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作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第18回   「ファースト・キス」
さて、その日の夕方のこと
夕食が済み、瑞樹と瀬那は台所で食器を洗っている。
「瀬那ちゃんの料理、美味しかったわ」
「そお?へへへ・・・ありがとう」
「これなら、任せられそうね・・・。蓮のこと、よろしくね・・・・」
それを聞いて瀬那は赤面しつつ照れたが蓮の姉から「お墨付き」がもらえたことが
うれしかった。
「ど〜んと、まかせなさ〜い!!」
「クスッ」
「うふふふっ」
二人は蓮のことであれこれ談笑している。
「あ、そうだ、瀬那ちゃん、泊まって行きなさいな。もう、遅いし・・・」
「えっ、いいんですか?」
「どうぞ、どうぞ、久しぶりじゃない?お泊まりするのは?」
「そうですね・・・」
瀬那は小さい頃蓮の家に家族でお泊まりしていたこと思い出す。
あのころは蓮と同じ布団でいっしょに寝たものであった。夜中トイレに行きたいとき、暗いのが怖かったので眠そうな蓮を起こしトイレに付き合ってもらったものだ。
「うふふふっ、あの頃の瀬那ちゃんって・・・」
「ああっ!!それ以上言わないでくださいってば!!」
「クスクス・・・」
「もお〜〜っ!!」
その談笑に気づいたのか、リビングで美沙とミィミとテレビゲームをして遊んでいた蓮がひょっこり台所に顔を出した。
「ん?どした?」
「あ、蓮、瀬那ちゃん、泊まっていくって」
「あ、いいかな・・・?蓮クン・・・」
「おお、いいぜ、ゆっくりしていけよ。明日は学校休みだしさ・・・」
瀬那は頬を赤らめながら答える
「うん、じゃあお世話になるね・・・」
リビングからミィミと美沙が走ってきた
「蓮お兄ちゃん!!出番だよぉ!!早くぅ!!」
「おおっ!わりぃ!!・・・あっ、そうだ、瀬那が泊まって行くってさ〜」
それを聞いて美沙とミィミは驚き喜ぶ
「わ〜いっ!!やった〜!!」
ミィミが瀬那に抱きつき促す
「ねえ、いっしょにお風呂入る・・・?」
「ああっみさみさも〜」
ミィミ、美沙はきゃいきゃいと騒ぎ出す。
瑞樹が騒がしいふたりをたしなめた
「こおら、ふたりとも静かにしなさい。じゃあ、ゲーム終わらせてお風呂の支度しなさい。」
「は〜いっ!!」
「瀬那ちゃん、ここはもういいからお風呂に3人で入ってらっしゃいな」
「すみません。それじゃあ、お言葉に甘えて・・・」
ミィミが蓮に尋ねる。
「蓮もいっしょに入ろ・・・」
それを聞いて、蓮は顔がみるみる赤くなった
「ばっ・・ばか!!おれは男だぞ。お、おまえらで入れよ。」
美沙もそれを聞いて顔を赤らめ、両手で顔を隠す
「みさみさ〜〜!!蓮おにいちゃんのえっち〜!!」
瀬那が悪戯に蓮をけしかける
「蓮クンいっしょに入る〜?昔みたいにさ〜、身体の洗いっこしよっか?」
蓮はすでに興奮状態・・・。
「あっ阿保かっ!!・・・おっ俺はゲーム機片付けて部屋に、も、戻るわ・・・」
そういうと蓮はさっさとリビングへ行ってしまった。
「く〜〜っ蓮クン可愛い!!」
美沙とミィミも連呼する
「蓮クン可愛い〜〜!!」
「も〜、弟をからかわないでちょうだいね・・・」
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夜中も0時をまわった頃。
蓮は眠れずに床につき考え事をしていた。
自分に背負わされた宿命、竜の印の力、ルイード、ウロボロス・・・・
いろんなことが頭の中ををかけめぐっていた。


キィィ・・・


すると不意に蓮の部屋の扉が開いた。
蓮はドキッとし身構える。

戸を開けたのはパジャマ姿の瀬那であった。
「ふぅ、びっくりさせんなよ・・・。なんだ?眠れないのか?」
瀬那は静かに戸を閉め蓮の部屋に入ってきた。
「うん、ちょっとね・・・いいかな・・・?」
「おお、いいぜ」
蓮はベッドに横になったまま窓の月明かりを眺めていた。
瀬那は蓮のベッドに腰掛けた。
しばらく、ふたりの間には沈黙が続く。


「なあ・・・」
蓮が会話を切り出す。
瀬那は無言で蓮の方を向いた。
「おれ、たまに押しつぶされそうになる。・・・いままでがむしゃらにやってきたけど
俺なんかが、ウロボロスを倒して世界を救えんのかどうか、竜の印の力を使いこなせるのかどうか心配になってきちゃってさ・・・」

すると、瀬那も答えた。
「・・・あたしだって不安だよ・・・。これからどうなっていくんだろう・・・
あたしが夢の中で見た世界の滅亡が本当になったらどうしようかって・・・考えてたらキリがなくってさ・・・。蓮クンやみんなが死んじゃったらどうしようかって不安になることもあるよ。」

「そっか、おまえも悩んでんだな・・・。」

「あっ、なにそれ、あたしが何にも考えて無いとでも思ったのぉ?ひっど〜い」

「ちがうって!・・・少なくともこの先のこと案じてるのが俺だけじゃないってことで安心してるんだよ・・・がんばらねえとな・・・瀬那やみんなのためのも・・・」


瀬那が顔を近づけた。
「ばーか、ひとりで悩むな。しょいこむな・・・。みんな蓮クンのために一生懸命なんだよ・・・。あたしだって・・・、戦闘ではあんまり役にたたないけどさあ・・・」

それに対し蓮は答えた
「・・・俺はおまえが役立たずなんて、一度も思ったことねえし、これからも思わねえよ。・・・むしろ、いろいろと助けてもらって、感謝してる・・・ありがとな。」
それを聞くと瀬那の眼が潤んだ。

「・・・本当・・・?」

「本当だ・・・。うそじゃねえよ・・・」

「・・・ありがと・・・・」
そういうと瀬那は静かに蓮と唇を合わせた。



はじめてのファースト・キス・・・。
蓮の心臓は高鳴り鼓動がはっきりと聞こえてきた。
瀬那の唇は意外と柔らかく、乙女そのものであった。
そのはじめての感触にふたりの鼓動は一気に高まった。
ふたりの口づけはほんの10秒くらいだったが蓮にはもっと長く感じられた。

ゆっくりと瀬那は身を起こす。
瀬那はニッと笑い
「そんだけ・・・。おやすみ・・・蓮クン・・・」
そういうと瀬那は静かに部屋を出て行った。

「・・・・」
蓮はまだ残る唇の感触を手で確かめながら呆然としていた・・・。

第18話 END


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