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作品名:あゆとあみの父の会話 作者:しろ

第1回   もし、それしか無かったら?
男☆
あんた芸能界にくわしいよな?
今日は、あんたに聞きたいことがあるんだが・・・


あゆ☆
何よいきなり、人の家に押しかけてきて!
あんた何なの?


男☆
すまん、ちょっとでもいいから俺の話を聞いてくれ。
俺はあの鈴木A美の父親だ。鈴木A美はわかるな?


あゆ☆
わかるけど。。で、そのおとうさんが、何なの?


A美父☆
会う人会う人が、俺に向かっていつもおなじことを言うんだ。
『君の娘が売れてたのはまるっきりの虚構で、
メディアや事務所の力で売れてるように見せかけていたに過ぎない。
おまえたち親子ははめられただけなんだ・・・・』ってな。

でも俺は納得できないんだよなあ。


あゆ☆
なんで?納得できないわけないじゃないの?
あんたの娘なんてもうとっくに芸能界から消えてるじゃん。
虚構だったんだよ。じゃなかったら今の今まで売れ続けてるよ。


A美父☆
でも、今はともかくして、過去の一時でも、
娘のCDがあれだけ売れたり、武道館を満員にしたりしたことは、
明らかな事実であるわけだしさ・・・・

いくら事務所の力がおおきかったとはいっても
才能やカリスマ性の全くなかった人間が自分以外の力だけで
あそこまでいけるとは思えないんだよ


あゆ☆
曲がりなりにも、
鈴木A美個人にも、何らかの売れる要因があったってこと?

    

A美父☆
そう。
それまでもが虚構だったというのならば、
いったいどこから虚構で、どこまでが事実なのかさっぱりわかんなくなるよ。
そうするとうちの娘は、そこらへんの素人同然だったってことになるわな。

でも、たとえば、
街歩いてるそこらへんの娘を適当につかまえて、売り出したとしてもだよ、
あのときのA美のように売れるとは、とても思えないんだよなあ・・・

それとさ、消費者がCDショップに入って娘のCDを買ったり、
チケット買ってコンサートに足を運ぶって行為は、
どう考えても消費者である若者たちが自ら選択した行動だよね?
どっからも強制されてないよね?

いくらなんでも、一介の芸能事務所やマスコミが
そんな消費者の日常の自由な行動まで制御できないだろうと思うんだ。
マインドコントロールじゃありもしないんだからさ。

仮に、うちの娘が実は聞くに堪えないほど歌が下手で、
消費者の誰一人として娘に満足しちゃいなくて
カリスマ性もこれっぽちもなかった無能だったとしたらさ、
じゃあ、なんでファンは嬉々として、
娘のCDを買ったりコンサートに行ってたりしてたんだ?
おかしいだろ?

その商品が到底満足できないシロモノならば、買わなきゃいい話だろ
だが現に、若者たちは嬉々として娘のCD買ってたんだ。
誰だって、その事実までも否定できないだろう?

あんたにききたいが、私の言ってることは、おかしいか?

 

あゆ☆
あきれるね。素人はこれだから・・・


A美父☆
やっぱり、娘の、ASAYANとかの売り出しって
いんちき教祖がよくやってるような、
マインドコントロールみたいなシロモノだったのか?

どうだろう、あんたの口から、そこのところのからくりを
詳しく教えてもらいたいんだが。。。あんた時間あるかね?

企業秘密なんていわれたらおしまいだけど、そんなこといわないよな?


あゆ☆
時間はあるから、わかった。話すよ。
何から話せばいいかな・・・


あの、たとえばだよ・・


A美父☆
たとえば?


あゆ☆
もし、うんこみたいな味で、ものすごくまずくて、ものすごく値段高くて
しょうもない商品がこの世にあったとするじゃない?

普通、みんなはそんなもの買わないで、ほかの食べ物買うよね?


A美父☆
あたりまえだ。
なんで好き好んでまずいもんを食って、不快な思いをしなきゃならないんだ。


あゆ☆
でも、それしか世の中に無かったとしたら?


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