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作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第5回   5
瀬那は黒き魔物に襲われていた。傷つき、必死で逃げようとしたがその黒き魔物にすぐに追いつかれ絶対絶命の危機を迎えていた。

だが、目の前に『女性の影らしきもの』が瀬那と魔物の間を阻み瀬那を守るように立ちはだかった。
その右手には細くて長い「日本刀」のようなものを持ち、そのオーラはあたかも「火」のようであった。
「あなたは、誰・・・・?」
その女性のようなものの姿ははっきりと確認できなかったが、敵ではないとの認識はできた。
それは次々と黒き魔物を手にした「日本刀のようなもの」で鮮やかに切り裂いていく。
すべての魔物を打ち倒したあと、それはこちらのほうを向き、右手を差し伸べてきた・・・・・。

そこで、瀬那の『夢』は覚めた・・・・。

ピピピピピピ・・・・。
目覚ましが鳴る。ここは瀬那の部屋。きちんと整理整頓されている清潔かつ女の子らしい部屋だ。
「ん〜〜っ」
瀬那は両腕を上に伸ばしながらアラームを右手で止めた。
「もう、朝か・・。」
カーテンの半分開いた窓を眺めると、外は曇り空だった。
「なんだったんだろう、あの夢、あの人・・・・。また、予知夢かな・・・・。」
「起きなきゃ・・・。」
瀬那は眠い眼をこすりながら、ベッドから起きあがった。パジャマのまま、1階のダイニングへ下りる。
「あら、瀬那、おはよう。」
母が台所で朝食の支度をしていた。
「おはよ、お母さん。」
瀬那は母に声をかけてからすぐにバスルームへ向かう。シャワーを浴びた後、制服に着替え、エプロンをして台所に向かい自分の昼食である弁当を詰めはじめる。

「今日は、彼氏のお弁当はいいの?」
母がいたずら半分に瀬那に尋ねた。リビングでは父が新聞を読みながらこちらをひそかに見つめていた。
「今日は、いいの。レン君はまだ学校行けないんだってさ。」
そっけなく答えながら、手際良く、自分のランチボックスにおかずを詰めていく。

弁当の詰め込みが終わった後、テーブルに着き朝食をとる。
父は忙しそうに仕事へ行く支度を整えていた。
「あなた、ネクタイ曲がってるわ・・・・。」
「おお、すまん」
「じゃ、行ってくるよ。」
「お気をつけて・・・」
そんな夫婦の会話を瀬那はニコニコしながら見ていた。
「朝から、お熱いねぇ」
母にからかいの言葉をかけた。
「なにいってんの、遅れるわよ。はやく学校に行きなさい」
「はーい!」
朝食をさっと済ませ、かばんを持ち玄関へ向かう。
「・・・・しょっと・・・」
玄関にある大きな鏡を見ながら自分の頭髪をチェックし、唇が荒れるのを防ぐため透明のリップクリームを塗る。
「・・・よし!オッケー!!」
靴を履き扉を開け外へ出た。
「行ってきまーす!!」
と元気良く言うと、母が家の中で
「いってらっしゃーい!」
と返答した。

瀬那は曇り空の中、早朝のすがすがしい冷たい空気を身体に浴びながら走りだした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

通学途中、セントマリア女学院の制服を着た、いかにもおしとやかそうな女学生を見かける。
この時間帯になるとこの道は、小学生や中学生、高校生の登校でいっぱいになる。
セントマリアの生徒はけっこう見掛ける事が多い。
瀬那はふと気がつき、かばんの中に入れてある昨日レンから預かった「播磨美花の生徒手帳」をとりだした。
「そういえば、これ、持ち主に返すんだった。・・・でも、どうやって探そうかな?こんなにいっぱいセントマリアの学生さん多いんじゃ、探すのたいへんだし・・・。かと言って声をかけるのも恥ずかしいしなあ・・」

ふと、信号待ちをしているセントマリアの生徒に目が留まった。
ブロンドの綺麗な髪の毛にりりしい表情、頭にはリボンカチューシャをしていた。
背筋はピンとしており、立ち振る舞いもお嬢様らしさを醸し出している。
「とりあえず、あの子に声をかけてみるか・・・・」
瀬那は恐る恐る彼女に近づき声をかける。
「あ・・・あのう・・・」
すると、信号待ちをしていたその子はこちらを向き
「はい、わたくしになにか御用ですか?」
と答えた。
瀬那は緊張していたがすかさず、生徒手帳を差し出しこう訪ねた
「あたし、セントマリア学院の生徒手帳を拾った人から持ち主を探して欲しいと言われ預かってるんですけど・・・。この「播磨美花」という方をご存知でしょうか?」
すると、その信号待ちしてた少女は顔がぱっと明るくなり、驚いた様子で
「まあ!!わたくしの生徒手帳ですわ!!見つけてくださったのですね。」
と答えた。
瀬那は一瞬驚いたが、すぐに持ち主に会えたことを喜び、心の中でガッツポーズをした。
(やったー!!ラッキー!!。なんて偶然なの!? こんなにすぐに会えるなんて・・・なんか運命感じちゃったりして!?)

