の心を抉った。
放心状態になった。 仕事中でも暫くは身が入らなかった。
そして、我に返った頃、涙が止まらなかった。
あぁ、私はこんなにもあの人の事が好きだったんだ。
泣ける程想って居たんだ、と、痛感した。
今までの失恋とは訳が違う。
本当に好きな人相手に失恋するって言うのは、こういう事なんだ。
失恋して涙するなんて、初恋の相手依頼久しぶり。
しかも今回の相手は、想っていた期間が長すぎて、長すぎて。
最早、他人では無くなっている位、私の中に住み着いていた。
まぁ、私が勝手に想っていただけですが・・・。
立場として、勿論おめでとうって言うべきで、喜ぶべきで。
勿論、嬉しいとは思っている。
ずっとあの人を支えてくれた人との結婚だから。
でも、そんな奇麗事ではすまない。
ずっとずっと、あの人が結婚する時が来たら、それは私にとっても
幸福の訪れる時。幸せな時、って想っていたのに。
なんでこんなに涙が出てしまうんだろう。
思い出すだけで泣いてしまうんだろう。
明るい曲を聴いているのに、涙が出るんだろう。
もう、訳が分からない。
これが人を好きになるって事だったんだ。
長い事生きてきて、初めて知った気がする。
辛いけど、それを教えてくれた大切なあの人に。
面と向かっては言えないけれど
おめでとう!幸せになって。
ずっと、大好きでした。特別でした。
私も早く恋人を作って、貴方に手紙が出せるように。
笑顔で貴方を見られるように。
今までありがとう。
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