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作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第9回   「決意」

レン達が修行を終えた次の日、瀬那とレンは一週間ぶりに学校へ登校する。

「おっはよ〜っ、レン!、調子はどお?!」
瀬那が待ち合わせ場所でレンに手を振り、声をかけた。
レンは大あくびをしながら、右手で挨拶をする。
「おはよ・・・。最悪だぜ、修行から帰ったら帰ったで、じじいには瀬那のことでいろいろ問い詰められるしよ、美沙のガキは遊んでくれってうるさいし、ゆっくり休めもしなかったぜ・・・・」

瀬那は意地悪そうな笑みを浮かべると、こう切り返す。
「ふうん、良かったねえ、家族が心配してるってことはありがたいことだよ。で、おじいちゃんにはなんて説明したの?・・・・ふたりで『イイトコロ』までいきました・・とか?」
瀬那のその言い回しはいやらしいものであった。レンと自分の恋の進展に何か変化が起きたという、意味合いを含んでいたりもする。
・・・実際はなにも無かったのだが・・・・。

「バ〜カ!、そんなことあるわきゃ無いし、じじいに言えるかよ。変なこと言ったら姉さんに軽蔑されるわ、美沙に馬鹿にされるだけだっつーの。」

「ぶ〜っ、つまんないのぉ・・・・」
瀬那は頬を膨らませた。

「そうそう、知ってる〜?」

「なんだよ・・・」

「あたしたち、ちょっとウワサになってるかもよ〜。」

「なんで・・・?」

「だってさ〜、同じ期間二人して学校休んで、同じ日に登校するじゃん?、これってふたりの間に何か遭ったってことになりそうじゃない?女子の間でウワサになっちゃったりして〜?」
どうも瀬那はそういう「スキャンダル」的なものが好きらしい。

「・・・なんのうわさにもならねえよ・・・。ふたりとも同じクラスならそうなったかもしれないけど、別々のクラスだし、俺が瀬那と面識があるっつうことは周りはあまり知らないし、関心もねぇだろ・・・・。
ありえないって・・・」
そう言うとレンはスタスタと瀬那をおいて足を急がせる。

「んもう!!レン君!!レン君ってば〜〜!!」
瀬那はレンの早歩きに追いつこうと自分の足を速めた・・・・。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

校門についた、二人は昇降口に入ろうとした。
しかし、一年生の靴箱の所で生意気そうな男子が2,3人、同級生の女子一人を取り囲んでいた。

「『ナンパ』か・・・・」
レンはとっさにつぶやいた。

「なにか、違うわ。女の子がうつむいてるわ。『ナンパ』じゃなくて、『嫌がらせ』かも・・・。」
瀬那は答えた。

ふたりは耳をすましてみるとこんな会話が聞こえてきた・・・。
「おい、ミイラ!学校来んなっていったろ?何しに来たんだよ?」
男子生徒のもうひとりが口を開く、
「おい、化け物!また、俺たちの話をシカトすんのか? あっ!?」
「なんか、言えよ」


「やめさせなきゃ!」
瀬那が出ようとしたとき、レンが左腕を瀬那の前に出し、制止した。
「おれが・・・行く・・・。」
レンの表情が引き締まり、レンは1年の男子生徒に近づいていく。

男子生徒が威嚇するため、女子に右手を挙げ、殴るフリをする。
「殴られてぇのか!」

ガツッ!

そのとき、レンは背後から、その男子生徒の腕をつかんだ。
「おい、何やってんだよ・・・。男が寄ってたかって女の子一人を脅して・・・・」

「げっ、先輩だ!!」
「だって、こいつ化け物ですよ。昨日、不思議な力で俺たちを張り倒したんですよ。」

レンの眼つきはきつくなる
「あ!?俺に張り倒されたいってか!?」
つかんでいた腕をきつく握り、背中にねじ上げ始めた。
「いたたたたたっ!!」
一年生の男子生徒は苦痛にゆがんだ顔でさけんだ。
「放してくださいよ、先輩・・・。」

