20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第15回   「ルイード」

「ルイード・・・ルイードよ・・・。我が声に応えよ!」
レンは、穏やかな低い声に目を覚ます。
それは天空から聞こえるようであり、レンの耳に直接語りかけてくる
とても切なくて、懐かしくて・・・。レンの心が揺さぶられるような声であった。

「なんだよ・・・ここは・・・?」
気がつけばレンは、見慣れない衣装を身に付けていた。それは、西洋のRPGのゲームの主役が来ているような服装であり、マントをつけ、腰には剣らしきものを帯びていた。
「げっ!なんだこのカッコ!?」
自分の格好にあたふたしているところに白い修道服を着たシスターが近づいてきた。
『ルイード、あなたはここに居たのですね。』
レンは語りかけてきたシスターのその言葉の意味を理解できないでいる。
「る、ルイード!?なんじゃそりゃ?、俺はルイードってやつじゃないぞ・・・。人違いなんじゃ・・・」
シスターは唇に指を添え、クスッと微笑んだ。
『失礼しました。早乙女レン、いや、真竜印を受けし者よ。貴方の父なる方が貴方の中に宿りし御子(みこ)をお呼びなのですわ・・・』

「は・・はあ!?」
レンは自分の身に起こっている状況をのみこめないでいる。
たしか、自分はヴィーザフとの戦いでズタズタになり気を失ったはず。
ヴィーザフは播磨美花に倒されて、その後四天王を名乗るアイリーンとかいう奴が出現し
アイリーンが去った後意識が遠くなり、気を失ったはず・・・・。

「ああっ!わかんねぇ!!俺どうなっちまってんの!?」

『落ち着いてください・・・。貴方の考えていることはたぶん正しいのだと思います。
ここは、いずれ貴方が訪れるであろう『聖なる地 サンクチュアリ』
貴方の魂の故郷です・・・。』

レンは目を丸くする。
「サンク・・・なんだ?、おれの故郷!?おいおい、なに言ってんだか!・・・俺は日本人だぞ!」

それに対しシスターはこう応えた
『はい、あなたの器(うつわ)は日本人であり、あなたの魂とあなたに共存している『ルイード』の故郷がここなのです』

「意味・・・わかんないんですけど・・・」
レンはちんぷんかんぷんな返答にあきれ返っていた。

『ルイード、ルイードよ!そこに居るのであろう?』
また、天空から声が聞こえてきた。

『今は、理解できないのでしょうが、きっといつの日かあなたにも解かる日が来ますわ。
さあ、付いて来なさい。丘の神殿へ案内いたしましょう。御父(みちち)がお待ちです。』

「よっくわかねえないけど、俺を元の場所に返してくれるんだったら、付いて行ってやってもいいけどよ・・・」

『わかりました・・・ふふふ・・・』
シスターは静かに微笑むと高い丘に続く階段のほうへ歩き出した。
レンは静かについていった。

階段を黙々と昇ること数分レンは修道女に尋ねてみる
「ところで、あんたはだれだ?おれの名前、知ってるみたいだけど・・・・?」

その質問に対しシスターは何も答えはしなかった。

レンは口を尖らせ、ちょっとスネてみる
「ちぇ!教えてくれないのかよ・・・」

『私の名はどうでもいいではありませんか・・・。でも上に着いたら教えて差し上げますわ・・・』
シスターは丘へ続くこの長い階段を疲れる様子もなく上っていく。

階段を上ること20分、やっと丘の上へたどり着いた。
そこには、ギリシャ神話に出てくるような壊れかけた巨大な神殿がそびえたっていた。
柱には無数のひびが入っており、神殿の真ん中の屋根は抜け落ち、天空から光が差し込んでおり
神秘的な雰囲気を漂わせている。

