ここ東京の開拓地では、およそ310万人の人口が集結されており、外部との情報を遮断するため、堤防のようなものが円状に建てられている。 何故このようにするかと言うと、この内部ないで極秘に行われている実験があるからである。そう、それが“能力者生産”である。 この中にはほとんどが学生しか存在せず、学校や塾、若者向けの施設が多くあるため、これを称して“学園科学都市”と名付けられたのである。 能力者を生産する過程として、薬品や電磁波などありとあらゆる科学を用いて行われ、生み出すのである。 中には刺激しても反応しな者もおり、それらは才能がない人間と認識され、“無能力者”と呼ばれているのである。 しかし、薬品を投与したり、電磁波や電気ショックなどいろいろな刺激を続けることにより、深い眠りから能力が覚める事もあるので、可能性と言う考慮で無能力者でも学園科学都市に居続けられるのである。 そして、彼こと“草壁凪十”もまた無能力者の一人だったのである。
「クソッなんだってんだこりゃあ」
凪十は爆撃の中を必死に走っていた。女の子を担ぎながら。
「はぁ・・・はぁ・・・」
凪十はとある研究施設の柱の陰に身を潜め、攻撃してくる相手から逃れた。担いでいた少女はまだ目を覚まさない。 息切れしながらも気配を必死で隠そうと凪十は冷静さを取り戻しつつあった。
(えっと、確か今日はたまたまレポートの課題でこのxxx研究所にきて、そしたら急にどっか爆発が起きて、それが何者かによるテロって知って、逃げようとしたらそのテロ首謀者に遭遇したんだっけ。急いで逃げようとしたら近くに女の子が倒れてたから担いで今に至ってるわけなんだが)
情報整理してる最中、カウントダウンのように足音がだんだんと近付いてくるのに気づき、そっと見た。1F のエントランスホールは広い空間になっており、周りは柱がたっている。今では爆撃による煙や、崩れた瓦礫により視界が霧のようになって見づらくなっていた。
「かっかっか、でてこいよクソ野郎。その逃げ腰のケツに爆竹いれてやっから。」
犯人は見た感じでは単独犯っぽく、明らかに能力者であった。
(十中八九“爆弾能力者”だな。問題は何を起爆させているかだな、奴の懐か、建物内の物質で爆発を起こしているんだろう。)
分析する凪十は対策を考えていた。無能力者であれ、100%勝てないわけではない、更に言えば勝負しなくと相手を撒く方法くらいいくらでもあるのである。凪十はこの煙と瓦礫によって崩れた地形を利用して、なんとか逃げきろうと必死に解決策を探っていた。
(駄目だ、運よく逃げ切れる確率が低すぎる。)
「クソッせめて俺に能力があればッ!」
「・・・一つだけ・・方法があるよ」
声が後ろから聞こえ首を振り向けたら、担いでいた少女が目を覚ましていた。ゆっくりと目を開き、周りを見ながら自分の状態を認識していた。
「方法ってどんな?」
凪十は激しく食いついた。手段があるならそく実行あるのみ、というのが基本理念なのである。 彼女はポケットからカプセルのようなものを一粒取り出した。
「それは?まさか攻撃力アップとか?」
「・・違うけど、近いね。これはまだ未完成だけど、簡単に言えば“強制的に能力者にする薬”なの。」
少女はさらっと驚愕の発言をして、微笑んだ。試しているのである。だが、凪十は願ってもないと思っていた。周りから幾度となく才能がないと非難され、孤独な毎日を送り続けていたのだ。これさえ飲めば今日から自分も能力者の仲間入りと鼓動が高くなった。しかし、そんな彼に彼女は言った。
「・・でも気をつけて、これは強制的に脳のパーソナリティを書き換えるから、かなりの負担がかかって下手したら死ぬかもしれないの。もともとこれは死刑される囚人のために作っていた物なの。」
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