彼女は会話を続ける
「ありがとうございます。なくしてしまい諦めかけていたところでした。わたくし、播磨 美花ともうします。
ご親切に本当に有難うございます。」
播磨美花と名乗る少女は深々とお辞儀した。
「あ、あたし、伊吹瀬那です。あ、あの、あたしの友達が拾ったんで、本当なら本人が届けるべきだったんですけどね・・・。すみません、あたしなんかが届けたりして・・・・失礼だったかな?」
瀬那は緊張してしまい自分の声が裏返り、しゃべっている言葉が空回りしているように思えた。
美花は懇切丁寧に瀬那を落ち着かせる
「落ち着いてください、わたくしは今、感謝の気持ちで心がいっぱいです。失礼だなんてめっそうもございません。なんとお礼を申し上げましたら良いのか・・・」
美花は瀬那の両手をやわらかい両手で優しく包んだ。
「!!」
そのとき、瀬那は何かを感じ取った。自分の内奥に共鳴しているような、懐かしいような何かを・・・・。
それは播磨美花の握った手から流れてくるようだった。しかしながら、相手は何も感じてはいないようだった。
「そうでした。伊吹瀬那さんですね。何かお礼をしなくては。」
「あっ、いえ、お礼だなんて・・・。あたし、たいしたことしてないし・・・・。それに・・・。」
瀬那の言葉が終わる前に美花は話をつづける。
「そうだわ、学校が終わったら・・・。そうですね、夕方4時位にでも駅前の噴水広場で待ち合わせしませんか? ぜひ、お茶にお誘いしたのですが。あ、もちろん僭越(せんえつ)ながら私が茶店代を負担しますので」
瀬那はすっとんきょうな顔をして
「え、・・・・あの・・・。」
とあせっていた。
信号が変わり、美花は駆け出し、横断歩道の中間で振り向きこう言った。
「それではごきげんよう、伊吹瀬那さん。夕方お会いしましょうね」
彼女はそういうと駆け足で走り去っていった。
瀬那はあっけにとられたまま、その場に立ち尽くしていた。

「どうしよう・・・・。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4時限目の授業中
この時間、瀬那のクラスは体育でバレーボールの授業だった。
瀬那は体操着姿で、体育館の端の見学席に座り、今朝、出会った少女「播磨美花」のことを考えていた。
「お茶に誘われたけど、どうしよう。行かないとなあ。せっかくなんだし。それに、手を握られたとき不思議な感覚を感じたわ・・・。もしかして、あの子・・・・。」
ぼ〜っと考えながら瀬那は遠くを見つめた。
「・・・・確かめなきゃ!・・・」
そう思った瞬間、クラスメートの声が耳に入ってきた。
「瀬那〜!!、あぶな〜い!!」
「えっ!?」
試合中のバレーボールがコントロールを失い、見学席の瀬那の方に向かってきた。
「!!」
瀬那は瞬時にボールをよける。
しかし、よけたボールはそこを歩いていた一年生の女子めがけて飛んでいった。
「そこの人っ、危ないっ! よけて!!」
瀬那は叫んだ。

ボーーンッ!!・・・・

だが、その一年生の眼が赤く光った瞬間、ボールは軌道を湾曲させ不自然に曲がり、壁に当たった。その光景は瀬那にしか気づかなかった。
「なに・・・、今の・・・?」
瀬那は唖然としたが、その一年生が怪我をしていないかどうか確認するため近づいた。

その一年生の少女は背が小さく、大きな赤い瞳に、ツインテールの金髪でおとなしそうな子だった。
「大丈夫?」
「・・・大丈夫。」
その少女は不気味な笑みを浮かべながら、静かに答えた。
瀬那は心配そうに尋ねてみる
「怪我してない・・・?」

「・・・・怪我してない・・・・。」
淡々とこたえる。
(変な子・・・)
瀬那は心の中でそう思った。
少女はじっと瀬那を見つめこう尋ねてきた。
「サオトメ・・・レン・・・・知らない?」
「えっ!?」
瀬那はドキッとした。

