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作品名:ドラゴンエンブレム 作者:キョウスケ S

第14回   14

「やつらは本堂に逃げた!生きて返すな!ジジイ達を殺し、ラムをここに引きずりだせ!!」

「はっ!!」

境内にヴィーザフの声がこだまする。
本堂に避難した、辰次郎たちは緊張と焦りが身を襲い、心臓は高鳴り喉が渇く。
「結界を張ったが、長くは持たん!!・・・・なんとか逃げる方法を考えねば・・・。レン・・・・・気づいておったら早く来い・・・!」

「わたしが出れば、辰次郎たちは救われるのかしら・・・・」
ラムが尋ねる。

「・・・・無理じゃ、そんな相手ではないじゃろ・・・・。おそらく、『皆殺し』じゃ!!」

外では、ヴィーザフの手下共が張られた結界を破るため、爆薬や物理的な武器で攻撃を試みるも打ち破ることも出来ず、手間取っていた。
「何をしている!?こんな小細工程度で!!」

「しかし、この結界、爆薬も手裏剣も楔(クサビ)も通りません!!」
「うろたえるな!!俺様が討ち破ってやるさ!!」
ヴィーザフは精神を集中させると右手を空へかざす。
身体は紫色のドス黒いオーラにつつまれ、掲げた右手の平にエネルギー弾がみなぎる。

「ハァァァッ!!」

ヴィーザフはそのエネルギー弾を力いっぱい本堂へ投げつけると、けたたましい爆発音とともに結界の膜は破れ、本堂の瓦が少し崩れはじめ、音をたて地面に落ちた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方、レンたちは急いで、高見ヶ咲神社を目指す。
ミィミがレンを呼び止める
「・・・待って、レン。美花に電話してみる」
「おお、そうだな。もしかしたら電話でるかも知れないし、戦力は多いほうが助かる」
レンはミィミにケータイを渡した。

トゥルルルルル
トゥルルルルル

ピッ

「はい、レン様、美花ですわ。どうかしましたか?」

「美花、ママが危ないの・・・・レンの家族も!!・・・・わたしたちレンの家・・・・向かってるから・・・」

「あら、ミィミちゃん。レン様もいっしょなのね?」

レンがミィミからケータイを取ると改めて事情を説明する。
「美花、わりぃ、詳しいことは後だ。おそらく、ラムを殺しに来た奴がいるんだ。すぐに俺ん家に来て欲しい。緊急事態なんだ!」

美花は落ち着いて返答する
「わかりましたわ。こちらも急いで向かいますわ!!先に行っててくださいな」

「頼むっ!じゃあ、俺ん家でな!!」

ブツっ

レンは電話を切ると二人に急ぐよううながす
「よしっ、美花も駆けつけるってよ!!俺達も急ぐぞ!!」

「ああ、急ごう」
「・・・うん、急ごう、レン・・・ママ・・・心配・・・」

三人はまた駆け出した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一方、高見ヶ咲神社では

カラカラカラカラッ!!

本堂の中いた辰次郎たちは瓦が屋根から落ちる音を聞いた。
「くっ!!、結界が破られた・・・・。」
その言葉に一同は驚愕した。そのとき・・・・

バキィィィl!!

本堂の扉は蹴飛ばされて破れ、痩せ型の筋肉質の男が本堂に入ってきた!!

「・・・・ネズミ共め・・・隠れても無駄だ・・・・」
ヴィーザフは拳や肩の骨を鳴らしながら、不敵な笑みを浮かべ、ラムたちに近づいてきた。

「おのれ!結界を破るとは!!」
辰次郎がナギナタを構える

「結界?・・・あんなものが『結界』と呼べるのか?・・・・・子供騙しの間違いではないのか?ご老体・・・・」

「くっ!!」
辰次郎は渾身を込めて、飛び掛った。
だが、ヴィーザフにかなうわけもなく、簡単にナギナタの先端を二本指で挟まれ、そのまま辰次郎ごと払いのけられた。

ドスンッ!!

