百人いたらその全員が認めるほど端正ではっきりとした顔立ち、 触れれば折れてしまいそうな細い体、 雪のような真っ白な髪、 そして雪女のような冷たい目つきというのが柳カオルの第一印象だ。 その日僕―秦崎遼斗はとても憂鬱だった。
なにせ今日は新学期で学校が始まるからだ。
僕の学校、私立井坂高校はなぜか毎年クラス替えをする。
なのでクラスの名簿が貼られているせいか、みんながそれに食いつくように群がっていた。
かくいう僕も見ようとしたが、面倒なので友人に電話で聞いた。
わざわざと思うかもしれないが実際、誰がクラスメイトでもどうだって良いので電話で聞くので十分なのだ。
聞いてみたところ僕は一組だった。一組の教室は階段を上ってすぐのところにあるので楽だった。 一番乗りかと思い勢いよくドアを開けると そこには美女が! なんてことはなく女が1人だけ座っていた。 「なんだ、お前だけか?」 「あら、ずいぶんなご挨拶ね。本当は私と同じクラスになれてうれしいんでしょ?」 その女、柳カオルはよくわからないことを言い始めた。 「はぁ、面倒くさいなぁ」 ため息交じりに僕が言うと柳は、 「あなたってツンデレなのね。うれしいけど素直に表現できぃないなんて。ツンデレ、ツンデレ、秦崎君、素直にな〜れ」 と無表情で言った。
おいおい、男にツンデレって・・・ 「ちょっとツンデレはないんじゃないか?どっちかっていうとお前のほうがツンデレっぽくないか」 「はい、ドクシュッ」 柳は突然僕の脛を蹴ってきた てか、こいつ自分で効果音言うとか小学生かよ・・・ 「あなた私がツンデレとか失礼なこと言うわね。私はツンデレじゃないのよ。どちらかというとクーデレ?」 「なぜ疑問形で言う」 「すいませんでした。ごめんなさい、ゆるしてください。靴を舐めます。地べたで這いつくばってご主人様って言いますからどうか許してください」 「棒読みでしかも無表情で言われると逆になんか感動するな」 「まあ冗談はもうやめて秦崎くん、これから一年間よろしくね」 「ああ、よろしく」 柳が握手を求めてきたのだと思い柳の手を握ろうとしたら、 「なんで触ろうとしているんですか?ホントに気持ち悪いんですけど」 ・・・こいつ殴ってやろうか そう思った瞬間、教室に着信音が響いた。 「はい、わかりました。すぐに行きます」 僕はそういって帰る支度をはじめた。 「行くの?」 柳は心配そうに聞いてきた。 「ああ、昼ごろには家に帰るよ」 「気を付けてね。あなたが私を助けてくれた。それはとっても大きな借り、私は絶対にその借りを返す。・・・だから死なないでね」 無表情だが、いきなりそんなことを言われて少しドキッとした。 「まあ、、、面倒くさいけど行ってくるよ」 そういって僕は仕事に・・・任務に向かった。
|
|