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作品名:あゆとあみの父の会話 作者:しろ

第2回   ああいったものって、専売されるよね?
A美父☆
仕方なく買うだろうな。ほかに入手手段が無いんだろ?
背に腹はかえられないしな。飢え死にはしたくない。


あゆ☆
あんたの娘のCDもライブチケットも同じだよ。
ほかに選択手段が無かったから、みんな仕方なく買ってたんだよ


A美父☆
おい、うちの娘は、うんこ味の食べ物だったっていうのか?
おいおい、消費者の若者たちって、
あの子以外のほかのアイドル手に入らない立場か?違うだろ?
わざわざ自分の足で店やチケット屋に足運んで・・
っていうのは、若者自身の選択にまかされた自由な消費行動だろ
うんこみたいな商品は、いくらでも拒否することは可能だろ。
不満だったら買わなきゃいい話だ。

それに、食べ物と違って、CDは無かったら死ぬわけじゃない。


あゆ☆
でもね、ある意味、ある一時期の若者にとっては、
アイドルなんて食べ物と同じなんだよ。心にとって必須なの。

   
A美父☆
どういうことだ?


あゆ☆
若者個人にとってね、アイドルっていう存在ってのは
脳内に存在するポジションなわけ。恋人とおなじくさ。
一人の若者の頭の中には、”その座”がひとつだけポツンと
頭の中にあるわけよ。わかる?


A美父☆
なんとなくわかるよ


あゆ☆
その”座”は、一人の頭の中にひとつづつあるから、
社会全体として考えると、いつの時代にも多量に必要とされるし、
一個人として考えるとたくさんいらない、
一人存在すれば、座は埋まる。ほかは入れない。

わかりやすくいうと、精子みたいなものね(笑)。
卵子はアレを一個しかうけいれてくれない
受け入れたとたん、変態して他を拒否する(笑)。


A美父☆
ははは(笑)なるほどなァ


あ ゆ☆
反対に、だからといって、そのポジションにふさわしい人が
今の時代に一人もいないからといって


その”座”を空白にはできないのよ。

これは深く話すと、宗教とかカリスマを求める大衆心理とか、
むずかしい話になっちゃうからここでやめるけどさ、
要は、精神的な位置付けの問題なの


A美父☆
ふんふん


あゆ☆
とにかく、ある時期の若者にとって、そういうアイドルとかカリスマとかっていうのは、
劣悪だろうが不満だろうが、何かしらで代用しなくちゃならない”必須栄養素”なの。

いわば”塩”や”米”なんだよ。

    
A美父☆
精神的なよりどころなんだね。
そして、それはある時期の若者にとって”食べ物””塩”と同じく、
いつの時代にも生きていく上で必須で、同じくらい需要があって
必要とされるものってことか・・なるほど。


あゆ☆
だけど、そういう、塩とか、タバコとか電力とかって

よく”専売”されない?


A美父☆ううっ・・

たしかに、ちょっと旧いが、昔は日本専売公社とかあったな。


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