第21話 「再会」
「姫香!!・・・そんな、嘘だろ・・・おい!!」
蓮は見覚えのあるその少女の姿を見、驚愕していた。
「早乙女レン・・・私は「姫香」などではありません。・・・私はウロボロス様にお使えする第2の側近、「ダークアストレア」です。」
「なっ、何を言ってるんだ!?姫香!!」 「蓮クン、姫香って誰?」 瀬那が尋ねた。 「・・・俺の、親戚の子だ・・・。小さい時、よく遊んだ・・・。」 「えっ、本当にあいつがそうなの!?」 「ああ、姫香だ、間違いない。今は中学生くらいになってるはずだ・・・。」
ダークアストレアを名乗る女戦士は生気のない瞳で蓮をじっと見つめて答えた。 「ヒト違いです。私は貴方の敵であることをお忘れなく。貴方にはここで死んでもらいます。」 そう言うと禍々しい剣先を蓮に向けた。 「姫香!!オレだよ!!蓮だ!!」
しかし、連の必死の呼びかけにも女戦士は応答しない。 その少女の持つ剣の剣先に波動が蓄積される。 それは見る見るうちに大きくなり、女戦士は剣を蓮めがけて振りかざした
ビュゥゥゥワアアア!! 蓮はすかさず瀬那を抱き上げ回避する
ドバゥゥゥゥゥッ!!!
剣から放たれたエネルギーの塊は蓮のいた場所に着弾するとけたたましい音をたて 地面をえぐりとった!! シュゥゥゥゥゥゥ・・・ 爆発のあと煙を立てあたりは静まりかえる。
「早乙女!!大丈夫か!?」 北条が蓮と瀬那の身を案じた。 「ああ、大丈夫だ・・・。くそ、どうなっちまったんだよ!!姫香!」 蓮は瀬那を下ろすと姫香に接近する。 「姫香!!目を覚ませ!!自分が分からないのか!?」 ダークアストレアはゆっくりと連の方を振り返る。 「・・・こざかしい。貴方の茶番には付き合っている余裕などありません。人違いも程々にしてください」
愛鈴が蓮に呼びかける 「早乙女蓮!!あいつは多分、ウロボロスの強力な呪術に掛かってて、自我、記憶をすべて書き換えられているんだ!!・・・だから、あいつには何を言っても通用しない!!」 蓮は唇を噛み締め、拳を握り締めた。体からオーラがほとばしる。 「・・・だったら、・・・俺が目覚めさせてやるよ・・・!!」
「・・・戯言が・・・」 ダークアストレアは剣を構え直した。 蓮は走り出した 「いくぜっ!!・・・姫香!!目を覚ませ!!青竜拳!!」 しかし、ダークアストレアはひらりと蓮の攻撃を交わし、すれ違いざま連の背中に 強力なエルボーを叩き込んだ!
「ぐはっ!!」 蓮はバランスを崩し地面に打ち付けられる。
「蓮!!」 「蓮クン!!」 「蓮様!!」 ダークアストレアは冷たい視線で蓮を見下ろした。 蓮が起き上がろうとしたとたん、頭を右足で踏み、地面に這いつくばらせる。
ズシャア!!
「・・・口ほどにもない・・・。私を甘く見ているのですか?。戦意が無いのでしたら、こちらからトドメを刺させていただきます。」
瀬那が叫ぶ 「姫香ちゃん!!蓮のことがわからないの!?あなたのお兄ちゃんなのよ!!」 「うう・・・姫香・・・」 蓮は頭を踏みつけられながらも姫香に呼びかける。 蓮の頭を踏みつけたままダークアストレアは瀬那の方を見る。 「・・・貴方もですか・・・。ヒト違いと行っているではありませ・・・・くっ!!」 突然、ダークアストレアを激しい頭痛が襲った。 女戦士は蓮から離れると体をフラフラさせその場にひざまづいた 「くっ!!・・・な、ん・・・だ?・・・この痛み・・・」 蓮は起き上がると、ダークアストレアの異常に気づく。 「姫香!!俺だ!!早乙女蓮だ!!目を覚ましてくれ!!」
ダークアストレアは激しい頭痛と動悸に襲われている 「ハア、ハア・・・レン・・・おにいちゃ・・・」 かすかに女戦士の口からその言葉が漏れた。だが・・・ 「ウオオオオオオオオッッ!!」 ダークアストレアが唸り声を上げると、蓮の方に向き直り、剣を振りかざしてきた。
ビュッッ!!