「じゃあ、こんなことすんな・・・。もう二度とこの子にちょっかい出すな・・・。でないと・・・!!」
レンはさらに手をねじ上げた。

男子生徒は目に苦痛の涙を浮かべながら叫びを上げる。
「いてててて、す、すいません!!もう、しません!!。お助け〜!!」

レンが手を放してやると男子生徒三人は血相をかえながら逃げて行った。
「ひぃぃぃ!!」

「かっこいいね・・・。」
瀬那はそんなレンを見てフフッと微笑み、つぶやいた。

「大丈夫か?」
レンはうつむいてる一年生の女子に尋ねる。

「うん・・・・・ありがと・・・」
その子はゆっくりと顔をあげた。背の低いその子は金髪のツインテールに「赤い生地にしろ水玉」のリボンをしていて肌は色白く目の瞳は深紅であった。両腕に水色のシュシュをはめており、まるで『フランス人形』のような子であった。

「なんだ結構、かわいい子じゃないか・・・」

「キミ、大丈夫?何かされてない・・・・って、あーーーーっ!!」
瀬那は大声を上げた。

「なんだよ、いきなり・・・・。知ってるのか、この子・・・・」

「あたし、この子と会ってる!! レン君の修行に行く前の日に体育館で会ったわ!、ボールがあたしに飛んできて、よけたらこの子の方に飛んでいって、それで、「ぶつかる!!」と思ったら・・・・」

レンは瀬那の説明を無視し『フランス人形』のような女子に話しかけた。
「キミ、名前は?」
すると、その子はしばらく黙っていたが、口を開いた。
「・・・・・ミィミ・・・・。ミィミ・スイーディ・・・・」

「みぃみ・すいー・・・?、留学生か?」
「・・・ちがう」
「ふーん、そうか。・・・俺は早乙女レンだ。」
そのとき少女は驚いたように目を大きくした。
「・・・サオトメ・・・・レン・・・・」
ミィミはまじまじとレンを赤い瞳で見つめた。
一瞬レンはたじろぐ
「ああ、よろしくな・・・・。」
(なんか、視線痛いな・・・。なんだ、この子?)
しかし、レンはミィミの苗字が気になった。
(スイーディ?・・・・どっかで聞いたことあるような・・・・。まさか、あいつの!?・・・・んなわけないか・・・。
同じ苗字なんて、いくらでもあるさ・・・・)

「レン君!!あたしの話きいてんの?」
瀬那はレンに尋ねたが、瀬那の言葉が耳に入ってない様子・・・。

「助けてくれてありがとう・・・あたし・・・行くね・・・・。」
「おお、気をつけてな。また、いじめられそうになったら俺のところに来い。おれは2年B組だからさ・・・」
「・・・うん・・・。」
そう言うとミィミは静かに去っていった。

瀬那はムッとしながら答える
「・・・何、あの子・・・・。タメ口なんか聞いてさ・・・。あたしたち先輩なんだから、もうちょっと愛想良く『ありがとうございます。先輩、ミィミ・・・うれしい・・・先輩に助けられて・・・・』とか言うんだったら可愛いのに!!・・・ね、レン君・・・って、いないしっ!!」

前方を見ると、レンはさっさと歩いて階段を昇りはじめていた。
「ああー!、レン君待ってよお!!」
瀬那は内履きに履き替えると他の生徒の間をすり抜けながら、レンの後を追いかけた。

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教室に入ると、みんなレンの姿を見かけるやいなや声をかけてくる。
「おおー!レン!!生きてたか〜!!」
「ば〜か、風邪で寝込んでたんでしょ!」
「俺は、インフルエンザだと聞いたぞ!!」
「レン君、イタリアに留学したんじゃないの?」
「交通事故じゃなかったのかあ?」

(・・・・いったい、俺についてどんなウワサがながれてたんだよ・・・・)

「おお、わりぃな、心配かけて・・・。家柄の用事ごとだよ。」
レンはそう言うと自分の席に着くとさっそく、仲の良い悪友の洋介と裕也がやってきた。
「レン、おまえ彼女できたのか〜?」
「憎いねぇ、このヤロウ!!」
それを聞いてレンは目を丸くした。
「あ?なんだよそれ」
(もしかして、瀬那と歩いてるとこ見られたかな・・・?)