「す、すげえ・・・でけえ・・・」
レンは小声で驚きの息を漏らす。

『レイン・・・』
突然シスターが話しかけてきた。

「はっ?」

『レイン・シルフィード・・・私の名前・・・・』
そういうと、シスターはゆっくりと髪の毛を覆うローブを脱いだ・・・。
水色の透き通った長いストレートの髪の毛が緩やかな風になびいていた。
エメラルドの大きな瞳はじっとレンを見つめていた。年齢的にはレンと同じくらいの年なのか・・・
その息を呑むほどの美しさにレンはドキッとした。

「そっか、それがあんたの名前か・・・ありがとな・・・その・・・教えてくれて・・・・」
レンは鼻の頭を人差し指で掻きながら少々照れながら礼を言った。

レインは静かに微笑むと無言で神殿のほうを指し、中に入るよう勧めてきた。

「中に入りゃあいいんだな・・・・?」
レンが確認するように尋ねると
レインは無言でうなずいた。

レンが神殿の入り口最初の一歩を踏み出したとき、またもや天空からの穏やかな声が聞こえた
『ルイードよ、ここに入ってきておくれ・・・・。わが子よ!!』

それに対しレンは空を見上げて大声で言った
「ああ、今行くさ!!だけどよ、俺はルイードじゃない!!早乙女レンだ!!あんたは俺の中にある
ルイードってのに用があるんだろ?、今逢わせてやるよ!!」
事を理解しているのかどうか定かではないがレンは神殿の中央に向かい歩き出す。

そのときだった、レンの感情が異常ををきたす。とても切なくなり、胸が締め付けられるように痛い。
涙腺は緩み、なぜだか知らないが熱い涙がどっとあふれてきた。

「なっ、なんだよ、これ!?なんで悲しいんだよ!?なんで涙が出るんだよ!?」

後ろを振り返ると、レインの姿が見えた。レンのその様子を哀れに思っているのだろうか
レインも目に涙を浮かべ両手を胸に当て着いて来ている。
『早く、中央へ・・・ルイードが父を慕っているのです・・・』

神殿の中央へたどり着いた・・・・。
天空から降り注ぐ光は光の輪を形成し、ひとつの空間のようなものを形作っていた。

「ここなのか・・・?」

するとまたあの声が聞こえてくる
『我が息子・・ルイード。国は違えど、お前は早乙女レンの体に宿ったんだな。
だが、2度とお前は死なせぬ!その少年は今生死のさなかだ。
早乙女家77代目にして「真竜印を受け継ぎし者『早乙女レン』
そなたは『ドラゴンエンブレム』を継承すべし者でもあり、我が愛する息子ルイードを宿せし者
・・・・死なせる訳にはいかないのだ!我が息子を!
・・・・頼む。この光の輪へ入ってきてはもらえぬか。』

やはり、レンには状況が呑み込めていない。しかし言われるがままにレンは光の輪の中へ入った

パアアアアアッ!!

まばゆいばかりの光に包まれたレンの身体は自然と軽くなっていくような気がした。
「な、なんだか、身体が軽くなったような気が・・・?それに・・・なんだか暖かい・・・・俺の心の中が嬉しいって・・・?」

『ありがとう、早乙女レン・・・・。我が息子の命、取り留めることが出来た・・・。ルイードはお前の力の源でもあり、共存者でもあり、お前をかばう盾ともなる・・・。お前を元の世界へ返そう・・・・』

光は大きくなりレンの身体が天空へ舞う・・・・。

「早乙女レン、ルイード・・・会える日を楽しみにしています・・・」」
レインは静かにレンを見つめ見送っていた。

その天からの声は最後にこう言った
『また逢おう、早乙女レン・・・・。息子をよろしく・・・・』
レンはそのまま遥か天空、光の中へ消えていった・・・・。



チュンチュン・・・チチチチ・・・。
「ん、・・・ここは!?・・・・・そっか、俺、意識なくして寝込んでだんだっけ?・・・」
レンはすずめの鳴く声に目を覚ました。気がつけば、自分の部屋のベッドの上にいた。

「ん〜、やっぱ身体が軽いな・・・なんだったんだ、あの夢・・・?」

トントントン・・・・
階段を駆け上がってくる音が聞こえる・・・
(この足取りは美沙だな・・・)
レンにとってその音は聞きなれた階段を昇る音であった。
その音はレンの部屋の入り口で止まった。

コンコン
扉を叩く音が聞こえる。

(間違いねぇ!美沙だ!!)