「おーい、瀬那〜〜っ、その子大丈夫なの〜?」
向こうからクラスメートが大声で呼んでいる。
「ええ、大丈夫みたい!」
瀬那は振り向き大声で返答した。
だが、目線を少女のところに戻すと、少女はすでにいなくなっていた・・・。
「あ・・・れ・・・?」
辺りを見回したが、その子の姿は見当たらない。
「いったいなんなの?あの子・・・・」
瀬那はその場に呆然と立ち尽くしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

放課後
学校が終わり、瀬那は「播磨美花」の指定したとおり、駅前の噴水広場へ向かった。
「ここかな・・・?」真ん中の大きな噴水のほうを見ると、今朝出会った少女「播磨美花」はそこにいた。

美花はこちらに気づき、大きく手を振った。
「こちらです。瀬那さん。」

「あっ、どうも・・・」
瀬那はまだ、緊張しているのか多少ぎこちない挨拶をした。

そんな様子を見て、美花はフフッと笑い
「リラックスしてください、瀬那さん。右手と右足が一緒に出てますよ・・・」
と緊張している瀬那の動作を指摘した。

「あ・・・、おっかしいよね。あたしってば何緊張してんだろ・・・」
瀬那は頬をぽりぽりと指でかいた。
「面白い方ですね。」
と美花はクスクスっと笑った。
瀬那もつられて一緒に笑い出した。
おかげで瀬那の緊張がすっかりとけたようだ。

「さあ、参りましょうか?」

二人はすっかり打ち解け、雑談をしながら喫茶店に向かった。


喫茶店に入り二人は窓際に席をとった。

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか?」
ウェイトレスが尋ねる。
「瀬那さん、紅茶は大丈夫?」
美花が瀬那に尋ねた。
「あ、はい、大丈夫です。よく飲みますから・・・」
「わたくしはアールグレイでお願いします。瀬那さんは?」
「あ、あたしもあーるぐれーで・・・・。」
(あーるぐれーって紅茶、何?・・・)

「アールグレイを二つ。それから、パスティチニア・マニガーニを二つで」
「かしこまりました。以上でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いしますわ」
「ごゆっくりどうぞ」
「ありがとうございます」
ウェイトレスは一礼して注文の確認を終えるとカウンターの奥へ消えた。
「ぱすてぃちにあ・まに・・・??」
瀬那は何語か分からないケーキの名前に目を丸くしていた。
「パスティチニア・マニガーニ。ここのお店では人気のスイーツですのよ。瀬那さんもぜひ、お召し上がりになられてくださいな」

「は、はい・・・・。」
(高そうなケーキ・・・)

「そういえば、わたくしとぶつかってしまった殿方は、瀬那さんのご友人なのですか?」
「ええ、まあ。」
「そうですか。ボーイフレンドなのですね。」
その言葉に瀬那は赤面した。
「あ、あのっ、まあ、なんというか…」
返答に戸惑う。

美花はクスっと笑いさらに質問する。
「その殿方はどんなお方なのですか?」
「ええと、まあ、いい人かな…?」
瀬那はどぎまぎしていたが、少し落ち着きを取り戻し、返答する。
「最初は頼り無い人だなって思っていたけど、結構、中身のある人だったんだなあって…
物事には真剣に取り組めるやつで。ピンチのとき、身体を張って守ってくれそうな…」

「とても良いお方なのですね…。羨ましいですわ。」
「あっ、ごめんなさい。つい…」
「いいえ、良いことをお聞きしましたわ…」
そんな会話をしている間に注文していたものが来た。
「お待ちどうさまでした。こちらご注文の当店自慢のスイーツ『パスティチニア・マニガーニ』と『アールグレイティー』になります。ごゆっくりどうぞ・・・」

「ありがとう…さあ、ご遠慮無くどうぞ召し上がって下さいな。」
「うわあ、美味しいそう!」
ついつい言葉がもれてしまう。
瀬那にとってそのスイーツはとても甘い香りが漂い、観た目にも大変綺麗で食べるのが勿体無いくらいであった。
「いただきまーす!」
瀬那はスプーンでその綺麗なスイーツの表面をすくい、口に運んだ。
「ん〜〜っ、美味しいっ!」
口の中いっぱいに甘さがひろがり、生クリームが舌の上でふわっと溶けていくのを感じる。
美花は美味しいそうに食べてる瀬那を見ると微笑みながら、アールグレイティーの香りを楽しみながら飲んでいた。
「良かったですわ、お気に召して頂いて…」
「うん、とっても美味しい!こんなに美味しいスイーツ食べたの初めて!」
二人は和やかな雰囲気のなか、いろんな話を楽しむ。…最近のファッションのこと、よく聞く音楽のこと、テレビで話題のこと…など。
(な〜んだ、美花さんって普通の女の子なんだ。セントマリアの人っていうから「お硬いイメージ」って思ってたんだけどね)
瀬那と美花はすっかり親しくなった。