洋介はシラを切るレンに問いただす。
「なんだよ、おまえさん、1組の伊吹からコクられてないのかよ。この前、おれたちと会ったときさぁ、『早乙女レンはあたしの婿』っていってたぞ〜」
「うらやましいなあ〜、瀬那ちゃんけっこうキャワイイしよぉ〜」

「・・・・・」
レンはあきれ返った。
(なに俺のダチに変なことしゃべってんだよぉ・・・瀬那のやつ・・・)
レンは瀬那と自分の間には何も「特別な関係」は無いことを力説する。
「いや、あいつとは幼馴染以外の何モノでもないから・・・」
「幼馴染ィ〜!? そこだよ!!そこ!」
「完全に、恋愛フラグ立ちまくりじゃんかよ!」
「はあ!? なに言ってんだよ!」
「レン、許さんぞ!!瀬那ちゃんは俺のものだ!!」
裕也がレンを指差して戦線布告する。
「だから、なんなんだよ!!わけわかんないっつーの!!」

そのとき、始業のチャイムが鳴り、ちょうどのタイミングで、担任の赤塚(通称:赤鬼)が入ってきた。
「おまえら、席に着け〜」

「やべ、赤鬼だ!!」
「じゃあな、レン。このことについては後でたっぷりと尋問してやる!」
「・・・バカかっ!!」

赤塚が教卓の前に立ち、日直が挨拶の号令をかける。
「おはようございます!(全員一同)」
「うむ、おはよー」
赤塚がレンの方を見て、目に涙を浮かべてこう言った。
「レン!!・・・おまえ、『お笑い芸人』の夢を諦めて戻ってきてくれたんだな!!先生、うれしい!!」
それを聞いてレンは怒号した
「だーーーーっ!!なんでそうなってるんだよ!?ありえねーーーしっ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昼休み

レンと瀬那は屋上で待ち合わせをしていた。
昼食は晴れている場合は一緒に屋上で食べようと決めていた。
瀬那はその『恋人的な雰囲気』が気に入っており、レンのほうは瀬那が美味しそうなおかずを分けてくれるのでそれを楽しみにしているのだ。今日も天気が良いので屋上で昼食をとることにしていた。

「おう、瀬那もう来てたか、早いな」
「レン君、お昼食べよ〜。もうお腹ぺこぺこ・・・・」
瀬那は地面に敷物を広げ、座って手さげ袋から大きめのランチボックスを出していた。
レンも一緒に座り、姉が詰めてくれた弁当箱の包みをほどいた。
「あっ、そういやお前さ・・・」
「ん?なあに?」
瀬那はランチボックスのふたを開け、手に持ったままレンを見た。
「洋介と裕也になんか、言ったか・・・?」
それに対し瀬那は
「えっ、何?なんだっけ?たしか、『あたしはレンの恋人で〜すっ!よろしくねぇ〜!』っては言ったよ。」

「だーーーっそれだっつーの! 恥ずかしいから、あん畜生らにいうのやめてくれよ、さんざんイビリやがるからよお・・・」

「いいじゃん、別にぃ〜。レン君の友達なんだから、一応、挨拶しておかないとね!」
「・・・だったら、レンの『友達』でもいいだろうが!」
「ぶぅーーー!!」
瀬那は頬を膨らませた。

瀬那の機嫌を察したのか、レンは話題を変える。
「おっ、今日の卵焼きうまそうじゃん!食ってもいいか?」
「おっ、御目が高いですなあ、お代官様。それは南蛮渡来のかすていら(卵焼き)にございまする」
瀬那も調子に乗る。

「うむ、では頂くとするかのお・・・・もぐもぐ・・・んぐっ、うまい。あっぱれである流石は南蛮渡来!」
瀬那はさらに調子乗り、両腕をついて上様にひれ伏す庶民のようにふるまう。
「はは〜っ!!おそれいります!!」

ふたりは、互いに笑いながら昼食を食べ、雑談した。

ふと、レンは空を見上げ、真剣な顔つきになった。

「どうしたの・・・?」
瀬那がレンの顔をうかがう。

「いや、ラム・スイーディのこと思い出してさ。あいつ、仲間に連れられて退却したんだけど、どうなっちまったのかなあと思ってさ。」

「なあに、敵の心配してんのよお。あいつはレン君のこと殺そうとしてんだよお?」

「わかってるよ、もったいないよなあ・・・。あのおっぱ・・・」

ビシッッ!!

