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作品名:あるシステムの敗北 作者:しろ

第10回   検証 その3
検証その3。
このクーデタは実は、消費者全体のためにはなっていない
逆に、消費者に叛旗を翻されてしまった。

このクーデターは、業界、つまり生産者の都合のみで行われた。
”システム”は、業界に大盤振る舞いしてくれるので
業界にとって都合がよいってだけである
消費者の要求とは必ずしも一致していない。

生産者がかってに押し付けただけ。当然彼らは、叛旗を翻す
すなわちモノを買わないという行動を選択するだろう。

生産者のお気に入り、生産者の満足度が最高の人物が
消費者にとって満足度が最高の人物というわけではないのである。


生産者にウケがいい”システム”は、ちやほやされるのは当たり前。
”よくふかばばあ”だの”シブチン”だのといって、批判されることも無い。
”システム”によって飯を食っている人間が”シブチン”より、相対的に多いので
システムがなくなったら困る人が多い、よって批判されない。
”シブチン”は、その逆である

だがしかし、消費者は、”システム”だろうが”シブチン”だろうが
より満足した方を支持するのだ。単純な話である。


ここで、映画業界を例に出す

駄作だろうが傑作だろうが大金ぶちまいて大宣伝したり、
制作費ジャブジャブばら撒いてくれる映画は関係者にとって大歓迎だ。
だからマスコミなどは、盛んにこのような映画をヨイショするし、
我々関連会社に大金を落とした映画しかうれない世の中だったら
さぞ天国だろう!と思っている。

いわば宣伝した者勝ち、金使ったもの勝ちの世界である。
(実際はそうではないのだが、まあ、そういうことだと仮定しよう)

そうすると、売上を伸ばすには限界ぎりぎりまで規模を拡大するしかない。
製作者が、金をかけずに売上を伸ばす工夫などされたら
広告や物資の補給を担当する、周囲の会社の連中はたまったものじゃない。
映画の売上が、宣伝費や予算に完全に正比例しているのが理想だ。

宣伝ばかりに金を使っても、もしも、それが全く効果がない状態が続けば
宣伝の有効性が疑われてしまう。
となると映画界は、次第に、宣伝業界と距離をおき始めるだろう。

だから、広告担当の会社が、映画制作者を説得するためには
私の宣伝が、こんなに売上に貢献してるんですよ・・
と、アピールの材料をつくらなければならない。

しかし、忘れてはならないことだが、
広告業界や宣伝業界は世論操作もできるのである。


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