レンはまた、いたずらされることを恐れつつ、「構いたくない」と思いながら布団を被り
狸寝入りを決め込む。

「おにいちゃま〜!起きてますかあ〜?」

美沙は扉を開けると、珍しいことに静かに部屋に入ってきて目の前に正座した。

「おにいちゃま・・・・」

レンは「早くあっちにいけ〜っ」と思いつつ、息を殺し美沙が部屋を出て行くのを
待ち続ける。

「・・・・ひくっ・・・」

「!?」

レンは聞きなれない反応に耳を疑う。いつもなら飛びついてやかましい限りにべたべたして来るはずなのに今日は様子が変だ。泣いているような気がするが布団を被っているので美沙の顔を確認することが出来ない。

「・・・しくしく・・・おにいちゃま・・・もう、天国に行っちゃったの?・・・もう、3日も目を覚まさないから
おじいちゃまが、レンおにいちゃまが死んだんじゃないかって・・・ぐすっ・・・おにいちゃま・・・ぐすっ、もっとあそんでほしかったよ〜〜。」

(なんだと〜!?俺が死んだことになっているのか〜!?)

「うわあああん!おにいちゃま〜!!」
美沙が号泣しだす。

レンは被っている布団を蹴飛ばし、起き上がった!!
「冗談じゃないっ!!おれはまだピンピンしてるつ〜のっ!!勝手に殺すな〜〜!!」

突然のレンの反応に美沙は驚いたが、その泣きじゃくった顔は、元気そうなレンを見るや否や明るくなった

「おにいちゃま〜〜!!生き返ったんだね〜、みさみさうれしいよ〜!!」
美沙がレンに抱きついてきた。

「おっ、おいおい!!抱きつくなよ・・・・。俺死んでないから・・・」

「だって、だって〜!!」
美沙は鼻水と涙で顔がぐしょぐしょである。

「うっ!いいから顔拭けよっ」

「うん!」
美沙がレンの差し出したタオルで顔を拭うと叫びながら急いで一階に下りていった。
「みんな〜!!おにいちゃまが生き返りましたよ〜!!」

辰次郎「なんじゃとぉ〜!!レンが目を覚ましたのか!!」
瑞樹「レン!」
ミィミ、ラム「レン!!」
ドタバタと階段を駆け上がってくる音が聞こえる。

「レン、目を覚ましたか!!大丈夫か!?」
みんな驚き喜びつつレンの部屋に駆け込んできた。
レンはけろっとしており、数日前の大怪我がなんでもなかったように平然としていた。

「みんな、なんだよ・・・、大騒ぎして・・・」

ガシィィィ!!
辰次郎がレンに掴みかかった
「これが大騒ぎせずにいられるかー!!本当に植物状態になったか死んだかと思ったぞい!!
良かったワイ!!」
辰次郎はレンのパジャマの襟を締め上げる
「ぐ、ぐるじい!!ホントに死んじまう〜!!」

「おじいちゃん!!」
瑞樹が声をあげた


辰次郎は我に帰るとレンを首の襟元をそっと放した
「おお、すまん!!危うくワシが殺してしまうところじゃったわい・・・」

瑞樹「もう!おじいちゃんったら!!」
レン「じじいに、三途の川に送られるところだったぜ・・・ったく・・・」

辰次郎の慌てっぷりに一同は笑いに包まれていた。

瑞樹がレンに尋ねる。
「どう、レン、身体の方と、気分は?」

「ああ、大丈夫だよ。なんだかすっきりしているぜ。なんだか『良く寝た〜』って感じだぜ。

その回復ぶりに辰次郎が驚く。
「あれだけのダメージを受けながら3日でここまで回復するとは・・・。常人なら、半年以上は掛かるじゃろうて・・・。やはり、『癒しの力』の効力なのか・・・」