瀬那はすかさずレンにビンタした。
「ふ〜ん、あんた、カラス天狗から「どこ」を鍛えられたのよ!!この変態っ!!」

「冗談だってば!!・・・・でも、なんであんなに俺を狙うことに固執してんだろう、アイツには家族はいないのかなあって思ってさ・・・・。」

「レン君はそんなこと考えなくてもいいのっ!」

そのとき、屋上への階段出入り口の扉が開いた。
そこから背の小さい1年の女子が扉を丁寧に閉める。
良く見ると、その子はミィミであった。

「あっ、あの子・・・、今朝の・・・。」
「ミィミ・・・・だっけ・・・」

ミィミは辺りをきょろきょろ見回し、こちらに気づいた。
レンが声をかけた
「ミィミ、こっちだ!」
すると、ミィミはゆっくりとこちらへ歩いてきた。
「・・・・サオトメ・・・レン・・・。」

「よお、よく、屋上には来るのか?」
レンは尋ねてみる。
「うん、最近・・・・。一人に・・・・なれるから・・・。あなたたちもここにはよく、来るの?」

「ああ、天気がいいときだけ、昼飯食うためだけにな」
レンは一緒に座るよう促す。
「お前も座れよ。一緒に食おうぜ・・・。」
同意を許可していない瀬那は躊躇する。
「ちょっ、ちょっと、レン君!」
ミィミはレンに促されるがまま一緒に敷物の上に座った。
レンは瀬那の卵焼きを自分の箸でつまむと、そのまま、ミィミの前に差し出した。
「食ってみろよ。瀬那の飯。けっこう美味いぜ」
「・・・・わかった。」
ミィミは言われるがままにそのまま卵焼きにかぶりついた。
「・・・・おいしい。瀬那、料理上手・・・・」
「だろ!?、料理の天才かもなっ!」
レンも瀬那をおだてる。
その言葉に瀬那は照れる
「えっ、そっ、そう? ま、まあね。ミィミちゃんも食べていいよ。いっぱいあるから・・・」
瀬那はレンとミィミのペースにまんまと乗せられるのであった。

「ミィミちゃん、もう、昼食は過ぎてたの?」
瀬那が尋ねる。
「ううん、昼食は食べない。お金ないから買えない。」

レンと瀬那は驚きつつ尋ねた
「ええっ?、ハラ減るだろーそれじゃあ・・・。お母さんとか弁当作ってくれないのか?」
ミィミはうなずき、こう答えた
「・・・うん、ママ、忙しいから・・・」

瀬那はその境遇に疑問を抱く。
「・・・ふつう、お弁当作る暇無かったら、お昼何か食べるようにお金ぐらい渡すよねぇ・・・。
どういう親御さんなんだろ・・・?」
ミィミはうつむいてしまった。
「・・・あっ、ゴメンね。そういう意味で言ったんじゃなくってさ・・・。お母さんもいそがしいのかなあ〜って思って・・・・」
レンはこう切り出す
「よし、じゃあ昼、腹減ったら俺たちのところに来い!、弁当分けてやるからよ。」
「ちょっ、ちょっと、レン君!!」

しかし、ミィミは申し訳なさそうなそぶりでこう言った。
「・・・・いいよ、悪いから。昼は我慢すれば何とかなるし、・・・・昼食食べなくても死なないから・・・」
しかし、レンはこう切り返す
「遠慮すんなよ。そういうときは先輩に頼れ。俺たちは別に『迷惑』だなんて思ってね〜からさ」

