「何よ!誰よあなた!」
その女はヒステリックに叫び始めた。
「なんでこんなことになってるのよぉ!」
女は意味がわからないというように顔を歪めて叫んだ。 ・・ そして女の視線の先には二つの物体があった。
「あんたいったいなんなのぉ!?何が目的で私の家族殺したのよぉ!?」
そう今俺の足元に転がっている物体はこの女の夫と息子だ。
俺は彼女たちの家族を殺すように依頼された。
「何が目的で殺したの?って言われてもねぇ・・・仕事だから殺したとしか言いようがないんだよねぇ」
「あなた、人を殺しても何にも感じないの!?狂ってるわぁ!!」
「別に何も感じないわけじゃない。面倒だなーとは思うよ。でもそれ以外は別に・・・ってそんなことはどうでもいい、早くお前を殺さないといけないんだよ」
「あ・・・あんた女でも平気で殺すの!!!」 女は最後の抵抗とばかりに叫んだ。
俺からすれば全く意味が分からない。逆に女のほうが楽に殺せるからいいと思ってるぐらいだ
「ああ、殺す。今から証明してやるよ」
おれはそう言ってポケットから鋏を出した。ただの鋏ではない
剣を二つ合わせたように外側にも刃がついている鋏だ。
「じゃあな」
そういっておれは鋏の外側の刃で頸動脈を切った。
これもまた大変な作業でけっこう奥まで刃を入れないと届かないのだ。
「はぁ〜めんどくせぇ」
おれはため息交じりにそう言った。実際、金をもらっていても面倒なものは面倒だ。
そして仕事が終わったので武田に電話した。
武田というのはおれ専属の業者。契約とかとってくるパシリだな。
3コールで出なかったら悪戯してやろ、と思いながら電話をかけた。
そしたらあっけなく2コールで出た。
・・・そんなに仕事ねぇのかな・・・
そして俺はあまり武田が好きではないので事務的な会話を数回交わしてすぐに電話を切った。
これでやっと解放された、とばかりに俺は伸びをした。
まあ、死体が横にあるのだからそんな悠長なことはしてられないと普通の人は思うだろうけどな。
でも、俺は仕事が終わった解放感でそんなことはもちろん頭にない
というかもう6時なのにビックリした。
普通にで昼までに帰れなかった。
おれは帰りにケーキでも買っていこうかなと思いながらその家を出た。
しかし、おれのそのお気楽な行動がまさかあんな面倒なことになるとはこのときはまだ知る由もなかった
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