蓮はギリギリでかわした。
「姫香!!」 「・・・・私にとって貴方は危険因子です。本当ならじっくりいたぶってからトドメを刺そうかと思っていましたが、もはや猶予はなりません。・・・今すぐ死になさい!!」 ダークアストレアは頭上に剣を構えるとなにやら呪文を唱え始めた。 ダークアストレアの頭上に闇雲が発生しその雲から発生した雷が剣に落ちた。 剣は電流を帯び、まばゆく光る。 「覚悟!!ライディーンストラッシュッッ!!」
ゴロゴロ、ズドシャアアアア!!!
蓮は一瞬で雷鳴に包まれた。 「うああああああっ!!」 絶体絶命かと蓮は覚悟したがなぜか蓮の痛みは軽減されていた。 ルイードが無意識にバリアーを張っただけではなく・・・
蓮の目の前に愛鈴が覆いかぶさっていた・・・・。 愛鈴の背中は焼け焦げ、大量の血が溢れ出していた。 「蓮・・・良かった・・・生きてたな・・・」 「・・・あ、愛鈴!!」 愛鈴はかすれた声で蓮を見つめ、こたえた。 「ふん・・・余計な・・・こと・・・したかな・・・。」 「愛鈴!!どうして!?」 「・・・うらやましかった。・・・お前には友達や愛する人がいて・・・。あたいにはいない、そんなやつ・・・おまえは、生きるん・・・だよ・・・」 「しっかりしろ!!愛鈴。今治してやるから、だからもう、しゃべるな!!」 しかし、愛鈴は目に涙を浮かべながら話かけてくる 「なあ、あたしも・・・蓮・・・の友達に・・・・なっても・・・」 蓮は涙を浮かべ血まみれの愛鈴の右手を取り、何度もうなずいた 「バカ、友達でもなんでもなってやるよ!!・・・だからもう、しゃべるな!!」
ダークアストレアは冷たい視線でじっと見ている 「・・・愚か者。敵をかばうなどと、血迷いましたか?アイリーン・・・」
愛鈴はありったけの呼吸で蓮に話しかける 「あ・・りが・・・と・・・。れ・・・ん・・・」 愛鈴は頭を下に垂れ、眠りについた・・・・。 「アイリンーーーーーーーッッ!!!」 蓮の悲痛な声が辺りにこだました。
「くそっ、バカ野郎!!」 蓮は大粒の涙をこぼし、ぐったりした愛鈴を抱きその手を握り続けた。
「馬鹿は貴方です。いつまで屍を抱いているのですか?・・・今度は貴方も屍になる番です。」
ビシュッ!! ビシュッ!!
ダークアストレアの前に2、3本の光の矢が横切った。 振り向くと瀬那が光の弓をつがえ、矛先をダークアストレアに向けていた 「・・・アンタには、血も涙も無いのね!!サイテーだわ!!」 すかさず北条と美花、ミィミは蓮を守るようにダークアストレアの面前に立ち塞がった。 「蓮をやらせるわけにはいかん」 「瀬那のいうとおり貴方は最低ですわ」
「お言葉ですが、私には「血も涙」も不要です。私はウロボロス様の側近でしかありません。・・・むしろ、「血も涙」も併せ持つ貴方がたが最低の生物だと私は思うのですが・・・。それらを持ち合わせているから相手を殺すのに躊躇したり、失敗したりするものです。まったくもって殺人マシンには不要の属性です」
「俺たちは・・・殺人マシンなんかじゃねえ!!・・・・人間だっ!!」 蓮は怒りと悲しみに満たされつつ立ち上がった。 「ダークアストレアとか、いったな!!・・・もう、許さねえっ・・・・姫香じゃねぇなら容赦しねえ、お前を倒す!!」 蓮のオーラは大きく沸き立ち力がみなぎってくる。
「やっと戦う気になりましたか・・・。早めに私に対する戦意を示していればアイリーンは死なずに済んだものを・・・」 「うるせぇ・・・、姫香の体からお前を消し去ってやるっ!!」 「戯言が・・・。倒れるのは貴方です」
蓮はファイティングポーズをとった。 「みんなどいてろ、こいつは俺が倒す!!」 それを聞きダークアストレアはニタリと微笑した。 「よかろう、来なさい!!」
蓮は右拳と左拳を前面に組み、前方へ突き出した。 「青竜破邪轟竜拳っ!!!」
ドバウゥゥゥ!!!
蓮の精神波の塊がダークアストレアに放たれる!!
だがダークアストレアは両腕を前へつきだし、放たれた波動を受け止めはじめた
ギュワワワアアアア!!