「・・・そう、ありがとう。感謝する・・・。」
ミィミはうつむきながら小声でつぶやいた。

レンは話題を変える
「そういえば、なんであの一年の男子ヤロウども、おまえをこづき廻すんだ?」

「・・・知らない。たぶん、わたしがおとなしいからかも・・・」

レンは「なるほど」とうなずきながらこう答える
「いるんだよなあ、おとなしくしてる人に面白がってちょっかい出す奴って・・・」

「でも、あのいじめ方は尋常じゃないわ。なんか、サドっぽいじゃない!」
瀬那は反論する。
「だよな・・・・。こんなにかわいい子なのに、なにが気にくわねえんだろ?」

それに対し、ミィミは諦めの態度でこう答える。
「いいの、かまわないで・・・・。気にしてないから・・・。」

しかしレンは、諦めないようミィミをはげます。
「先輩としてはほっとけないって!。それに、担任の先生には事情説明したのか?」

「・・・・先生に話したけど、信じてくれなかった・・・。」
レンはミィミのクラス担任の先生に対し、疑心暗鬼になる。
「なんだって?! 担任はクラスや生徒のことちゃんと見てんのかよ?」

「ミィミちゃん、本当にちゃんと先生に話ししたの?」
瀬那はミィミを覗き込んだ。
「・・・・」
「おい、瀬那・・・!」
瀬那はそれ以上、追求するのをやめた。きっと話たくない事情でもあるのだろうと考えた。
「・・・ごめん、でも、なにかあったらあたしたちに相談してよ。力になるから・・・。ねっ!」

「・・・うん・・・」
そういうと、ミィミはたちあがり、深々とレンと瀬那に頭を下げ、去っていった。

ふたりは、ミィミの姿が見えなくなるまで、見送った。
「ほんと、あのとき会ってから思うんだけど、不思議な子だね」
「なんか、複雑な家庭事情でもあんのかな・・・?」

「あっ、」
瀬那ははじめてミィミとあったとき不思議なことがあったことを思い出した。
「どした?瀬那」
レンが尋ねる

「あたし、あの子とはじめてあったとき、不思議に思ったことがあるのよ。あたしがよけたボールがその子に当たろうとしたとき、確実にその子の顔面に当たるはずだったのに、ボールが変な方向に曲がってったのよ。で、あの子は無傷だったの!!」

そのことについてレンは気のせいだろうと思った。
「なんだそりゃ?、ボール投げた奴が『変化球』でも投げたんじゃないのか?
でさ、あの子に当たる前にボールの軌道が湾曲したんじゃねーの、偶発的にさ・・・」
瀬那は反論する
「そんなわけないわよ!だって、『ノーコントロールの流れ球』だよっ。いくらなんでも偶発的には起こりえないわ!!」
「じゃあ、ボールが生きてるとか・・・」
「・・・レン君、・・・馬鹿?」
瀬那はレンのいい加減な返答にあきれかえる。

「まっ、とにかくいいじゃんかよ、新しい「お友達」も出来たことだしさ・・・」
レンはそれ以上、難しいことは考えないことにした。今は、ただ、目の前にある弁当をたらい上げて余った時間、横になって昼寝したい気分でいっぱいであった。
「もう、レン君の楽観的〜っ!!」
そう言いながら瀬那も弁当を食べ続けた。

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放課後

レンと瀬那は一緒に下校するため、昇降口で待ち合わせしていた。
今日はレンが先に授業が終わったので、瀬那を待っていた。

レンが入り口のところで待っているのに気づいた瀬那が声をかける。
「ごめーん!、待った?。ちょっと野暮用が長くてさ〜。遅くなっちゃった!」
「おお、大丈夫だ。今、来たばっかりだからよお。・・・んじゃ、行くか?」

「うん!」

レンと瀬那は学校を出た。

途中、洋介と裕也に出くわし通りすがりに野次を飛ばされる。
「よお!、ご両人!!おアツイねぇ!」
「レン、きさまぁ!!、許さん!!・・・・瀬那ちゅわ〜〜ん、俺の彼女になって〜!!」

レンは反論し、「野次飛ばし」を追い払う。
「やかましいわっ!!そんなんじゃねっつってんだろーが!!」

「バイバイビ〜!!」
洋介と裕也はさっさと走り去っていく・・・
そんなやり取りをみていた瀬那はクスッと笑った。

しばらくたって、瀬那は播磨美花のことを思い出し、レンにこう話を切り出した。
「あっ、そうそう、この前の生徒手帳、ちゃんと播磨美花さんに返したよ。」

「それは、修行してるときにも聞いた・・・」
レンはそっけなく返事をする。

「で!修行のとき話してなかったけど、美花さん、レンに「お逢いしたい」ってさ!
・・・いいよねぇ、播磨さんって強くって、礼儀正しくってさ。美人だし、お金持ちそうだし・・・」

