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作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第3回   「洗礼」
「かあさん・・・。」
五望星法陣の中心にレンの母「早乙女響子」は浮かんでいた。
その目は穏やかであり、慈愛に満ちた表情のようであった。
『響子』はレンに話しかけた。
「ついにこの時が来たようですね。レン、あなたは『竜の印』を継承し、その力を操る能力を授かるべきなのです。」
それに対しレンは
「待ってくれ、かあさん、俺はまだ自分の立場を定めたわけじゃない!」
と言った。
『響子』は穏やかに語りかける
「いいえ、レン。あなたはほんの少しではありますが、『竜の破壊と癒しの力』を発動させることが
できるようになっています。あなたは『この竜神の洗礼』を受けることにより、さらにその力を自在に操る能力を得、『来たるべき滅びの日』を実行しようとする闇の組織『ウロボロス』に立ち向かわなければなりません。」
レンは未だに否定の言葉を発した
「でも!俺は・・・・!」
辰次郎が言葉を荒げる
「往生際が悪いぞっっ!レン、おまえがその力を持つということは、お前を亡き者にしようとする輩もいるということじゃ!!つまり、お前を殺そうとする者もおるということじゃ!!」
辰次郎の一喝に昨日、自分の命を狙ってきた『グラマラス女』のことをレンは思い出した。
辰次郎は言葉を続ける
「それだけではのうて、お前に関わるすべてのひと、つまり、ワシや瀬那ちゃん、瑞樹や美沙も命を狙われることになるんじゃ・・・。」
「レン君、あたしからもお願い!!みんなを・・・。世界を守って!!」
瀬那は嘆願した。
「レン、あなたにはもうわかっているはずよ。」
瑞樹が答える。

「!!」
レンは驚愕した。もう、運命を受け入れみんなを守るしかないと・・・・。
自分勝手な願望だけで、みんなの命を危険にさらすわけにはいかない・・・。
「・・・・・わかったよ。やってくれ・・・・・。」
レンは覚悟を決めた。
「その言葉に二言は無いな?」
辰次郎が確認する。
「ああ、やるしかねえだろう。クソジジイ。」
「フン、この反抗期めが・・・」
辰次郎が鼻で笑うと、『響子』のほうを向き
「聞いたとおりじゃ!!はじめてくれ、響子」
と『洗礼』の儀式を執り行うよう合図した。
「やっと、受け入れてくれたのね・・・。じゃあ、はじめるわ・・・・。

・・・・・数多(あまた)の星をかける、神竜の神よ。ここに集いし五望星の契約の証人の下、ヤマガミノミコト七十七代目を見いだせし今、我、洗礼を施せし者『響子』がこの儀式を承る。
・・・・・汝、早乙女 レン、古よりヤマガミノミコトの血を受け継げし者よ。汝は定めを受け入れその身体に竜の魂を結合させることを承認するか?

それに対しレンは契約の儀式とおり
「肯定!!」
と大きな声で返事した。

・・・・・・汝、早乙女レンよ、これから付与する「竜の御力」を邪悪な意思をもって取り扱うことをせず、ひとびとの繁栄と幸のために用いる事を誓約するか?

「肯定!!」
レンはもう一度答えた。

・・・・・汝の承認を受理した。では、これから汝の体に竜の魂の洗礼を施そう。

『響子』が両手を掲げると、レンの身体は黄金の光に包まれた!!
レンは自分の身体に何かが入り込んでくるのを感じた。
「くっ! うああっ!!」
レンの身体は宙に浮き上がり、さらにまばゆい光に包まれた。

・・・・・契約は、成立した。

レンは地面に足が着くと右手のこうが光っているのに気がついた!!
「これは!!」
それは、竜神の形のような紋章が右手に刻まれていた。
「それこそ、『竜の印』じゃっ」
辰次郎は興奮した。
「すごい・・・。」
瀬那は言葉を漏らす。

『響子』は瀬那の方を向き、話しかけた。
「瀬那ちゃん、あなたにも自分を守る力が必要ね・・・・。」
『響子』が瀬那に右手を差し伸べると、瀬那の右手が光はじめ、弓の形をした光の物体が精製された
「わたしが昔使ってたものだけど、あなたにあげるわ。きっと役に立つわ」
「響子おばさん・・・・。」
「レンのこと、よろしくね・・・。」
『響子』は微笑んでいた。