「なっなんだと!?俺の「青竜破邪轟竜拳」を受け止めている!?」 「こんな程度ですか・・・・。早乙女 蓮・・・」 ダークアストレアは受け止めていた蓮の放った波動を そのまま蓮に投げかえしてきたではないか!
「はっ!!」
ギュワワワアアアア!! ドバウッッ!!
「うわあああっ!!」
蓮はすかさず回避し直撃は避けられたが自分が放った技の波動に吹き飛ばされ、地面をのけぞった。
「うっ・・・!げふっ!」
「蓮クン!!」 「蓮様!!」 「くそう、なんてやつだ!!」 ミィミは遠くで壁に隠れながら心配そうに様子を伺う。 「・・・信じられない、蓮お兄ちゃんの技を跳ね返すなんて・・・」
ダークアストレアは傷ひとつ負っていなかった。 「口ほどにもない、こんな実力でよく渡り歩いてきたものです。・・・まあ、下の連中が弱すぎたのでしょうか・・・」
「許さないんだからっ!!」 瀬那は連続で矢を放つ。 「我々三人で力を合わせれば・・!」 北条は陰陽師の法陣を敷き、呪文を唱える。 「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!!・・・行け、破魔の刃よっ!!」 美花も剣を構え戦闘体制に入る 「行きます!!火竜剣、天昇斬!!」 三人が放った技はダークアストレアめがけて飛びかかるが、剣で断ち切られて行く。 「だめ、効かない!!」 「なんということだ!!」 「これまで以上の強敵ですわ・・・」
「必殺技とはこう使うものですよ・・・」 またもやダークアストレアが頭上に剣を掲げる。 稲妻がほとばしり、剣に電流が蓄積される
「ライディーンストラッシュッッ!!」
ゴロゴロゴロ・・・ズシャーーーン!!
「キャーッ!!」 「うおおおっ!!」 「クッ!!」 3人とも稲妻の閃光と爆音とともに吹き飛ばされてしまった。
辺りの地面は焼け焦げ瀬那、北条、美花は地面に這いつくばったまま立てなくなる 「かっ体が・・・」 「万事休す・・・か・・・」 「実力が違い過ぎます・・わ・・・」
ダークアストレアは静かに歩き瀬那たちの方へ向かっていく 「害虫が・・・。まずは貴方がたから駆除いたしましょう」
「・・・まて!!・・・・瀬那たちに手ぇ出すんじゃねえ!!」 蓮はゆらゆらと立ち上がった。 体はボロボロになり相当のダメージを負い、立っているのが精一杯だった。
ダークアストレアが静かに蓮の方へ向きを変えると剣を構え直し歩み寄ってくる。 「そうですか、では早乙女蓮、今度こそ死んでもらいます・・・」
蓮は瀕死の状態のまま立ち尽くし身構える (だめだ、もう、戦えねぇ・・・。俺はやっぱり弱いのかよ・・・・・) ダークアストレアは剣を頭上へ振りかざした。 「さようなら、早乙女蓮!」
その時だった。
ガシャ!!ビーンっ!!
フック型のワイヤーがダークアストレアの剣に絡みつき、振り下ろすのを制止させた。
「!?」 「何奴です!?」
ダークアストレアがワイヤーの先の方を見ると、黒いマントを身にまといテンガロンハットをかぶった者が向こうの鉄塔に立っていた。その者は絡みついたフック付きワイヤーを引っ張り上げた。
ギャリリリン!!ガシャア!!
ダークアストレアは剣に絡みついたフックをうまく剣先を動かし外した。
その隙に黒いマントの者は蓮を背に立ち塞がった。 どうやら男性のようだ。 「やめておけ、ダークさんよ。蓮や蓮の友達には指一本も触れさせやしないぜ・・・。ウロボロスのナンバー2がこんなところで弱者いじめとは・・・名が廃るぜ。なんなら俺が相手になってやってもいいぞ・・・」
意識がもうろうとする中で蓮はどこか懐かしい声を聴いた。 「だ・・・れ・・だ?・・・あんた・・・」 黒マントの男は帽子を深くかぶったまま蓮の方を振り返った。 「蓮、大きくなったな・・・」
蓮ははっと意識が戻る。 「と、父さん!?」
「・・・貴方ですか、ウロボロス様の『先遣隊を壊滅させた者』というのは・・・」
黒マントの男はニッと笑った。 「さあな、下の連中が弱すぎたんじゃねぇの?」 「くっ、戯言が・・・」 「さあ、どうするよ?俺と遊んで行くかい?ナンバー2さんよ」 両者ともにらみ合い、動かない。
「そんな・・・まさか・・・」 蓮は突然の再会に驚きを隠せないでいた・・・・。
第21話 END
|
|