「ぐぬっ!!」
辰次郎は壁に背中を強く打ちつけられ倒れた

「おじいちゃん!!」
「おじいちゃま!!」
「辰次郎!!」

「命は大事にしろよ、ご老体・・・・フフフ・・・・」
ヴィーザフが冷徹な目で辰次郎を睨みつけた。

ラムがヴィーザフの前へ出てキッと睨みつけて答えた。
「ヴィーザフ、やめて!!用があるのはあたしだけでしょ!!この人たちには手を出さないで、お願いだから!!」

ヴィーザフが髪をかき上げつつ答える
「フン、黙れ、色気づきやがって裏切り者めが!!ウロボロス様にとってお前は目障りなんだよ。全員『血祭り』に挙げてから貴様の娘も殺し、早乙女レンも殺してやるさ・・・・すぐにな!!」

ヴィーザフは右腕に装備された鍵爪をギラギラと光らせながら舌なめずりし構えた。
「さあ!楽になれ!!」

ラムは絶体絶命のピンチに目を閉じ、覚悟を決める
(もう、だめ・・・。レン、早く来て!!あたしはどうなってもいいから、せめて辰次郎たちだけでも!!)


そのときだった。

「おいっ!待てよ、この野郎!!」

ヴィーザフの背後で声がし、次の瞬間、手下共の悲鳴が聞こえた。

「ギャーーー!!」
手下共は吹き飛ばされてゆく。

「キミの手下はお馬鹿者かい?。あっさりやられるなんてね。成ってないねえ・・・」
北条はかまいたちで手下共を一掃した。

ヴィーザフが振り向くと、そこにはレンたちがいた。

「やっと来たか・・・・竜の印を持つ者・・・早乙女レン・・・」
ヴィーザフはニタリと笑みを浮かべる。

「おおっ、レン・・・・遅いぞ!!」
「レン!!」
「レンおにいちゃま!!」
「良かった・・・。レン来てくれたのね。・・・ミィミも・・・・」

レンはヴィーザフをにらみ付けた。
「・・・・絶対ゆるさねえ!!、てめえを倒す!!」
レンの闘争心は燃え上がり青いオーラが浮かび上がった


「ほほう、面白くなってきたぜ。・・・・俺様にかなうと思うのか?早乙女レン・・・」

レンもファイティングポーズを取り、戦闘態勢に入る
「おれは真竜印の力を受けたんだ!!テメェには負けないっ!!」

「ほほう、真竜印とな・・・・。そいつは楽しみだなあ。・・・・ならば俺様とサシで勝負しろ・・・・おっと忘れるところだった・・・。お仲間さんには退屈はさせないさ・・・」

ヴィーザフは指笛を吹くと、数十人の手下を呼びつけた。
その手下共はそれぞれ武器を手に、北条たちや辰次郎たちの周りを囲んだ。

「さあ・・・、ショータイムの始まりだっ!!」

レンはヴィーザフに飛び掛る。
しかし、レンのパンチやキックはことごとくかわされてゆく。
「なっ!?攻撃が当たらない!?」
「なんだ、その攻撃は・・・?、俺にはスローモーションのように見えるぜ・・・・ギヒヒヒ・・・」
次の瞬間、鍵爪がレンの顔を襲う。
レンはとっさに頭を低くした。
「くっ!!早ぇぇ・・・」
鍵爪はレンの頭をかすめ、少量の髪の毛を切り裂いた。

北条、ミィミは辰次郎たちの退路を確保しつつ、敵の前に立ちふさがる。
「むんっ!!風司りし風神よそのちから、我が前に示せ!!・・・・・風斬りの刃!!」

ビュゥゥゥゥ!!
ブワアアアアッ!!

飛び掛る手下たちを北条がかまいたちでなぎ払い、飛んできた手裏剣や楔をミィミが跳ね返していく。跳ね返った手裏剣や楔はそのまま敵に命中していく。
「ギャーーーー!!」
「ぐあーーーっ!!」
手下共は断末魔をあげ倒れてゆく

「なるほど、『反射魔法』か・・・・」
北条がミィミの不思議な力を見てつぶやいた。

ミィミ 「・・・・ママに身につけさせてもらったの・・・・」
北条 「なるほど、物理的力量「ベクトル」を反転させ、そのまま、始点へ逆流させる力か・・・」
ミィミ 「説明はいい・・・。早くこいつらを蹴散らそう・・・・」
北条 「はいはい、レディ・・・」


「はあああああっ!!」
レンが渾身を込めた拳を繰り出すが空振りし続ける。


「無駄だ、無駄だ!!当たりのしない攻撃など、無意味!!」
ヴィーザフが左拳でレンの腹をなぐり、そのまま突き上げる

バキィィィィィ!!

