日が暮れ始めたころ、普段来ることはない場所を私は歩いていた(確か古本屋を歩きまわっていた帰りである。なかなかの収穫で少し気分が浮ついていた)。そこは所狭しと古びた商店が並んでいる。そのほとんどがまだ現役だったが、夕暮れという時間のためか人通りはまばらになり始めていた。 そんな時、向かい側から来るモクを発見した。彼は見たことのある服装で(リュックももちろん背負って)歩いてくる。彼もすぐに私の姿を確認すると、私達は近づいて簡単な挨拶を交わした(始めの頃に比べるとかなりの進歩のようにみなさん感じるであろう)。 その後、私は「これから飲みに行かないか」と彼を誘った(今まで読んだ本について彼と話をしたいとずっと思っていたからだ)。暑苦しい言葉で言えば、語り合いたかった(近くの友人で本を読む者はおらず、ずっと悶々としていた)。だが、彼が誰かに誘われてそれについて行くようなイメージはまったく持てなかった(とりあえず言ってみただけであった)。 しかし幸運にも彼は承諾する(その時の彼の口元はわずかに緩んでいたように見えた)。私達は近くの安そうな居酒屋に入って行った。
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