ラムが口を開いた
「確かに・・・ふつうの人間の回復力ではないわね・・・。まるで竜神伝説の竜の回復力のようだわ・・・」

レンはその言葉にはっとさせられる。
「あ・・・そういえば、俺、目覚める前に夢を見たんだ・・・。ルイード・・・。なんだかわかんないけど夢の中で誰かから俺がその名で呼ばれたんだ・・・。」

ミィミ「ルイード・・・?」
辰次郎「・・・ルイードじゃと?」

ラム「!!・・・ルイード!?・・・確かあたしが考古学の調査をしていたとき、北欧地方にそう言う神の名前があったような気がする・・・!!」

レン「ほんとか!?・・・ラム、ルイードってなんだ!?俺が見た夢では天からの声があって、そいつは父親らしくって、俺にルイードってぇのがとりついてるとかどうかってさ・・・。で、俺に対し『ルイードをよろしく』って言われたんだ!!」

ラム「レン、夢の話をくわしく!!」

レン「あ、ああ」
レンは夢で見た出来事を「覚えている限り」みんなのいるところで説明した・・・。

ラム「・・・間違いないわ、おそらく、北欧神話に出てくる『竜神伝説』のことだわ!!。
ルイードは父親である竜騎神『ジークフリート』の息子の名前だわ・・・・」

瑞樹「・・・ジーク・・フリート・・・?」
美沙「なんで、北欧神話なの?」

ラム「おそらく、レンが持つ『竜の印 ドラゴンエンブレム』は北欧からのものなのかも・・・・」

一同は驚愕に包まれる
「ええ〜〜!?」

レン「って、おいっ!!なんで、外国なんだよ?「竜の印」は日本古来の早乙女家の由来だろう?」

ラム「いいえ、レン、『竜の印 ドラゴンエンブレム』は世界全体を包含しているわ。・・・・それにウロボロスのことを考えてみなさい。・・・日本語じゃないでしょう?・・・ウロボロスはギリシャ神話の蛇の化け物の名前なのよ。憶測だけど、『竜の印』は海外から早乙女家に伝来したものと考えられるわ・・・」

レン「・・・そうなのか・・・」

辰次郎が口を開く
「おお、そうじゃった!・・・確か半年前に蔵を片付けておったとき、なにやら、古い外国語で書かれた「古文書」がいっぱい出てきたんじゃ・・・。ワシはさすがに横文字は読めんかったからのう。たしか捨ててはいなかったはずじゃ・・・。もしかしたら、それを見てみればレンが夢見たことについても何か わかるかもしれんな・・・」

ラム「辰次郎、その書物をみせてくれないかしら、探すのを手伝うわ」
ミィミ「・・・あたしも手伝う・・・」
美沙「みさみさも〜!」
辰次郎「おお、わかったわい、さっそく蔵に行こうかの・・・」

辰次郎、ラム、ミィミ、美沙は急いで部屋を出て行った。

瑞樹「もう、そんなに慌てなくてもいいじゃない・・・」
レン「へっ!じじいは興味が湧くとすぐ飛びつくからな・・・」

瑞樹は立ち上がり、部屋のドア越しのところで振り向いた
「レン、何も食べてないでしょ。起きられるんだったら、ダイニングで食事でもする?」

「ああ、そうだな、着替えたら行くよ・・・ハラ減ったし、姉さんの手料理、食べたくなったぜ!」

「そお、じゃあ、とびきりのごちそう作るわね。」
瑞樹はクスっと笑うと静かに戸を閉め下へ降りていった。

レンは自分の右手の甲(エンブレムが浮き出るところ)を見つめつぶやいた
「ルイード・・・、お前は俺に宿り、その力を貸してくれているのか・・・?」
レンは夢で見た出来事や、レインと名乗るシスターのことを、思い出し考えていた。


第15話 END


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 149