「ふうん・・・。」
レンは関心がなさそうにそっけなく返す。

「よし、これから美花さんと逢おうよっ!」
瀬那は自分のケータイを取り出した。

「おっ、おいっ。もうお友達になっちまったのか!?」

「うん、そーだよ。いやあ、すっかり意気投合しちゃってさ〜!」
そういいながら、瀬那は播磨美花の携帯番号へかけ始めた。

トゥルルルルル・・・・

トゥルルルルル・・・・

ピッ・・・
「はい、美花でございます。」

「あっ、美花〜?、あたしぃ、瀬那〜。」
レンの横目をよそに瀬那は美花と会話をはじめた。
「いま、レンと歩いてんだけどぉ。これから会えない?」
すると、瀬那のケータイのスピーカーから、美花の歓喜の高めの声が聞こえてきた。
「まあ!!早乙女レン様と一緒ですの!?。・・・・そうでしたら、わたくしも時間が空きましたので瀬那のほうへ行き急ぎますわ!!」

瀬那は会話を続ける
「じゃあ、駅前の喫茶店の前で待ち合わせでどう?」

瀬那の提案に対し美花は了承した
「了解しましたわ。すぐに行きますね」

「あわてなくてもいいからね。待ってるから・・・。じゃあ、またあとで・・・」
ブツッ
瀬那は通話を終わらせて、レンのほうを向き、ニッと笑った。
「と、いうわけでこれかられっつゴー!!」


レンはあきれ返りぼやいた。
「勝手に約束取り付けんなよ。」
瀬那は人差し指を立て、レンの顔に近づけた。
「あなたに、拒否権はないからねぇ〜」

「へいへい・・・」
レンは言われるがまま、瀬那と二人で駅前の喫茶店にむかった。

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駅前の喫茶店に着くと、入り口で播磨美花が待っていた。
レンたちのほうに気がつくと丁寧にお辞儀した。
「ごきげんよう、瀬那・・・・さん。それに・・・早乙女レン様ですね。」

「美花〜っ、『さん』はいらないの!、瀬那でいいって言ったじゃない!」
「す、すみません。なんだか呼びにくくて・・・」

この前、偶然遭ったとはいえ、播磨美花の容姿の美しさにレンは緊張し、ぎこちないあいさつを返す
「お、おお・・・。この前は・・・・ども!」
瀬那は横目でレンを見、左腕の肘でレンのわき腹を突っついた。
「・・・なに、照れてんのよっ!」

「美花、このひとが早乙女レンね。・・・・ごめんね、忙しかったかな?」

それに対し美花は首を横に振り、笑顔で答える
「いいえ、大丈夫です。今日は何も予定はございませんし、レン様にお会いできるのであれば、予定を調整してでも駆けつけるつもりでしたし・・・」

瀬那はニヤニヤしながら、レンのわき腹をまた突っついた。
「だってさ〜っ、レ・ン・ク・ン。もてるねぇ〜。それじゃ、入りましょっか?」

3人は喫茶店の扉を開け中に入った。
窓際が居心地がよさそうなので、そこのテーブルに着く。
瀬那は、紅茶とショートケーキを注文したが、レンと美花は紅茶のみ注文した。
「あれ・・・なんか食べないの?」

「わたくしは遠慮しますわ。ダイエット中ですので・・・・」

レンは横目で瀬那を見てつぶやいた。
「おまえはよく食べるよなあ・・・・」
その言葉にムッとした瀬那はテーブルの下でレンの足をギュっと踏んずけた。
レンは目の前に美花がいるため緊張して声をあげることが出来ないので、痛みをこらえ下を向き押し黙っていた。その様子に気づいていた美花は笑いそうになる。
瀬那はさらに踏んずけていた足に力をいれる。レンの顔は「百面相」のようにくるくる変わりついに、こらえる事が出来なくなった。
「だーーーっ、いてぇっつーの!!」
「レン君のばーーーか!」
「アハハハハッ!!、もうだめですっ!!笑いすぎておなかが・・・・。お二人とも本当に仲がよろしいのですね。」
ついに美花も笑いをこらえる事ができず、思いっきり笑った。
レンは瀬那との関係については「照れ」混じりに返答を返す
「あ、いや、べつにこんな奴となんか・・・・」

ぎゅぅぅぅぅ!!