「ぐはっ!!」

ドサッ!!

レンは態勢を崩し地面に身体を打ちつけた。みぞおちを殴られたせいで激痛が走り、息が苦しくなる
「くそう・・・当たらねぇ・・・チキショー・・・・」

「おまえは馬鹿か? 『俺にかなうと思うのか』と言ったろう?
俺と貴様の力量はこんな差が出るんだよ」

「んなもん、やってみなきゃわかんねえだろうが!?」
レンはよろよろと立ち上がった。

「フン、減らず口が・・・!」


一方、北条とミィミはなんとか手下達を一掃した。
そして、苦戦しているレンに駆け寄ろうとする。
「・・・・レン、大丈夫?」
「私が力を貸してやろう。」

しかし、レンは右腕で二人を制止した。
「まて、手ぇ出すな・・・・。サシの勝負とキメたんだ・・・。コイツは俺がやる。早くじっちゃんたちを安全な場所へ!!」

「わかった・・・。レン無理しないでね・・・」
ミィミ、北条は手出しせず、レンを見守ることにした。
レンはよろけながらもファイティングポーズをとり、ヴィーザフを睨みつける。

「さあ、来いよ・・・・」

「フン、その意気や良し。しっかりと地獄におくってやるわ!!」

ヴィーザフはレンへ豹のごとく向かってゆく。
連続でパンチやキックを繰り出し、レンを追い詰めてゆく。
レンはヴィーザフの動きを読むことができず、ただ攻撃を受け続けていた。

「どーしたんだぁぁ!?真竜印をうけたんじゃなかったのかぁぁぁぁ!!、ヒヨッコがぁぁぁぁぁああ!!」

レンはハイキックを喰らい身体が宙に舞う。
「ぐはあああっ!!」

ドサッ!!

レンは地面に倒れた。


「レン!!」
「だめだ、攻撃をまともに受け続けている・・・・。彼に勝算はない・・・」

「クチ程にもないな・・!貴様は!!」
ヴィーザフが罵倒する。

「まだだっつーのっ!!」
レンは起き上がり、すばやくヴィーザフに殴りかかる。しかし、攻撃はあっさりかわされ、すれ違いざま背中にエルボーを叩き込まれた!!
「ぐあっ!!」
レンは地面にうつぶせに倒れた。

ヴィーザフは冷たい視線でレンを見下ろした
「チンピラの喧嘩じゃないんだぞ・・・・。真面目にやれ!!それとも貴様はそんな程度のにわか武術で俺に勝とうとしたのか?・・・・愚かものがっ!!」
横たわっているレンを強く蹴飛ばす。
「うがぁ!」
レンは4,5メートル飛ばされた。
(だめだ、勝てねぇ・・・・。こっちの攻撃は当たらねえし、動きがまったく読めねえ・・・)

「さあ、立て!!俺を楽しませろ!!早乙女レン!!貴様が本当に『竜の印』を持つに相応しいのかどうか見せてみろ!!」

「くっ、くそう・・・」
レンはヴィーザフの挑発に応じ、よろよろとまた立ち上がった。

「そうだよ、そうこなくてはな!!俺は本気で必殺をお見舞いしてやるぞ。だからおまえも奥儀を見せてみろ!!」

レンはその挑発に対し怒りをこみ上げる
「だったら、見せてやるぜ!!おれの必殺奥儀をな!!」

レンの身体は青いオーラで包まれ、右手には「竜の印」が浮かびあがる。

「はああああ!!いくぞー!!『聖竜破邪剛竜拳』!!」

ズドォオオオオオオッ!!

