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作品名:「誰も書かなかった中国人農業研修生の話」中国人農業研修生の話 作者:しんたろ

第2回   誰も書かなかった中国人農業研修生の話 第2話
張の出身は黒竜江省牡丹江、中国の田舎といっても街の人口は270万人
巨大な農村である。
今もその地からこの街に出稼ぎに来るものは数多い。

背はさほど高くなく筋肉質の朝青龍のような顔立ち、漢民族というより、モンゴル系であった。
パソコンを教えることと決めた翌日から、張はやってきた、
中国からの研修生はひと月ほどの日本語の研修を経て、農家で働く。
簡単な日本語は理解している様子、彼に教える工夫は、ぬかりがない。
教室には、しんたろのモノ好き心からロシア人が遊びに来たり、中国人も遊びに来ていた
いずれの今までの友は英語と簡単な日本語は話す。
張には、翻訳のソフトを用い、パソコンの操作を教える。
中国人との会話は案外楽である、経験から漢字が共通の言葉となる、ロシア人との会話よりはずっとましである。
コーヒーを飲みながら煙草を互いに吸いながらの一見ふまじめな授業はこうして始まった。張との会話の中で、張との共通点を多々みつける、たばこ好き、女好き、酒好き。
この3点が一致すれば、会話は弾む。
張と彼の奥さんは、毎年日本へ来て出稼ぎをして生活をしているという。
制度上、同じ人物が毎年日本へは出稼ぎに来れない仕組み。
これだけ多くの中国人が、日本へ出稼ぎに来ていると毎年来ても見つからないという(年間中国から5,5万人以上が研修に来ている)。
お土産に中国から持参のキクラゲをもらい、気を良くしてしまう、誰でもそうだと思う。
こんな授業内容でその日の日中友好パソコン授業は終わった。


「中国人農業研修生の話」 外国人研修制度の話

ご存じと思ううが、日本国内で中国人が農業労働者として就労することはできない、(コック、タレント、などの職業は日本国内での労働が許可されている)。
この田舎街で働く中国人は全員が中国人農業研修生なのだ。
つまり農業の技術を研修に来ているわけだ・・
この名目で中国から5万人以上が日本へ働きに来ているのだ、日本国の政策の賛否は別として、研修という名前で労働する現実がここにある。
研修であるから、労働者ではない。労働基準法の範疇には当たらない、1年程度の労働は研修という名目なのだ、日本の役人は是非は別として実に巧妙な法律をつくっている。

張は先に記したとおり、農業研修生としてこの農村で働く、期間は春先の4月から10月までの半年間である、彼の収入は月6万円程度日本に滞在して36万円が彼の収入となる、その中から食費が多少なりともかかる(研修であるから給料としては支給されない、6万円は日本で研修のための滞在費なのだ)。

彼らの生活は日本人の目から見ると実に質素である。
食事は中国から持参の小麦粉で作った「まんじゅう」
万頭が彼らの夕食となる。
野菜は、夏を過ぎると働く農家から豊富に手に入る。
米などは、高くて買えないという。

住む場所は離農した農家の家屋などさまざまである。
一軒の家に15人以上生活するのを見たこともある。
最低の居住スペースの法的な規定はある。だが現実ではない。
日本人のしんたろには、刑務所以下としか思えない生活の半年である。
※ 他の住民が中に立ち入り中国人と接することは禁じられている事は多い。


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