二人は雑談を楽しんだあと、喫茶店を出た。
辺りはすっかり暗くなっていた。
「ごめんなさい、こんなに暗くなるまでお時間を取らせてしまって…」

「いいえ、いいえ!、あたしは大丈夫ですからー!」
「では、またお会いしましょう、瀬那さん。ごきげんよう」
美花は一礼すると、その場を去った。
「さてと、あたしも帰らないとね。」
瀬那も家路に歩き始める。


「いたぞ・・・間違いない、あの小娘だ。」
ラム・スイーディに仕えるあの忍者の様な者たち3人は家路を急ぐ瀬那を発見した。
「小娘を捕らえ、ラム様に差し出すのだ。」
3人は辺りに人気(ひとけ)が無くなるのをうかがう。


瀬那は何かを感じ取ってはいた。
「なんだろう、イヤな予感がする・・・・。」
警戒しつつも、家路を急ぐ。

連中は瀬那に気付かれないようにしつつも、間合いを取り近づいていく。
瀬那は公園の中に入り、まん中で立ち止まった。
「なにか、いる・・・!!」
瀬那の勘はすでに殺気を感じ取っていた。

「いいかげん、出て来たらどうなの! ウロボロス!!」

瀬那は大声で叫んだ。

シュバッ!・・・シュババッ!!

その瞬間、暗い木陰から2、3発の手裏剣が飛んできた!

「!!」
瀬那は俊敏にかわす。
それと同時に黒い影が瀬那を取り囲んだ。
「ふっ・・・見事な勘だな。しかし、もうすでにおそいわっ!!」

3人のウロボロスの配下は小刀を構えて戦闘態勢に入る。
瀬那はレンの母にさずかった「光の弓矢」を召喚した。
「あんたらが相手なら負ける気はしないわっ!!」
瀬那は矢をつがえた。
「ふっ、そんな飛び道具では接近戦には不向きだぞ」
やつらが同時に飛び掛かってくる。
小刀を振りかざし、手裏剣で牽制(けんせい)してくる。
瀬那はその牽制である手裏剣で腕をかすってしまった。
「・・・痛っ!!」
あわてて、光の矢を射出した。
無論、当たるわけも無く、矢は明後日の方向へ飛んで行ってしまう。
「・・・当たんない・・!!」
瀬那は焦り始める。
間合いを取ろうとするが、敵側が接近戦に持ち込もうとするので、攻撃の態勢に入れない。
ついには足がもつれて尻もちをついてしまった!
「くっ、やられちゃう!!」

その時だった。

「お待ちなさい!!、その方を傷つけることはわたくしが許しませんわ!!」
声のする方を見ると、公園の水銀灯のてっぺんに美花が立っていた。
「播磨さん!?」
美花はしなやかに降りると、瀬那を守るように敵の前に立ちはだかる。
「小娘、何者だ?」
その質問に対し、美花の眼つきは変わり、こう返答する。
「あなた方の敵・・・ですわ!」
「なんだと・・・。」
美花は胸に掛けているルビーのペンダントを取り出し呪文を唱えた。
「火竜の魂を宿し刃よ、今我の前にその力を解放せよ! 火竜剣・・・封印解除(レリーズ)!!」
それは瞬く間に日本刀の姿に変化した!!
瀬那は今朝見た予知夢の事を思い出しながら叫んだ。
「あっ!あんた、もしかして!?」
「瀬那さん、大丈夫です。全力で貴方をお守りしますわ…」
播磨美花の身体からは火の様なオーラが湧き出ておりその瞳は敵を見据えていた。
「美花さん、あんたも『竜の印に導かれし者』なの?」
「話は後です。では!! 参ります!!」
美花は火竜剣をふりかざし敵に斬りかかっていく!