しかし、ヴィーザフはすばやくその放たれた波動弾をかわしつつこう言った。
「フハハハハッ、馬鹿め!!いくら強力な攻撃でも当たらなければ意味が無いわ!!」

「なんだとっ!?」

ヴィーザフはレンの近くまで接近する。
「ならば、こちらからも奥儀をお見舞いしてやろう・・・・。『ピューマヘルクロウ!!』
ヴィーザフの右手に装備されている鋼鉄製の鋭い爪が連続でレンの身体を切り裂く!!
レンはみるみる豹にかさばかれたように傷だらけになり、血が吹き出す。

「ぐああああああっ!!」

「レン!!」
「レンおにいちゃん!!」

余りの出血の衝撃にレンの身体の神経が麻痺し、ヴィーザフにハイキックを喰らい吹っ飛ばされた。

「・・・・うっ、くそう、・・・・痛てぇ・・・・」

ヴィーザフはゆっくりとレンに近づき、冷たい視線で見下ろした。
「どうした?もう元気が無くなったのか?・・・・・クチほどにも無い奴め・・・。」

ヴィーザフは右手の武器の爪を振り上げる
「とどめだっ!!」


バラバラバラバラバラバラ・・・・・

そのとき、上空からヘリのローターの大きな音が聞こえてきた。

上空から風が吹き付ける。
ヴィーザフは空を仰ぎ見た。
北条やミィミも上空の音に気がつき見上げる。

「・・・なんだ・・・?」

ヘリコプターの扉が開き、地上10メートルから播磨美花が火竜剣を帯び、飛び降りてきた。
「レン様、お待たせしました。」

「うぅ・・・・美花か・・・・よく来た・・・・」
レンは瀕死の身体で起き上がろうとする。
美花は地上に降りるとすかさずヴィーザフにかまいたちを放った。
ヴィーザフは軽く避けて、レンの傍から離れた。
美花はレンが傷だらけでぼろぼろになっていることに気がつく
「レン様!!、まあ!なんてお姿に!?」
美花は急いで駆け寄ってきた。

しかし、レンは答えた
「・・・・・俺のことはいい、それより、奴を・・・アイツを倒さなければ・・・・アイツ、ラムの命を取りに来たらしい・・・・」

それを聞いた美花は眼つきが変わる
「・・・・わかりました・・・・。レン様はここで安静になさっててください・・・・。奴は・・・・わたくしが倒します!!」

美花は火竜剣を振り払うと剣が風を斬る音が辺りにこだました。
そして、ヴィーザフを睨みつけた
「よくも、レン様をこんな目に・・・・。絶対に許しませんわ!!。わたくし播磨美花があなたを成敗します!!」

ヴィーザフはその言葉に鼻であしらった。
「フン、貴様のような小娘に俺が倒せるとでも思うのか・・・?」

美花は鋭い目つきでヴィーザフを見据えて答えた
「そうやって、人を見下すと災いを被りますよ・・・・。自信過剰は命取りですわ・・・」

「ならば、俺のスピードに着いて来れるのか!?さあ!!やってみろ!!」
ヴィーザフは素早い動きで向かってくる。そして、お得意の右手の鉄の爪で素早く斬りかかって来た!!

ビュッッッ!!

「くっ!」
美花はギリギリで攻撃をかわした。髪がなびいたため数センチほど、髪の毛を切り落とされた。

「そらそらそらそらっ!!」
ヴィーザフは両手で攻撃を繰り出してくる。美花はそれを左右でかわし続ける。

「なんだ、手も出ないのか?」
ヴィーザフは攻撃をやめた。

しかし、美花は静かに目を閉じたまま静止した。

「動きは読めました。無駄な動きが多すぎますわ・・・・。そのような動作では体力を温存できませんわよ・・・」

その言葉にヴィーザフはいきり立ち、連続攻撃をくりだす。
「貴様!!俺を馬鹿にしているのか!?。俺は「疾風の豹」だぞ!!」

ビュッッ!!
ビュビュッ!!
ビシュッッ!!

しかし、何度、高速の拳を繰り出そうが、美花にはその攻撃は当たらない。
美花の右手が刀の柄にふれた途端、かまいたちが走り、ヴィーザフの顔面に直撃した。

「うおおっ、くっっ!!」

ヴィーザフの眉間から血がしたたり落ちた。
「き、貴様ぁ〜!!」

美花は腰を落とし足幅をひろげ、右手を刀の柄にかけたまま静止している。

「俺をなめるな〜っ!!このアマ〜〜っ!!」

ヴィーザフが突進してきた。

「・・・・冷静さを欠きましたね!!」
美花の火竜剣が炎に包まれ、まぶしい刃が姿を現した。
「・・・・火竜剣!!天昇斬!!」

炎上する炎と真空の刃がヴィーザフを直撃した!!