『響子』はレンのほうへ向き直ると
「・・・・・私は「役目」を終えました・・・・。あなたはもう、私を見ることはないでしょう。レン、『竜の力』はまだ未発達です。あなたが、これから修行することにおいて、その力は成長し真価を発揮していくことでしょう。・・・・・がんばるのですよ・・・・。」
レンは下を向いたままだった。
・・・・自分が『竜の印』の契約を交わしそれが成立すればもう、母には会えなくなることを知っていた。
本当なら、自分はこれからも「年に1度だけ母の顔を見続け」ていたかった。
・・・・優しい母の顔、優しい声。・・・・もう、これからは聴くことも見ることも出来なくなる・・・・・。
悲しい反面、悔しい気持ちがレンの心をくすぶっていた。

そのときだった。『響子』は境内の外に邪悪な魂を察していた。
「みんな、聞いて頂戴。まもなくここに邪悪な魂、つまり「ウロボロス」の配下の者が来ます。
・・・・。私はそれを察しあらかじめ結界を張りました。」
「何だって!?もしかして昨日のやつか!?」
レンはまた、昨日の出来事を思い出した。
「レン、どういうことじゃ。昨日、何かあったのか?」
辰次郎が尋ねる。
「わりぃ・・・、昨日、じじいや姉さんには話してなかったけど、「ウロボロス」っていう連中と昨日遭ったんだ。そのとき、あいつらの攻撃を受けて俺も瀬那も傷を負いながらもなんとか逃げ出してきたんだよ」
辰次郎は驚き、
「なんじゃと!? なぜ、すぐに話さなかったんじゃ!?」
それに対しレンは
「あの時は、気がどうにかなってたんだよ。話す気力も無かったし・・・・。じじい、俺は行くぜ。そいつはきっと昨日会ったやつだ。昨日の借りを返してやるぜ」
みんなは安全なところに隠れててくれ。」
「分かった、レン、やられるなよ。・・・・瀬那ちゃん、さあ、こっちじゃ!」
しかし、瀬那は言った
「待って下さい。私も、レンと一緒に戦います!!」
「無謀じゃ、相手はどんな強さをもっとるか分からん奴じゃぞ。瀬那ちゃんを危険にさらすわけには・・・」
「大丈夫です。私も『竜の印』に導かれし者。レン君をサポートするくらいなら出来ます!!」
辰次郎は一瞬迷ったが
「分かった、レン、貴様は瀬那ちゃんのことも守るんじゃぞ。・・・・瀬那ちゃん、レンを頼む・・・」
「はい!」
瀬那はしっかりと返事した。

レンと瀬那は本堂の中央の扉を開け外へ出た。
外はすでに日が落ち、月光が地面を明るくしていた。

「!!」

鳥居の上に奴は立っていた。不敵な微笑みを浮かべ舌なめずりしている。
「見つけたわ、『竜の印』を持つ者・・・・・。今度こそ、その命、いただくわよっ!!」


奴は「死神のような鎌」を振りかざすと飛び掛かってきた。
レン、瀬那はそれぞれ左右に回避した。

レンはすかさず、側面から攻撃に出た。

ガツッ!!
「ぐあっ!」
しかし、レンのパンチは「鎌」にはじき飛ばされてしまい。反動で転がりながら転倒した。
「馬鹿な子。生身であたしに勝てると思っているの? ふふふ・・・」
レンは態勢を立て直すと身構えた。
「おまえはだれだっ!!。なぜ、俺たちを狙うんだっ?」
奴は目を細めながら
「あ〜ら、死に行くモノに名のる名前なんて無いけど、せっかくだから「冥土の土産」に教えてあげるわ。
・・・・あたしはラム・スィーディ。「ウロボロス」に仕える黄泉の鎌の使い手・・・・。
そして、あなたの母『響子』の命を頂戴した者よっ!」

レンは驚いた。だが、それと同時に怒りもこみ上げてきた。
「なんだって!?お前が母さんを!!・・・・・・許せねぇ・・・・・。
お前をぶっ殺す!!」
レンが凄んで飛び掛る。だがその攻撃はことごとくかわされ、背後から背中を思いっきり鎌の柄でえぐられた!!