瀬那はまたもや、レンの足を強く踏んずけた。
「痛ってーーーーー!!」

「あたしたちは恋人同士でしょうがーー!」

「なんで、そうなるんだよっ!!」

「アハハハハッ!」

おかげで、レンと美花の緊張は解けたようだった。

それから3人は本題に入る。
「わたくし播磨美花は代々、「竜の印に導かれし者」の家系の子孫として、「来るべき滅びの日」に
備えるため、幼少の頃から『播磨剣豪流』をその身に叩き込まれてまいりました。じいの話によるとわたくしで77代目なのだそうで、「災いに直面する世代」と聞きました。」

「災いに直面する世代?」
レンと瀬那が声を合わせてたずねる

(この人も77代目って・・・・。なんだか、「77代目」ってぇのが、偶然じゃないよな・・・・)
レンは心の中でそう思った。

美花は話を続ける
「ええ、おそらく、ウロボロスの組織の活動が活発化し、この世界に影響を及ぼし始める時期だと思われます。だから、わたくしがこの時期に誕生するであろう「竜の印」を持つ者を探し出し、その方と共にウロボロスに立ち向かうよう教え諭されてきたのです。」

「運命を受け入れるの・・・嫌じゃなかった?」
瀬那が尋ねる
美花はこう返答した
「たしかに、最初その話を小さな頃のわたくしが聞いたときは動揺いたしましたわ。しかし、こう思いました。「自分がやらなければダメなんだと・・・」ですからわたくしはこの日のために鍛錬に鍛錬を重ねがんばってまいりました・・・」

レンと瀬那は口をぽか〜んと開けて驚いていた。
「・・・・・しっかりしてる・・・・」
瀬那はレンのわき腹を指で突っつき、小声でレンに対しこう言った。
「運命から逃げ回ってた、だれかさんとは大違いだねぇ・・・」
「・・・う、うるせー・・・」

レンは質問する。
『播磨剣豪流』っていってたよな、剣士なのか?

それに対し美花は胸に手を当てて答えた。
「はい、そのとおりです。ウチは代々『剣道』の家系なのでわたくしもその血筋を引くものです。」

レンは腕を組んでうなずく
「なるほどな・・・・。でも、今は剣を持ってないんだな・・・」

「いいえ、ここにありますわ・・・」
美花は笑みを浮かべ、胸のペンダントをレンに指差して示した。

「ペン・・・ダント・・・?」
レンは目を丸くした。

「そのうち分かりますわ・・・」
美花は瀬那の方を向き、質問する。
「そういえば、瀬那はどんな能力をお持ちなんですか?」

瀬那はそれに対し答える
「うん、あたしはね、予知夢を見る能力があるみたい。・・・・今まで見てきたものは、「世界が破滅してみんな死んでしまう夢」、「竜のオーラをまとった男の子が邪悪な竜を砕く夢」、あと、「美花があたしを助けてくれる夢」・・・かな。あ、あと、緊急時には『テレポート』(瞬間移動)できるようになってるみたい。テレポートはいつもつかえるわけじゃないんだけど、よく危ないときに勘が働いて、「使える」って教えてくれるんだ。」

レンはそのことに感心した。
「へえ、だからあのとき逃げられたんだな・・・」
美花もうなずきつつ
「そうなんですか。すごいですね」
と答えた。

「レン様は、どのような力をお持ちなんですか?」
美花は今度はレンに質問する。

「ああ、おれは・・・。分かってると思うけど、竜の力とかいって右手はすごい拳の力が出て、左手が「癒し」の力があるらしい。それで瀬那の怪我を治したり、あとは戦闘中、防御膜を作ることができるみたいだ・・・。」