「ぐああああっ!!」

ヴィーザフはなんとか耐え、よろよろしながらも立ち続けた。身体は炎で焼かれたため、半分黒コゲになっていた。

そのあいだ、美花はレンが心配になり、レンのもとへ駆け寄った
「大丈夫ですか?レン様」

「ああ、大丈夫だ・・・・。それよりも・・・」

すると、ヴィーザフは背を向けていた美花に襲い掛かってきた!!
「はははは!!馬鹿めっ!!敵に背を見せるなどと愚かな奴!!くらえっ!!」

ヴィーザフが鉄の爪で美花の背中を切り裂いたかに見えた。だが、その美花の姿が消えたかと思えた瞬間ヴィーザフの背面から声が聞こえた。
「背を向けているのは、どちらですか!?」


なんと美花はヴィーザフの背後に立っているではないか。
「はあああっ!!」
美花は剣を振りかざした。
しかし、ヴィーザフは間一髪で避け、その場から離れる。
「くうっ!!おのれぇ、小娘・・・たいした奴だ。俺様の背後を取るとは!!」

美花はヴィーザフを睨みつつ言う
「今すぐ、ここを立ち去りなさい。でないと私は貴方を斬ります!!」

ヴィーザフは侮辱されたのかと思いつつその言葉を鼻であしらう。
「へっ!!小娘が!!意気がるんじゃねえ!!ならば俺様の奥儀を見舞い、貴様を瞬殺してやるわっ!!くらえ!!『ピューマヘルクロウ!!』」

先ほどレンが受けたのと同じように、高速で鉄の爪が繰り出される。
「おらおらおらおらっ!!八つ裂きになりやがれぇ!!」

しかし、美花は見切っているのかその攻撃を剣でことごとく受け止めていく。

「なあ!?なんだとぉ!?」

「先ほども申し上げましたが貴方の動きはもう読めました・・・・。では、こちらからも奥儀をお見舞いします」

火竜剣の刃に炎が走る。美花が剣で円を描くとそれは「火の車輪」を形成した。

「播磨流奥儀!!火炎大車輪!!」

ブワワアアァァァァ!!!
美花が剣を振り下ろすと「火の車輪」は地面を舐め尽しながらすさまじいスピードでヴィーザフへ向かってくる!!

ヴィーザフは飛んで回避したが、「火の車輪」は飛び上がりそのままヴィーザフに突っ込んできた!!

「なぁ!?なんだとーーーーーっっ!!!」

ドバウッッ!!!

ヴィーザフに当たると「火の車輪」は爆発を起こした。

「グヌアアアアアアアアアアアッ!!」

ヴィーザフはボロボロになり、地面に身体を叩きつけられた。

「これで終わりです!!」
気がつくと、美花が剣をヴィーザフの首にかけていた。

「くっ・・・・・お前の勝ちだ・・・殺せ・・・」

しかし美花は剣を引き上げた。
「・・・・殺生は好みません。本当ならば話し合いで解決できれば一番良いのですが・・・。」

「馬鹿な・・・奴め・・・・。なぜ命を容赦する・・・?」

美花はその質問に対しては返答しなかった。
「さあ、お引取りください。急所ははずしておきました。這って歩いて帰ることは出来るでしょう。もう二度とわたくしたちの前には姿を見せないでください・・・」

「くっ!!敵に情けをかけられるとは!!・・・・不覚だ・・・」


そのとき、辺りからあざ笑うかのような女の子の甲高い笑い声がこだました。

「はははははっ!!ヴィーザフ、ありえねぇ〜!!っていうか弱すぎじゃん!!」

レンたちが辺りを見回すと、松の木の枝に10代くらいのチャイナ服の少女が座っていた。
眼は金色、髪型はシニヨンでまとめており、鉄製の扇子のようなもので口を覆っており不敵に微笑んでいた。

「くっ!・・・愛鈴(アイリーン)。貴様・・・・な・・ぜ・・・ここに!?」
ヴィーザフが瀕死の身体で首を動かしその少女のほうを見据えた。

少女はヴィーザフの方を冷たく見下ろした
「おまえがうまくやっているのかと思い、見に来てやったのになんだよ、そのザマは!
・・・ありえねぇ〜。弱すぎ!!小娘一人も倒せないのかよ?つかえね〜っ」