「ぐはあっ!!」
苦痛に悶えるレン。
ラムの冷徹な瞳はレンを見下す。
「生意気いってんじゃないわよ。この中途半端の青二才がっっ!!」
鎌を振りかざしたとき、光の矢3本がラムに向かってきた!
「!!、響子!?」
ラムは急いで後方へ回避した。矢はすべて地面に刺さり消えた。
ラムにとってはこの攻撃には見覚えがあるものであった。
弓矢を放った者は瀬那であった。彼女は弓矢を構え真剣なまなざしで矢をつがえていた。
「レン君は、あたしが守る!!」
「瀬那、危ない、逃げろ!!」
「生意気な小娘がっ!!」
ラムのかざした「鎌」の波動で瀬那は吹き飛ばされた。
「きゃああああっ!」
瀬那は吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れる。

「瀬那っ!!こんのやろおおおっ!!」
レンは怒りがピークに達した。
レンは起き上がり右ストレートをラムのわき腹に喰らわす!!
「うげぅっっ!!」
見事に命中し、ラムはよろけた。すかさずレンは顔面にパンチを見舞う!!

バキィィィィィィッ!!

ラムは10メートル程吹っ飛ばされ神社の塀にめり込んだ。

「くぅぅ!!」
ラムはよろけながらも立ち上がり態勢を立て直した。顔は鼻血を垂らしていた。
「・・・・こんの、青二才が!!。あたしの顔になんてことを!!・・・・もう許さないんだからね!!、地獄へ送ってやる!!」
言葉とは裏腹にラムはこの状況に快感を覚えているようだ。
「ますます、ゾクゾクしてきたわ!」
鼻血を右手でぬぐい、切れた唇をペロリと舐めた。

「クソババア、俺も、てめぇを許さない・・・・。」
レンも怒りに満ちた表情になっていた。
ラムが鎌を振り回し握り締めなおすと黒いオーラがラムを包んだ。
「・・・殺してやる。・・・・・殺してやる!!」

レンの身体もまた青いオーラに包まれており、その右手には「竜の印」がくっきりと浮かんでいた。


「レンーーーっ。大丈夫かーーーっ!!」
辰次郎が向こうから心配になって駆けつけて来た。
「じじいっ!!来るなって!!」
レンは避難するよう辰次郎に促す。
辰次郎がレンの相手をしているものを見るとそれは見覚えのある顔であった。
「!!・・・・ラム・スィーディ。貴様か!?」
ラムの紅蓮な瞳は辰次郎を睨んだ。
「フン、クソジジイか・・・。会うのは何年ぶりかしら、ちょうどいいわ、一緒に殺してあげるわ。」

「てめえの相手は俺だっ!!ジジイや瀬那は関係ねーっ!!」
レンが飛び掛ったが、ラムはすかさずその場を飛び、回避した。

その間、辰次郎と瀬那もレンの邪魔にならないよう遠くまで間合いを取った。

「おまえから血祭りにあげてやるよっ!!。」
ラムはレンに上空から突進し鎌を振りかざす!
「サラマンド・ブラッディー・サイズ!!」
そのギラギラ光る死神の鎌はものものしいオーラを漂わせながら強い衝撃波を放ってきた!!

「負けるか!!」
レンも人並み外れたジャンプ力でその衝撃波に立ち向かってゆく

ドオオオオオオオオッッ!!

黒いオーラがレンを包みレンの服がぼろぼろになる。

「ぐああああああっ!!」
身体中に電撃を浴びたような感覚が走り、そのままレンは地面に叩きつけられた。

「レーーーーーン!!大丈夫か!?」
「レン君!!」
辰次郎と瀬那の二人が駆け寄る。
レンは半分、黒焦げのような状態になり、ぼろぼろの服からは所々、血がにじんでいた。
だが、まだ意識はある。
「馬鹿・・・・。危ないからくる・・・・なっつー・・・・・の・・・・。」
ラムは上空に滞空したまま、再度攻撃態勢を取る。
「次は、お前たちだ!!、死ねぇ!! サラマンド・ブラッディー・サイズ!!」
再度あの黒い波動が二人に襲いかかって来た!!