美花は驚嘆した
「それが『竜の印の力』なのですね・・・、すごい・・・」

レンが美花に質問をする
「なあ、美花さん、『ウロボロス』のことについてどれくらい知ってるんだ?」

美花は返答する
「わたくしの事は『美花』と呼び捨てにしてくださいな。『さん』を付けられるほど決して偉くはございませんので・・・・」

レンはその謙遜振りに驚きつつ、テレながら返答する
「おお、そっか。わかったよ。美・・・花・・でいいんだな。」

「はい!」
美花はにっこり微笑んだ。
さらに彼女は会話を続ける
「・・・『ウロボロス』はいわゆる、『邪教』にあたる組織ですわ。祖父より聴いた話によれば破壊の使い『ウロボロス』が中心となってあがめ祭られており、最高破壊神『フェンリル』が支配していると聞いていますわ・・・。『フェンリル』についてはわたくしも祖父も詳しいことは分かりませんが、間違いなく『来るべき滅びの日』を実現させる者であるということですわ。そして、いまや『ウロボロス』は活動を開始しこの世界に影響を与えようとしているみたいですね。」

「『フェンリル』・・・・か・・・始めて聞くなあ・・・」
「あたしも、はじめて聞く名前だわ・・・。おばあちゃんはそのことについては何も言わなかった・・・」
レンは疑問をぶつけてみる
「でもさ、こんな『世界を破滅させる組織』があるんだとすれば、国家や政府は、気づいてんのかな・・・・?」

「おそらく、気づいてないか、『カルト教団』の戯言としてしか見てないでしょうね。相手にもしないと思います。しかしながら、わたくしの独自の調査隊の報告によれば、組織の中には政治家、宗教指導者、軍人などがいて、国家を裏側から監視している者がいると聞きますわ・・・・。」

「ちょ、調査隊・・・・?」
瀬那は唖然とした。
「・・・お恥ずかしながら、わたくしの家には『施設部隊』なるものが組織されてまして、わたくしの一声を掛ければ手足の様に働いてくれる人たちがいて・・・・。その者たちに独自調査をさせておりましたわ」

「す、すごいじゃないか・・・」
「さすが、おじょうさまだわ・・・・・」
レンと瀬那はあっけにとられていた。

美花は頬を赤らめ、下を向いたまま答える
「すみません・・・・本当にお恥ずかしい限りです。決して、お嬢様扱いしないでくださいね・・・」

「いや、気にしてないから大丈夫だよ・・・」
レンは美花をフォローし、質問を続ける
「『ウロボロス』の連中は俺たちの存在のことも分かるわけだよな・・・。だから、おれたちは狙われているんだな・・・」

「そうですね、きっと『竜の印を持つ者』は組織にとっては「脅威の存在」なのかも知れません。自分たちの野望が遂げられなくなるばかりか、組織を『竜の力』によって滅ぼされてしまうことを恐れているのでしょうね・・・」

レンは自分たちが置かれている状況に半信半疑を抱きつつこう答えた。
「へえ・・・、でもなんか、釈然としないんだよなあ。『世界が滅ぶ』とかさ、俺たちが『世界を救うものになる』ってぇのが・・・・。なんか、SFチックだよなあ。」

美花もクスッと笑いつつ
「わたくしもそうですよ。自分がちっぽけに思えてしまい、ホントにそんなことが現実で起こるのかしらと思ってしまうことがございますわ・・・」
瀬那も言い出した
「・・・そーだよね・・・。なーんか、おとぎ話っぽくてたまに信じられないときもあるけど・・・でも、あたしの見る夢は現実になっていくんだよね。必ず・・・」

三人はしばらく沈黙したが、レンから会話を切り出してきた。
「でも、実際、俺たちには「不思議な力」が在り、敵もいる・・・これは事実だ」

瀬那も口をひらいた
「現実になる夢も見るし、必然としか思えない『出会い』もある・・・」

そして美花も答えた
「予言は成就しつつあり、刻(とき)の歯車はもう、動き出しているのですね・・・」

「やってやるか・・・。どこまで出来るか知らないけどさ・・・。とことん『宿命』とやらに付き合ってやるぜ!!」
「あたしも!!やれることをやってみるわ!!」
「わたくしも共に立ち向かう覚悟ですわ!!」

3人は決意を新たにし、『強大な敵』に立ち向かうことを誓い合ったのだった。



第9話 END


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