愛鈴(アイリーン)と呼ばれる少女は瀕死のヴィーザフの元に降りてきた。

「くっ・・・・おれはお払い箱なのか・・・?」
「あったりぃ〜!」

美花は身構えつつその少女に促す
「その人の仲間なのですね・・・。見てお分かりのとおり、瀕死の状態なのです。今日のところはその人を連れてお引取り願えますか?」

愛鈴は美花を冷たい視線でニヤニヤしながら見据えた
「コイツが仲間?冗談!? 下僕だよ、コイツは!!、ていうかもうゴミだよ。ゴ・ミ!!」

愛鈴は片足をあげた。その履いている赤いヒールの先端は鋭い刃になっている
「そんじゃ、ヴィーザフくん、さいなら〜」

グシャアア!!

愛鈴があげたその脚をヴィーザフのみぞおち(人間の急所)に強く振り下ろす。
そのヒールの刃はヴィーザフの頑丈そうな腹部を貫いた。

「ぐふっっ!!」
ヴィーザフは息絶え、ピクリとも動かなくなった。

「なんてことを・・・!」

「あはははははっ!!笑う〜っ!!ゴミ片付けたくらいでなんだよその反応?
バッカぢゃないのぉ〜?」

レンがゆらゆらと立ち上がる
「・・・ったく、なんでこいつらはいつも無情なんだよ。いいかげん嫌気がさしてくる!!」

愛鈴が目を細める
「ん?にいちゃん、なんだい?あたしとやろうってぇの?・・・・ていうかウゼェ・・・」

ズドオオオオウッ!!

そのとき閃光が愛鈴の横を通り抜け神社の塀を貫いた。
レンの身体にはかすかにオーラが浮かんでいた。
それはレンが放った怒りの渾身であった。

愛鈴は目を丸くした
「・・・へえ・・・やるじゃん・・・・。なるほどねぇ・・・・」

レンはすごい威圧感で愛鈴を睨みつけた
「いいかげんにしろっ!!そうやっててめえたちは弱者ばっかり虐げてなにが楽しいんだっつーの!!」

愛鈴は鉄の扇子で口を覆いながらニヤニヤしている
「・・・はいはい、わかったよ!今日は帰ります〜。そのゴミ欲しけりゃあんたたちにやるよ。じゃあね!!」
愛鈴はそそくさとその場を去っていった。


「瀕死の仲間をゴミ扱いするなんて、なんて人たちなのでしょうね・・・。」
美花は首をかしげる。

「ほうっておきたまえ・・・。あの者達には『人間としての道理』は通用しないよ・・・」
北条はため息混じりに答える。

「・・・・だよな、馬鹿だぜ、あいつらはよ・・・。と・・・やべっ、めまいしてきたぜ・・・・」
レンはその場にまた倒れた。

「レン!!」
ミィミが駆け寄る。
北条がレンを抱き起こした。
「馬鹿はキミだよ、早乙女レン。瀕死の身体で無茶をするな・・・」
美花もレンのそばへ駆け寄り、身体の具合を気遣う。
「レン様、大丈夫ですか?早く手当てしましょう!」


「おーいっ!!みんな無事かあ〜」
「レン!!」
「レンおにいちゃま!!」
辰次郎、瑞樹、ラム、美沙も敵が去ったことを確認すると、境内へ出てレンのもとへ駆けつけた。

ラムがヴィーザフの死体を見て驚く。
「・・・ヴィーザフは・・・・死んだの・・・・?」

「はい、ヴィーザフは破れ、わたくしは命を容赦しましたが、その息の音を止めたのは「アイリーン」とか名乗る少女でしたわ・・・」
美花が答えた。

「愛鈴(アイリーン)・・・四天王の上位者・・・・。」
ラムは不安な表情でヴィーザフの亡き骸を見つめていた。

時は夕暮れ。陽は落ち始め夜の暗闇が遠い空の向こうから立ち昇りはじめていた・・・・。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方そのころ、風邪を引き寝込んでいた瀬那は・・・。

「ぐすぐす・・・・。レン君まだあ〜〜?お見舞い来るっていってたのに〜。まだ来な〜いっ。
こうなったら抱きついて風邪、伝染してやるぅ〜!!」

レン達の身に起こったことを病人の瀬那には知る由もなかったが、後に美花に事情を聞くことになった・・・。


第14話 END


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