「!!」

ズドオオオオオオオオッッ!!

そのとき、神社本堂から「光の帯」のようなものが飛び、辰次郎と瀬那の前に立ちふさがった。
二人は防御体制をとったまま無傷であった。

「!? どうなっとるんじゃ?」
「もしかして・・・・」

レン、辰次郎、瀬那の前には光の玉につつまれた精神体の『響子』が両手を広げ、三人を守っていた。
「かあさん・・・!!」
レンが気がつく。
ラムは顔をしかめた。
「くっ、『響子』・・・・。貴様・・・。」
『響子』はその態勢のまま、レンの方を向きこう答えた。
「レン、これが母の最後にしてあげられる事です。・・・・ごめんなさい。本当ならあなたを普通の子に育てたかった・・・・・。運命を背負わせて産んでしまったことを赦してちょうだい。でも、未来はあなたの手で切り開けばきっと良いものになるわ。だから、レン、負けないでね・・・・。そして、私はいつでもあなたと共にいて、あなたを愛しているわ・・・。」
『響子』の姿はだんだんと薄れていき、蛍の光のように散っていった・・・。
「かあさーーーーーんっ!!」

「ふん、力尽きたか。死に損ないが!!。おまえたちもこれで終わりにしてあげる!!」
ラムが鎌を握り締め構えなおす。

「・・・うそ、・・・・おばさん・・・。」
瀬那は目からどっと涙があふれた・・・・。
辰次郎は唇をかみ締め、そっぽを向いていた。

「・・・・・・。ゆるさねえ、絶対にゆるさねぇ!!」
レンの瞳にも涙があふれていたが、それと同時に身体中にオーラが沸き立ち、右手に力が入るのを感じとった。

ラムは三度目の必殺を放つ
「これで、終わりだよっ!!サラマンド・ブラッディ-・サイズ!!」

レンはボロボロになりながらも立ち上がった。
「・・・てめえだけはぁ!!」
レンが右手をラムに向けて突き上げると、ものすごいオーラと波動がほとばしった!!
(・・・・聖・・・・竜・・・・拳・・・!!)
レンの頭にその文字が浮かび上がった。
レンが放ったその波動は「竜の顔」のような形を形成し、渦をまきながらラムの黒い波動を打ち消し、ラムに命中した!!

ブワアアアアアアアッッ!!

「ギャアアアアアアアアアッ!!」

ラム・スィーディはかなり遠くまで吹き飛ばされ見えなくなってしまった。


神社全体が静まり返る。
レンは力を使い果たしたのか、その場に倒れてしまった。
「レン、しっかりしろ!!」
辰次郎がレンを抱き起こしたがレンは無事だった。気絶しているだけだった。
「よかった、レン・・・・。あたし・・・、あたし・・・。」
安心したのか、瀬那もその場にくずおれた。

「レーン、瀬那ちゃーーん、おじーーーちゃーん!!」
境内から敵がいなくなったことに気づいた瑞樹が美沙と共に
三人のもとへ駆け寄ってきた。
「レン!!大丈夫なの!?」
「おにーちゃま!!」
驚く瑞樹と美沙。
「大丈夫じゃ、こんなくらいじゃレンは死なんわい・・・。」
辰次郎の一言に瑞樹と美沙は安心した。
「はやく、傷の手当を!!」
瀬那は手当てを急ぐよう促す。
「うむ、そうじゃな。瀬那ちゃんも手当てせねばのう、ウチに入りなさい。」

いつもの静寂を取り戻した境内の上空には、満月の光が地上を照らしていた。


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一方、
レンの一撃で飛ばされたラム・スィーディは町の山中の木にひっかかっていた・・・。
身体中はボロボロ、服は破け、顔はまた鼻血でまみれ、とても「美人」とはいえない格好である。

その木の下から、クマのぬいぐるみを抱いた少女が彼女を見上げていた・・・。
「ママ、かっこわるい・・・・。」
「うっさいわねえ、早く降ろしなさいよ・・・・・。」
「あいさー!」
少女は了解すると、「にやり」と笑いながら、ラムを降ろしはじめるのであった・・・・。


第3話 END


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