「小娘が!!」
ラムの手下の一人が飛びかかったが、美花の敵ではない。
火竜剣の真剣がかまいたちのように真空を舞い、敵の身体を切り刻んだ。

「ギャアアアッ!!」
飛びかかった一人は地面に倒れ、煙のように消えた。
「おのれぇ!!」
また、もうひとり飛びかかってくる。

そのとき、美花の眼がきらめき剣は炎に包まれる!!
「火竜剣!!天昇斬!!(ひりゅうけんてんしょうざん)」
剣先から発射した炎を帯びた竜のような波動が敵を包み込み、天高く吹き飛ばした!!
「グワアアアアアッ!!」
敵は灰になり、大気の摩擦で燃え尽きる隕石のように跡形も無くなった。

残った最後の一人はたじろいだ。
「・・・・おのれ、覚えていろっ!!」
敵は隼のごとく、その場を去った。

「あ、あんたって・・・・、すごいっ!!」
瀬那は唖然とした。
美花は刀の露を払うように一振りするとそれは姿を変え、ルビーのペンダントの形状に戻った。
「すみません、はしたないところをお見せしました・・・・。」
美花は振り返ると、右手を瀬那に差し出した。
「・・・・あのときの夢と同じだ・・・」

「大丈夫ですか、お怪我はございませんか?」
美花は先ほどの敵を見据えていた厳しい表情から、すっかり元の落ち着いた「穏やかな表情」にもどっていた。

「あ、ありがと・・・、大丈夫、助かった〜。」
瀬那は美花に手をひかれ立ち上がった。
「そうですか、良かったですわ。まだ、伏兵がいるかも知れません、ご自宅までお送りしますわ」
「うん、ありがと(あたしってば弱すぎっ!!・・・・でもこのひとってやっぱり・・・)」

ふたりは瀬那の自宅の方向へ歩き出す。

美花は自分の経緯について語りだした。
「わたくしの家柄も瀬那さんと同じように、『竜の印に導かれし者』の家系なんです。その印を持つ者が現れるまで代々内の家系はこの運命を守り続ける必要がありました。我が家系は「剣士」の家系として初代「草薙の命(くさなぎのみこと)の命にしたがい、ヤマガミノミコトの力を受け継ぐ者を守護をするよう云いつかっておりますわ。そしてわたしは77代目として、『竜の印』を受け継ぐものを探しておりましたの・・・」
「そっかあ、だからレン君とぶつかったんだね」
「は? もしかしてそのお方は先日程、私が登校のときお遭いし、ご迷惑をお掛けしたあの方なのですか?」
美花は驚く。
「そうだよっ、「早乙女 レン」。彼が『竜の印』を継承した者! ・・・で、あたしも美花さんと同じく『竜の印に導かれし者』ってことになるねっ」
「そうだったんですか。驚きです。運命を感じずにはいられませんわ。きっと、この出会いは『お導き』なのかもしれませんわね・・・」
「そーかもねっ!」
「ところで、その「レン様」はどちらにおられるのですか?」
「ああ、そのことなんだけど・・・」
瀬那はレンが、『竜の印』の契約をしたばかりで、そのあとウロボロスの配下と戦闘になり、苦戦し力不足を感じた本人は修行の旅へ出るといういきさつを説明した。
「まあ!なんて真面目なお方なのでしょう!!流石は、『竜の印』を受け継ぐ者ですわ!!」
美花は「べた褒め」していたが、瀬那は苦笑いした。とても「実は最初はかなり嫌がっていた」なんてことは言えなかった。

瀬那の家に着いた。
「ここ、あたしの家。おくってくれてどうもありがとう。っていうかいろいろありがとうね!」
それに対し美花は
「いいえ、めっそうもございません。落し物を拾って頂いた上に、楽しきお茶会もさせて頂き、その上わたくしの探していた大事なお仲間だったなんて!瀬那さんにはとても感謝しております。」

瀬那は頬をぽりぽりかきながら、
「その、瀬那さん・・・ってのはやめてよ。『瀬那』でいいよっ。あたしもこれからあんたのこと『美花』って呼ぶからっ!・・・ねっ!」
美花はニコッと微笑み、
「わかりました。瀬那・・・またお会いしましょうね。そして、この次はレン様にもお会いさせてくださいね」
と答えた。
「オッケー!あたしの「ボーイフレンド」紹介しちゃうよんっ!!」
ふたりは顔を見合わせてくすくすと笑い合った。

「では、おやすみなさい。瀬那。」
美花は、一礼すると家路へ歩きだした。

瀬那は美花の姿が見えなくなるまで、見送っていた。
「・・・新たなる、仲間・・・・かな?」
瀬那はクスッと微笑みながら自宅に入った。


第5話 END


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