3人目の女性は藤村智子 24歳 独身 彼氏なし 4月の新規スタッフ 藤村裕子 23歳 藤村のポジションはグロッサリー (日用品出し)である。
藤村は簡単に言えば秋葉系女オタクである。 真っ黒な黒髪に首下で一つに纏めるヘアースタイルと小太りな体系に銀メタルのメガネで意味ないビニール素材の大きなリュックを背負い出勤をする。 その姿は登山にでも行くようなスタイル。 完璧ファッションに無縁な彼女である。 服装も今どき何処で買った? と聞きたくなるようなジーンズも中途半端な青いマダラ色の二本のライン。 もちろんウェストはゴムが使用されている。
アキバ系と言えばチェックのシャツとセーターは毛玉が目立つ淡い色合いを好み着る。 真冬でもカシミヤなどとんでもない話でダッフルやPコートなども着ない藤村は淡い色したフリースである。 数多い色合いのフリースから淡い色を選ぶ、せめて鮮やかな色にすればいいのに服まで目立ちたくないようだ。 そんな彼女にもちろん彼氏など言えるような男性の存在も影もなく、男友達と言える仲間もいない。
それでも藤村は寂しいとも思わなかった。 それは熱烈なアイドルの追っかけであるから バイト終了後は家に真っ直ぐ帰宅してファン同士HPで情報交換が待っている。 偽善的な現実の仲間よりウェブ上で同じ価値観の合う同類仲間と共有時間が藤村は何よりも楽しいと思えるから仕事も続く。 週5日午前7時〜午後5時まで働く姿藤村。欠勤なく遅刻なく文句ない働き姿は模範的そのもので店長から高い評価である。 藤村は口下手な性格だけあり不平不満はあるが上手く素直に言葉に出来ない人間である。 話し方もボソボソとした低いトーンで周辺の人間は藤村の声に1度で気づくこともなく、 レジ部門の女達に比べたら比較にならない扱いやすいスタッフと店長のお墨付き。 当事者は頭と腹の中で言いたい不平不満は爆発寸前である。 それでも藤村がバイトに模範的勤務で望める理由として第一番目は好きなアーティストのライヴやファンクラブなどで交流費である。次に真面目な性格であるA型獅子座である。 24年間彼氏のいない藤村。
口下手な藤村ではあるがサイオス勤務して1年にもなると少なかれ偽善的ながら会話する仲間もできる。 同年代が恋愛話になっても聞き役である。 藤村はアイドルグループを追いかけて夢を見て妄想してれば満足なのだ。 けして手の届くことのない相手に恋をして稼いだ金を全てつぎ込む藤村は不憫である。 そんな藤村に3年過ぎた 2003年 4月から転機が起こる。 その存在は藤村の直接の上司にあたる グロッサリーチーフの山中俊哉 28歳 この山中はセクハラ男でもある。 チーフと言う役職はありながらも仕事にヤル気なんて一切ない。 商品発注は模範的な藤村にまかせっきり。 そんな山中に藤村は日夜イライラ感を募らせていた。 山中がセクハラ男と言うだけあり暇を見ては事務所であぶらを売っては女子スタッフの体をボディタッチしては笑いながら冗談を言うよくいる軽い男である。 藤村が1番嫌いなタイプの男である。
正しく言えば現実の生々しい男が苦手。 芸能人のキレイな部分を見て恋している彼女にとって現実のスーパーで働く飢えた生々しく男を見せつける存在に頭を抱えていた。 しかし山中のタイプとしてポッチャリ系の女性が大好物である。 軽い女より真面目な女にタッチして動揺した顔を楽しむサド的要素たっぷりハエ男。 藤村のふくよかな体系は山中の標的である。 レジ部門の女性達にしてみれば山中のセクハラ程度は茶を濁す程度のランクで流せるが男に免疫ない藤村にとって言語道断である。
「ケッ 汚らわしい!!!」 「私ばかり真面目に働いて納得いかない!」 「山中の下で働くなんて耐えられない!」 ついに藤村は候補者から脱落することになる。 黙々と模範的勤務を続けて山中の度重なるセクハラにも黙々と耐え続けた藤村は上司である山中に告げたのである。 「今月で退職したいと思います・・・」
思いとは裏腹に度胸がない小心者の藤村は全力で相変わらず低い声でボソボソと告げた。 しかし相変わらず脳天気な顔して軽く返えす山中は藤村の最後の期待さえ裏切るのだ。 「あっ そうなの?何で?」 「そろそろ社員の仕事しょうと思いまして」 「ふ〜ん いいよ わかった」 言いたいことも結局言えない藤村は模範的な勤務をして誰よりも真面目に頑張った3年間 そして山中が東中野のグロッサリーチーフと配属になって1年である 1年の月日 藤村はセクハラに耐えてきた しかし2004年 11月 スッキリしない藤村の幕が閉じた。 このバカなハエ男の為に藤村の仕事が断たれたのである。 そんなことを知るよしもない山中は藤村が去った後も相変わらず脳天気に次の獲物を探してはセクハラを繰り返した・・・・ このまま 幕は降りたかに思えた。 2005年 4月 藤村は再び戻ってきたのである。
そう 退職して半年が過ぎたがことごとく面接に落ちつづけた藤村はお金も無くなったことが藤村の唯一の生きがいであるアイドルの追っかけ&ファンクラブ活動を出来なくなってしまったのだ。 早くバイトを探さなければ・・・ 結局、時給が良いラーメン店のホールを見つけたものの小声で笑顔のない藤村には接客業は当然向いてなくクビとなる、 派遣ならば仕事もたくさんあるだろうと登録はしたものの先方企業に顔合わせをすると断られる結果になる。 ネットオタクではあるがネットと言っても2チャンユーザーに何ができる。 2チャンネルにカキコは出来てもエクセルワードは書き込めない藤本は実務経験もない。 もはや選ぶ余裕もない藤村は辞めてからもメール関係である仲間の1人に口を聞いてもらい店長としても模範的な藤村を迎え入れることは大歓迎と言うことで再び勤務開始 結局アキバ系藤村を心良く受け入れてくれる場所はオープニングで勤務していたが1度退職した元のポジションはなく結局は時間を大幅にカットされて以前よりも給料は少なくなったが働かないよりは金が入ってくる為、藤村は仕方なくサイオスで再就職するが・・・
再び山中のセクハラに嫌気を感じ半年後に再び退職をするのであった。 オタク系は退職も優柔不断である。
2005年4月「アキバ系 藤村、戻ってキター」より
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